クラウド コンピューティング EXPO【秋】2016レポート~「IoT、高火力、AI・・・」さくらが夢見る未来は?

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2020年に向け、さくらインターネットはどこに向かうのか

さくらインターネットのブースでは、桜葉愛さんがお出迎え!

10月26日~28日の3日間、幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催され、延べ4万人以上が来場した「Japan IT Week 秋」に行ってきました。Japan IT Week 秋は、8つのIT専門展で構成されていますが、その中の1つ「第7回 クラウド コンピューティング EXPO【秋】」に出展していた「さくらインターネット」のブースをレポートします。

初日の10月26日にブースで開催されたセッション「2020年を見据え、さくらはどこへ向かうのか? ~アスキー大谷が田中社長、小笠原フェローに公開取材~」では、さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏とさくらインターネットのフェローである小笠原治氏が登場し、ASCII.jpの大谷イビサ氏をモデレーターに、IoT、AI、ロボットなどを基軸としたIT産業革命時代のさくらインターネットの姿を語りました。

「創業20周年は、自分でも驚き(笑い)」と田中社長

さくらインターネットは、2016年12月23日で20周年を迎えますが、創業から20年間について田中氏は、「学生時代に起業したので20年持つとは思っておらず。毎日がびっくりの繰り返しでした。1996年に会社を設立し、1999年に株式会社に移行して、データセンターを立ち上げました。2005年に上場して、2011年に石狩データセンターを開設しました。現在は、専用サーバ、レンタルサーバ、クラウドなどが事業の中心です」と語ります。

次に人材について大谷氏が、「さくらの人材がすごい。なんでこんなにすごい技術者が集まるのか不思議。人材のブラックホールと呼んでいます(笑い)」と話します。これに対し田中氏は、「相手の会社もあることなので、無理やり引き抜くことはしません。ただ、常に受け入れる体制があるということは伝えています」と話しています。

また小笠原氏は、「私も創業メンバーではあるのですが、途中14年間離れており、2015年に戻ってきました。現在は、技術力できちんと守ってくれる人がいて、新しいことで攻めることができるので、自分自身すごく仕事がしやすい環境です。サービスを作る人、それを支える人、そして売る人がバランスよくそろっているのがさくらです」と話しています。

「現在のさくらインターネットを象徴する新しいサービスとして、“さくらのIoT Platform”と“高火力”に注目していますが、この意図について利かせてください」と大谷氏。

田中氏は、「私たちにとっては、コンピューティング全体が事業領域なので、IoTも高火力も新しいという認識はありません。コンピューティングは、処理とネットワークとストレージで構成されるので、この3つの要素を、付加価値なく提供するのがさくらの強みです。付加価値に関しては、数多くのパートナーと協業により提供します。一方、コストがかかる、コモディティ化しているなど、パートナーが手を出しにくい部分に関しては、我々が対応します。たとえば高火力では、早い、安い、簡単なサーバを提供し、IoTでは、安価に通信モジュールから、ネットワーク、クラウドまで、パッケージで利用できます。すべてのサービスが、早い、安い、簡単というコンセプトで開発されています」と話します。

大谷氏は「早い、安い、簡単は、まさにさくらのDNAのところですね」と話しています。

さくらのIoT Platformについて小笠原氏は、「IoTやAI、ロボティクスなど、さまざまなバズワードがありますが、データを集める仕組みがない現状でAIといってもしかたありません。情報が自然にデータ化される仕組みが必要です。さくらのIoT Platformでは、通信モジュールやSIMを提供して、データを迎えに行く仕組みを提供し、閉域網でデータを管理するので安心してデータを収集できます。“モノのイントラネット”をインターネットにつなぐイメージです。このとき、IBM BluemixやMicrosoft Azureなどと連携するAPIも提供しています。これが一気通貫でできるのは、さくらだけです」と話しています。

2020年に向けたさくらについて大谷氏は、「タチコマを展示したりしているので、ロボットでも作っているのではないですか?」と聞きました。

田中氏は、「ハードウェアを作ることは目指していません。1990年代、2000年代はソフトウェアに時代でしたが、2010年以降は、ハード+ソフトの時代だと思っています。サービスでビジネスをする部分は変わらないのですが、自社のサービスを成立させるためにハードウェアを作らざるを得ないのが実情です。たとえば、iPhoneとiTunesのような関係です」と話しています。

小笠原氏は、「モノづくりをする人たちを支援するインフラを提供するのが、さくらの使命です。シンプルに言えば、さくらはインフラの会社なので、コンピューティングパワーが使われて、通信が使われて、データが蓄積されれば、ビジネスが拡大しないわけがないのです。2020年に向け、さくらの従業員が1000人以上になり、さくらのインフラをスタートアップに投資しながら、共創と競争が内部、外部で起きている状況をイメージしています。これにより、現在のインフラのすべてが生きてくると思っています」と話します。

最後に田中氏は、「安倍政権が、現在500兆円のGDPを600兆円にするといっていますが、GDPを2割増やせば、大概の不都合なことは解消できます。同じように、データセンターに関しても、みんなが成長すると信じることが重要です。この市場が伸びそうだと思って、どんどん参入し、コストが下がり、使う人が増え、使う人も利益が感じられるようになるのが2020年ごろだと思っています。その中で、データセンター事業者の投資が少ないのが気になります。データセンター事業者が投資をして、利用者も増えれば、GDP2割増はそれほど難しくないと思っています」と話しています。

向かって左から田中社長、小笠原氏、大谷氏

タチコマの社会実装に向けて。コミュニケーションロボットとさくらのIoT Platformの可能性

まずブースで目を引いたのが、攻殻機動隊S.A.C.シリーズに登場する多脚戦車「タチコマ」のモックアップです。このタチコマは、2016年2月11日にスタートしたタチコマのリアライズプロジェクト(http://www.realize-project.jp/)で開発中のものです。

2分の1スケールの「タチコマ」は大人気!常に来場者に囲まれていました。

プロジェクトでは、「さくらのIoT Platform β」が活用されていて、搭載された「さくらの通信モジュール」により、安全性の高いLET閉塞網を介してタチコマとバックエンドシステムや外部サービスとの連携を実現する計画です。

現在のフェーズは、外装検討モデルが完成し、2017年春までの導入実証が行われているところで、2018年3月の社会実装実証を目指しています。

今回、展示されたタチコマは、実際のタチコマの2分の1スケールで、リアライズプロジェクトで作成された外装検討モデルです。このタチコマには、さくらの通信モジュールと非接触で心拍数を計測できるセンサーが搭載さており、タチコマの前に立った人の心拍数を計測して、Lineに送信するデモが行われていました。

タチコマが計測した心拍数は、Lineに送信されて確認できます。

10月28日にブースで開催されたセッション「タチコマが実現する日 コミュニケーションロボットになにが必要か?」では、タチコマを作成したkarakuri puroductの松村礼央氏とさくらインターネットのフェローである小笠原治氏が登場し、ASCII.jpの大谷イビサ氏をモデレーターに、テクノロジーのロードマップを語りました。このセッションは、ニコニコ生放送で配信されています。

まず、2分の1スケールのタチコマを作った理由を松村氏は、「攻殻機動隊のストーリーとして、あらゆるものがネットワークにつながる電脳の中で、人間がどんどん機械化していくというストーリーがベースにあります。この技術を具現化してみようというのがリアライズプロジェクトです。攻殻機動隊の中で、人並みにコミュニケーションができ、かつ自律的に動くことができるのがタチコマだったので、これを実現しようと考えました。そこでタチコマを作っていたときに、リアライズプロジェクトがスタートしたので参加しました」と話しています。

「人並みにコミュニケーションができ、かつ自律的に動くことができるのがタチコマでした」と松村氏。

ロボットの定義を松村氏は、「コミュニケーションが必要か、必要でないか。コミュニケーションが不要であれば、その分野に特化した機会をつくる方がコストも安いです。たとえば、土を掘りたいのであればロボットではなく、ブルドーザーを作るべきです。高いコストをかけてロボットを作るのは、コミュニケーションが必要な分野だからだと思っています」と話します。

リアライズプロジェクトにおけるさくらインターネットの役割を小笠原氏は、「タチコマが実現して、コミュニケーションをするときに、ロボット用の通信技術が必要になります。たとえば、タチコマがコミュニケーションをするためには、データが必要になります。データを蓄積するためには、センサーと通信モジュールが必要です。その両方をさくらのIoT Platformで提供しています。また、蓄積したデータを高速に解析しなければなりません。そこで高火力のような技術が重要になります」と話しています。

ロボットの現状について村松氏は、「現在、ロボットに必要な技術は自動車の技術に比べ、それほど複雑ではありません。そこでロボット用のインフラを作るのがリアライズプロジェクトの目的の1つです。なぜ実現できないかといえば、自動車用のインフラは儲かるから作られますが、ロボット用のインフラはいまのところ儲からないからです。そこで、影響力の高い攻殻機動隊のコンテンツを利用して、社会実装実証ができるインフラを作りましょうというのがリアライズプロジェクトの当面のゴールです」と話しています。

さくらのIoT Platform~実証実験をご紹介!

さくらのIoT Platform βのコーナーでは、タチコマ以外にも、ハウステンボスで実施されているゴミ箱のゴミの量を監視する実証実験や、ぐるなびが実施している音や声を収集して、その場所の快適さを解析する実証実験、Yahoo!のMyThingsと連携し、熱中症の危険性を音声で警告してくれるサービス、tsumugが開発しているスマートロック「Sharing Key」などが紹介されていました。

こちらの動画はハウステンボスで実証実験中のゴミ箱のデモ。
ゴミ(ボール)をゴミ箱に投入。ゴミ箱の天板底に設置したセンサーがゴミ箱の収容率を計測。その情報をIoT Platformが管理しています。ディスプレイに表示されている数値(%)がゴミ箱の収容率。

10月28日にブースで開催されたセッション「障壁は共創で乗り越えろ!tsumugとさくらがIoTのコラボを語る」では、tsumugのCEOである牧田恵里氏とさくらインターネットのフェローである小笠原治氏が登場し、ASCII.jpの大谷イビサ氏をモデレーターに、IoTスタートアップとプラットフォームプレイヤーとのあるべき共創の姿について語っています。このセッションも、ニコニコ生放送で配信されました。

スマートロックを開発した背景を牧田氏は、「不動産の内見をするときに、玄関に取り付けられたダイヤル式のキーボックスから取り出したり、新聞受けにひもで物理カギをぶら下げていたり、かなり危険な受け渡しをしています。そこで、こうした状況を改善したいと考えたのがスマートロックを開発しようと思った背景です」と話します。

最近では、ICカードで開閉できるドアロックもありますが、牧田氏は、「それでも物理カギ(ICカード)はなくなりません。物理カギがなくなる未来のカギのカタチが“シェアリングキー”です。物理カギがなく、データカギなので、貸し借りが簡単です。そこで、さまざまな利用用途が考えられます。たとえば、賃貸物件の内見やホームパーティーの出入りで時限式のデータカギを発行したり、Airbnbや民泊のような形態のカギに使えたりします」と話します。

さくらのIoT Platformを使った理由を牧田氏は、「当初は、Bluetoothで試作をしていたのですが、2.4GHzの通信では干渉が発生してしまい、動作しなくなることがありました。さくらのIoT Platformは、LET通信なので干渉もないことから採用しました。また鍵穴をなくしたかったので、鍵穴自体にデバイスを取り付けることから、セキュアな通信も必要で、閉域網を利用できるさくらのIoT Platformで担保したいと考えました」と話します。

展示されていたtsumugのスマートロック「Sharing Key」。

小笠原氏は、「さくらのIoT Platformでは、コスト面も考慮しています。一般的なSIMでは、月額300円程度かかってしまうので、さらにサービス料を加えるとコストがかかりすぎます。そこでさくらのIoT Platformでは、センサーと通信モジュール含めた構成にしています。もう1つバッテリー容量もハードルは越えたと思っています。今後も、スタートアップから求められる機能は一緒に実装していきたいと思っています」と話します。

今後の取り組みについて牧田氏は、「当初は、プロトタイプ作成にも2万6000円程度かかっていましたが、さくらのIoT Platformを知って、こんなにコスト削減できるんだと感動しました(笑い)。現在は、量産に向けて体制づくりをしています。またスマートロックという言葉の一般への認知度が低いので、啓蒙活動も行っていきたいと思っています。そのほか顔認証でロックが開くような仕組みも実現したいと思っています」と話しています。

ニコニコ生放送で配信されました。

VPS、クラウド・・・だけじゃない!さくらの新サービスを一挙公開。おなじみレンタルサーバも進化してます!!

タチコマやさくらのIoT Platform βのコーナー以外でも、さまざまな新しい技術、サービスが紹介されていました。会場で見つけた新しい技術、サービスを一挙に紹介します。

高火力(https://www.sakura.ad.jp/koukaryoku/

さくらインターネットの新しいサービスとして、まず目を引いたのは「高火力」のコーナーです。高火力は、機械学習やビッグデータ解析、科学技術計算など、大容量かつ高性能な計算リソースを必要とするコンピューティング分野向けのクラウドサービスです。現在、無償トライアルユーザーを絶賛募集中だそうです。

高火力のコーナーでは、Quad GPUモデルを構成する「GeForce GTX TITAN X」を4枚搭載したサーバやTeslaモデルを構成する「NVIDIA Tesla M40」を搭載したサーバが展示されていました。

展示されていたQuad GPUモデル。「GeForce GTX TITAN X」が4枚見えます。

さくらの文教向けソリューション(https://www.sakura.ad.jp/education/

さくらの文教向けソリューションのコーナーでは、「さくらのクラウド定額制プログラム」が紹介されていました。この新しいサービスは、学術研究機関限定の定額利用プログラムで、月額10万円の年間契約で、さくらのクラウドを利用できます。対象となるのは、国立情報学研究所の「学認クラウド」プロジェクトに参加している機関です。

さくらの文教向けソリューションでは、「さくらのクラウド定額制プログラム」を紹介

さくらのレンタルサーバ(http://www.sakura.ne.jp/

さくらのレンタルサーバのコーナーでは、2つの新しいサービス「team:on」と「モリサワWebフォント」が紹介されていました。

team:on(http://www.teamoncloud.com/ja/)は、さくらのレンタルサーバのオプション機能として提供されるクラウドベースのグループウェアです。スケジュール管理やプロジェクト管理、タスク管理、ファイル共有などの機能を利用できます。現在、ベータ版を無料で利用できるようです。

また、モリサワWebフォント(http://www.sakura.ne.jp/function/webfont.html)は、さくらのレンタルサーバとさくらのマネージドサーバで利用できるフォント集で、HTMLに直接記述して利用できるほか、WordPressならプラグインで簡単に利用できます。1ドメイン、2万5000PVまでなら、TypeSquareで提供されている書体の中から30書体を無料で利用できるので便利です。

さくらのレンタルサーバでは、「team:on」と「モリサワWebフォント」を紹介。

ストレージ/リモートハウジング

ストレージ/リモートハウジングのコーナーでは、「超高速ストレージIOの世界」をテーマに、NVMe SSD×4枚と100Gイーサネットの組み合わせによるストレージシステムの試作機を紹介していました。最大で80Gbpsのスループットを実現できるそうで驚きです。

ストレージ/リモートハウジングでは、「超高速ストレージIOの世界」を紹介。

Arukas(https://arukas.io/

Arukasは、さくらインターネットが提供するDockerホスティングサービスで、現在ベータ版が無償で利用できます。Arukasを利用することで、アプリケーション環境を誰でも利用可能なイメージファイルの形にビルドし、一貫性のあるインタフェースで操作、管理することができ、セキュアかつ確実に展開することができます。

さくらインターネットが提供するDockerホスティングサービス「Arukas」は、現在ベータ版が無償で利用できます。

imgtruck(仮称)

imgtruckは、ピクシブが開発し、さくらインターネットが提供する新サービス。画像を拡大、縮小、切り抜き、合成などの加工により、デバイスごとに最適化された画像を自動で作成し、高速かつ高品質に配信するサービスです。画像データは既存のサーバやクラウドから移動させる必要はなく、管理画面からURLを設定するだけで、利用できます。利用方法や価格などは、近日中に発表されるようです。

ピクシブが開発し、さくらインターネットが提供する新サービス「imgtruck」は、既存の画像データを、高速かつ高品質に配信できます。

株式会社Joe’sクラウドコンピューティング(http://joes.co.jp/

さくらインターネットのグループ会社であるJoe’sクラウドコンピューティングのコーナーでは、スモールビジネス向けの新しいビジネス支援ITサービス「POWER」を紹介していました。POWERは、スモールビジネスの運営に必要なクラウドやIT活用のニーズを支援するサービスで、2016年12月にリリースされる予定だそうです。

各コーナーには、「良いねボタン」が置いてあり、来場者がボタンを押すと、ディスプレイにて、良いね数を表示。ディスプレイに当たりが表示されたら景品がもらえました。

2020年はデータセンター事業にとって大きなチャンス!

Japan IT Week 秋を構成する8つのIT専門展の中の1つ「第5回 データセンター展【秋】」の10月26日のセミナーに、さくらインターネット代表取締役社長で、日本データセンター協会 副理事長でもある田中邦裕氏が登壇し、「第4次産業革命で変わるコンピューティングの世界 ~データセンターを取り巻く大きなチャンスとリスク~」をテーマに講演しています。

1960年にはJRの予約システムが稼働し、1965年には銀行の勘定系システムが稼働していました。田中氏は、「日本のコンピュータ化は、それほど遅くはありませんが、それは業務の効率化する改善のためのテクノロジーでした。そのころ米国では、インターネットの原型であるARPANETを作っていました。そして1991年に“ウェブ”が開発されました」と話します。

ウェブは、1つのページから「リンク」をたどって、どんどん違うページに飛ぶことができる、インターネット上の膨大なコンテンツを、1つのコンテンツとして利用できる技術です。この「リンク」を活用して大儲けしたのがGoogleでした。

田中氏は、「日本の問題は、インターネットが活用されていなかったことです。当時の日本は、どちらかといえば省力化のためにコンピュータを活用していました」と話します。

次の大きな変革として、1995年ごろからインターネットが普及しはじめ、Windows 95が登場しました。日本では、インターネット元年といわれています。このときの中心はハードウェアで、大量のPCが販売されました。しかし現在、多くのハードウェアベンダーは、吸収合併されてしまいました。

田中氏は、「驚くことに現在、アップルがもっとも時価総額の高い企業になっています。アップルは、過去にハードウェアで大失敗をしていますが、iPhoneとiTunesの登場で急激に売り上げを伸ばしました。つまりアップルは、サービスにより、たった9年で大きな成功を収めたのです」と話します。

現在、Googleが第2位、マイクロソフトが第3位と考えると、IT業界がいかに変化の激しい業界であるかが分かります。またハードウェアよりも、ソフトウェアやサービスにビジネスが移り変わっていることは明らかです。これが第4次産業革命の時代のはじまりです。

第3次産業革命では、ハードウェアが重視されており、データセンターという箱をいかに作るかが重要でした。第4次産業革命で重要なのは、ビジネスにおけるサービスの比率を高くすることが必要です。「IoTやAIなど、データセンターでソフトウェアを活用する時代が来ています」と田中氏。

それでは、第4次産業革命の時代には、データセンター事業者は、どのようなビジネスを展開すればいいのでしょう。

田中氏は、「世界のデータ量は、2年ごとに倍増しています。ある自動車メーカーは、2020年には1カ月に1エクサバイトのデータが自動車から生み出されると話しています。たとえば、1ラックで2ペタバイトを管理できるとすると、毎月500ラックが必要な計算になります。このデータを処理することが必要で、そのためのリソースに数百ラックが必要になります。こう考えるとデータセンターはいくつあっても足りません」と話します。

さらに、ディープラーニングの登場により、コンピューティング能力を向上すればするほど結果が出る時代になりました。たとえばAIの分野では、電力需要予測が実現されています。電力需要予測の精度は、どれだけのコンピューティング能力を使ったかで変化します。データセンターのラックを、どれだけ確保できるかがAIの勝負の分かれ目です。

「これが第4次産業革命の裏側だと思っています。データセンター事業者やSIベンダーが勝負できるのは、データアナリシスの分野です。2018年ごろには、データセンター事業者とSIベンダーが、顧客のデータを分析するビジネスが拡大していくことが予想されます。さらに2020年ごろには、分析結果により顧客が効果を感じられると思います」(田中氏)。

最後に田中氏は、「蒸気機関による第1次産業革命から、エネルギー化による第2次産業革命、IT化による第3次産業革命、そしてAI、IoTによる第4次産業革命により、世界が変わり、ビジネスが変わっています。こうした状況下、おそらくコンピューティングリソースは圧倒的に足りなくなります。それを見越して外資系データセンター事業者は、どんどん日本に投資をしています。一方、日本のデータセンター事業者は、なかなか日本に投資をしません。これは非常に“もったいない”状況です」と話し、講演を終えました。

おまけ~フォトアルバム

コンピューティング EXPO 2016【秋】 - さくらインターネット