10年前、20年前とは別次元にコミュニケーション技術が発達した現代。その結果、矛盾するようですが、全てのビジネスパーソンに高いプレゼン力が求められるようになりました。どんなに優れたコミュニケーションツールがあっても、使う側がそれを使いこなせねば意味がありません。それは、社内作業が主となるエンジニア職にも言えること。これからは「黙って黙々と作業する職人」ではダメなのです。

そんな社会の動向を受け、この2月18日に、さくらインターネットは株式会社DMM.comラボと合同で、「若手エンジニアのためのプレゼン研修会」を実施しました。

これは入社3年目までの若手エンジニアを対象とした、“伝える力”を育む勉強会。両者の誇る“コミュニケーションの達人”たちが、出し惜しみすることなくプレゼン技術を伝授してくれるということで、休日にもかかわらず2社合計22名もの若手エンジニアが集まりました。この会の発起人の1人であるDMM.comラボ システムサポート部 部長 吉野優子さん曰く「募集後、5、6分で参加枠が埋まった」とのこと。やはり若手エンジニアの側もプレゼン力の重要性を感じていると言うことなのでしょう。

ちなみにそのタイムスケジュールはざっくり以下の通り。

10時〜:イントロダクション
11時30分〜:プレゼン研修①「プレゼンテーションのコツ」
13時〜:ランチ休憩
14時〜:プレゼン研修②「目的達成のためのアプローチ」
15時〜:プレゼン大会に向けたグループワーク
17時〜:プレゼン大会
18時〜:懇親会
19時:閉会

ここでは、みっちりフルタイムを使って行われた勉強会の様子をレポートします!!

まずは「バースデーライン」や自己紹介でアイスブレイク

勉強会の冒頭では、発起人の1人、DMM.comラボの吉野さんがこの会の趣旨を説明。“今日のルール”として「楽しむ」「否定しない」「積極的に参加する」の三箇条を掲げました。教えてもらうのではなく、自らポジティブな姿勢で学ぶことが大事と言うことですね。

もちろん、この会に参加した以上、全参加者がそのつもりのはず。でも、朝早くて寒かったからなのか、やっぱりエンジニアはコミュニケーションが苦手なのか、会場はまだ、ちょっとどんよりとした空気。知らない会社の会ったことのない人もいるし……なんて緊張感に包まれています。

そこで吉野さんはアイスブレイクとして、会場のメンバーを2つのチームにわけて「バースデーライン」というゲームを実施。これは、口を使わずに、身振り手振りだけでコミュニケーションを取って誕生日の順に列を作るという遊び。目標がシンプルなわりに、全員に積極性と創意工夫が求められるため、初めて顔を合わせたメンバー間の緊張をほぐす(アイスブレイク)のにピッタリと言われています。

結果は会場左側チームの勝利に終わったのですが、もちろん勝ち負けは問題ではありませんね。身振り手振りで身体を動かし、相手の様子をしっかり観察していく中で、参加者全員が笑顔になりました。その後は参加者をグループに分け、チームメイトに各自1分間の自己紹介(これもまたプレゼンです!)を行わせるなど、段階的に研修に向けて気持ちを高めていきます。

ずいぶんと準備に時間をかけるんだなと思った人もいるかも知れません。
でも、これこそがまさに“伝える力”。まだ緊張もほぐれていない段階で、あれもこれもと詰め込んでも良い結果には繋がりません。まずは時間をかけてでも、若手エンジニアたちが、勉強会にしっかり向き合える状況を作り出すことが大事なのです。

……さあ、準備運動はこれで終わり!
いよいよ本番のプレゼン研修が行われます!!

“コミュニケーションの達人”たちによるプレゼン研修!

勉強会の前半には、お昼休みを挟んで2つの研修が行われました。まずステージに立ったのは、DMM.comラボ人事部の中川亮さん。「プレゼンテーションのコツ」と題し、プレゼンの基本中の基本をしっかり解説してくれました。

中川さん曰く、プレゼンとは、何かの目的のために、何かを、誰かに、どこかで、何らかの方法で、提示すること。つまり、プレゼンテーションは日々、どこにでもあるというのです。「奥さんにおこづかいをせびるのも広義のプレゼンですね(笑)」(中川さん)

そして、プレゼンの目的は「解・動・早」。つまり、(相手に)解ってもらい、動いてもらう、それもできるだけ早く。この目的意識を持つことが、何より大事だと言います。人前に立って喋って、それだけで満足してはいけないのです。

それを踏まえた上で、実際にどう伝えていけば良いのかを、「存在感(プレゼンス)」「わかりやすさ(ロジック)」「グッとくる(エモーション)」「巻き込み(マネジメント)」という4つのキーワードで解説。それぞれの詳細を説明した後には「私が思う仕事のやりがい」というテーマで、さっそく学んだことを実地で試すセッションタイムも設けました。何の武器もない中で行った自己紹介よりも、心なしか自信を持ってプレゼンしているように……見えますか?

お昼休みを挟んで午後からは、プレゼン研修第二弾として、さくらインターネット取締役の伊勢幸一さんによるレクチャー「目的達成のためのアプローチ術」がスタート。自身はプレゼンの専門家ではないとしつつも、自らの取締役としての、エンジニアとしての経験を踏まえたプレゼンが行われました。

プレゼンの軸となったのは、問題課題を特定し、現状との差異を埋め補って目的を達成する「ギャップアプローチ」と、現状の優位性を高めることで理想とする目的に近付いていく「ポジティブアプローチ」の2つの目的達成法。

それぞれの解りやすいサンプルとして人気コミック作品を挙げる(「はじめの一歩」のデンプシーロールはギャップアプローチの好例である、など)といった工夫で、聴衆を巻き込んでいく伊勢さん。「一概にどちらのアプローチが良いとは言えない」ので、その特性を理解し、それを正しく駆使することが大事だとしました。

プレゼン大会で学んだことをカタチにせよ!!

2つのプレゼン研修を踏まえ、プレゼンの本質とテクニックを学んだ若手エンジニア22名。いよいよ、その集大成となるプレゼン大会に挑みます。実はここまで書いていなかったのですが、会場にはDMM.comラボ、さくらインターネット両社の取締役クラスが審査員として参加。ここでしくじると出世が危うくなるかも?(もちろん、そんなことはありませんよ)

気になるプレゼンのお題は「エンジニアが最大限のパフォーマンスを出せる環境に必要なモノゴト」。

発表はチーム単位で行われ、発表の持ち時間は各5分。わずか2時間の準備時間で内容をまとめなければなりません。しかも、勉強会ならではの取り組みとして、審査員がベルを鳴らすとやり直しになるという厳しい特別ルールも。これはなかなかのプレッシャーです。

しかし、皆さんよくがんばりました。

中川さんの教えてくれたプレゼンのコツや、伊勢さんの教えてくれたアプローチ術などを駆使してお題に真正面から取り組んでいきます。中には新人とは思えないほど見事なプレゼンをするチームもいたり。

……とは言え、毎日のように“プロのプレゼン”を受けている海千山千の審査員の皆さんには、まだまだ物足りなく感じた面も多かったよう。「言いたいことを言っているだけで、“プレゼン”になっていない」「リハーサルが足りていない」「最初にポジティブなつかみがないと、聞く気がなくなる」「最初から最後まで共感できるところがない」などなど、プレゼン終了後にはほぼ例外なく容赦なしの酷評がズバズバと見舞われました。

もちろんそれは、本番で同じ失敗をしてほしくないという親心。これもまた、審査員から、若手エンジニアへの熱いプレゼン、なのでした。

そして、全てのプレゼン終了後、優れたプレゼンを行ったと評価された2チームに表彰状と商品が。2位チームには手作りメダルが、1位チームには2社のロゴ付き「王者」Tシャツが贈呈されました。


終わってみれば、想像以上の熱量を感じさせてくれた勉強会。これはもう定例化するしかないでしょう。もちろんこれを、DMM.comラボと、さくらインターネットだけの取り組みにしておくつもりもありません。興味のある企業の担当者の方は、ぜひともご一報くださいませ。第2回、いつか必ずやりますよ!!