北海道で働くには?クリエイティブな仕事はできる?石狩DCツアーでの対談から

2015/11/7〜8に開催された第4回さくら石狩DC見学ツアーの全体の行程についてはこちらの記事でご紹介していますが、ツアー中に行われたプレゼンテーションライトニングトーク(LT)について、書ききれなかったことは本記事にて詳細にご紹介します。

ツアー1日目に石狩DC内の会議室にて、さくらインターネットスタッフの方と株式会社はてなのアプリケーションエンジニアの方によるプレゼンテーションや対談がありました。
北海道を愛する者が集まる本ツアーならではの、北海道トークが繰り広げられました。

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北海道出身者が見る、北海道で働くこと

まずは株式会社はてなのアプリケーションエンジニアである中澤さんのお話です。
中澤さんは北海道・旭川市出身で、現在は株式会社はてな本社がある京都に勤務しています。
そんなキャリアを持つ中澤さんが、「中と外から見た北海道」を自らの経験をもとに語ってくれました。

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はてなエンジニアの中澤さん

北海道を出て、北海道の良さを再認識した

20歳まで過ごした旭川を離れ、客観的に外から北海道を見ることになった関西の生活で実感したことは、自分が生まれ育った故郷旭川は空気や水がきれいな、自然豊かなところだったということです。道外に出ず、ずっとそこに住んでいては分からなかった旭川の良さを、関西に来て再認識しました。

逆に、関西は東京ほどではないですが都会ですから、同じ道を歩むIT業界の同志や、居心地の良いコミュニティを見つけることが容易です。
そのような人と人とのつながりが実感でき、北海道よりも文化的な面で様々な刺激が得られるところが都会にいるメリットと感じているそうです。

自然環境が豊かで暮らしやすい北海道」と「人とのつながりでクリエイティビティを刺激してくれる都会」はそれぞれ良いところがありますが、同時に満たすことができないテーマのように見えます。

しかし、石狩DCを構え、北海道での存在感を増してきているさくらインターネットとして、これらの課題は本当に両立が難しいものなのかどうか、さくらインターネット代表田中さんを交えた対談でそれぞれの思いを語っていただきました。

対談:北海道で働きたい、北海道で働く意味は何か?

対談形式のセッションでは、4名の方に着席しディスカッションしていただきました。
・さくらインターネット 代表の田中さん
・さくらインターネット 大阪出身で石狩DC勤務の玉城さん
・さくらインターネット 北海道出身、東京でIT企業に就職後、現在石狩DC勤務の朝倉さん
・株式会社はてな 北海道出身、京都在住の中澤さん

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自然環境の違いだけではない、北海道で生きることの素晴らしさと難しさ

北海道といえば、見どころあふれる観光のメッカのイメージが強いですが、実際に北海道で暮らす、北海道で働くとなるとどんな現実が待ち構えているのでしょうか?
北海道内外から客観的に北海道の暮らしを見つめてきたパネリストの方の意見をお聞きしました。

玉城さんは大阪出身ですが現在は石狩DC勤務です。はじめは北海道に馴染めませんでしたが、今では北海道でご家庭を築きとても住みやすい環境を手に入れているそうです。

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さくらインターネット 玉城さん

朝倉さんは北海道出身で、東京に就職した経歴をお持ちです。
地元の北海道で働きたかったけれど、IT業界未経験で就職できるチャンスが北海道には無かったので、上京してIT業界に転職しました。
その後、さくらの石狩DCが2011年に稼働しはじめ人材を募集していることを知り、北海道に戻ってくることができました。

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さくらインターネット 朝倉さん

IT業界の雇用について、北海道は市場があまり開かれておらず、首都圏ほど流動的ではないので、北海道で働く意思を持っていてもなかなかそのチャンスに恵まれない現状があるそうです。
給料や報酬についても見劣りすることが多いため、優秀な人は首都圏に出て行ってしまいます。首都圏から北海道に移り住みたいという気持ちがあっても収入面での不安から、実行に移せない人も多くいます。

生活コストで考えると、北海道は土地や賃貸物件が安いというメリットはあるかも知れません。しかし、移動手段として自動車が欠かせないため車の維持費がかかったり、厳しい寒さを生き抜くための暖房費がかかるなど、首都圏よりもコストがかかる部分も多くあります。また、食料など消費にかかるコストは首都圏と比べてもそんなに安くならない、という現実があります。
それらを考慮に入れると、実際には生活コストは首都圏に比べて思ったほど安くならないそうです。一方で、収入面では依然として首都圏よりも大きな格差があるので、北海道で収入を得ながら継続して暮らしていくのには困難をともなう場合が多いそうです。

また、北海道はIT業界の雇用規模がまだまだ小さくベンチャー企業もそれほど多くないため、オープンなIT業界のコミュニティ活動があまり活発ではないという現状があります。オープンソースカンファレンス札幌(OSC札幌)など、歴史もあり大きく育ってきたイベントもありますが、首都圏に比べると自分たちにとって居心地の良いコミュニティを見つけることは困難です。
そういった人と人とのつながりによって得られる幸福度もまだまだ足りないため、北海道での業界全体のオープン化と流動性を高めることが課題となっています。

さくらインターネットとしては、そういった賃金面での地域間格差をなくし、北海道でのIT業界を盛り上げて、働く人のクリエイティビティを満足させるような風土を作り上げていきたいということでした。現在建設中の石狩DC3号棟は、データセンターとしての側面だけでなく、そうしたクリエイティブな場を提供できる建物にもしていきたいそうです。

今回の石狩DC見学ツアーでは、初めて北海道に降り立った参加者もおり、北海道はまだまだ遠い存在の方も多くいらっしゃいます。しかし北海道で暮らす、働くというテーマの今回の対談や、実際に石狩DCに職住近接で働いていらっしゃる方との交流を通じて、参加者の方は北海道の魅力やIT業界の盛り上がりについて、多くのことを実感出来たのではないかなと思いました。

石狩DCは今後どうなっていくのか? 将来あるべきDCの未来予想図

続いてさくらインターネット代表の田中さんに、石狩DCの今後について語っていただきました。

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さくらインターネット代表 田中さん

10月に幕張メッセで行われた 第4回データセンター展データセンター事業とIT社会の今後」で発表した内容をもとに、石狩DCの今後についてお話いただきました。

データセンターというと、最先端のハイテク機器が置かれた施設を思い浮かべるので、システムによる運用自動化もかなり進んでいると一般的には思われがちです。
しかし、実際のところはかなり人力に頼っているところが多いといいます。
サーバーを新しく設置するにあたって、ラックにサーバーをセットしたり、ネットワークに繋げるためのケーブルを接続したりといった作業は人間の手によって行われています。
田中さんいわく、これらの手作業は将来もっとオートメーション化され、データセンターとしての効率はさらに高まっていくだろうということでした。

そうしたときに、石狩DCはどんなところであるべきか?
人間は、単純作業中心の労働よりも、人間でなければできない「クリエイティビティ」を高めるための労働にシフトしていくし、働く場所もそのように最適化された空間になるべきです。
10月から建設工事が始まった石狩DC3号棟では、そこで働く人がクリエイティブな仕事ができるための最適な空間を作りたいということでした。

3号棟の試みとしては、人間の手によるオペレーションを減らすための工夫が施されるそうです。
例えば、建物内に新しく搬入されたサーバー機器をセットアップするとき、現状では人の手によってラックの位置まで運びこんで取り付ける必要があります。これをフォークリフトで運び入れられるように通路や扉などをバリアフリー化し楽に機器を搬入できるようにします。
また、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアも重要になってきます。いくらハードウェアが立派でも、運用面(ソフト面)で無駄なオペレーションをしていてはその性能が生かされないからです。
空調やエアフローなどシステムを制御するためのソフトウェアを新規開発することで、より効率的なデータセンターを目指します。

懇親会のライトニングトーク

続いて、1日目の夜の懇親会中に行われた、参加者のライトニングトーク(LT)について、総勢15名ほどのLT参加者の方の中から興味深かったものをいくつかピックアップさせていただきました。
「さくらインターネットのインフラを使って○○する」という、今回のDCツアーのテーマに近いものから、ただの観光レポートのようにまったく関係のないものまで、バラエティー豊かなLTでした。

Selenium Gridで遊ぼう

東平さん

石狩DC Selenium Grid 東平

東平洋史さん

Selenium Gridという、複数のマシンでブラウザアプリケーションを並列実行したり制御したりするためのツールの紹介をしていただきました。

Webコンテンツを作ったあと、様々なOSプラットフォーム、様々なブラウザで正しく表示ができているか確認するのはとても骨が折れる作業です。
そういったときに、Selenium Gridを使ったスクリプトを書くと、各ブラウザの表示確認を自動で行えるのでテストが楽になります。

LT中では、Windows上のIEを起動してGoogle検索する処理を書いたPythonスクリプトを、Ubuntu上で実行するデモを見せてくれました。UbuntuからWindows上のブラウザを制御できるなんて、夢が広がりますね。

スライドはこちらにて公開されています。

また、Selenium Gridについてはこのブログが参考になりました。
Selenium Gridで複数の実機ブラウザで自動テスト TECHSCORE BLOG

あなたとJAVA 今すぐJSに変換

@tikal ψ(プサイ)さん

平藤さん

ψ(プサイ)さん

プサイさんはJavaのコードをJavaScriptに変換するプログラムを作ったそうです。
JavaとJavaScriptはまったく違う言語ですが、TuringComplete(チューリング完全)が保証されている言語ということで、原理的には相互に変換できるはず、ということだそうです。
難しい話ですが、つまりどちらもプログラミング言語であり、出来ることは一緒だから相互に変換できるはず、ということです。

これでJavaScriptが書けないJavaプログラマも安心ですね!
そんなプサイさんの変換エンジンはこちら。
https://github.com/ledyba/java.js

Java から Javascriptに変換するにあたって苦労したところは、
JavaScriptにはgoto文が無いですが、このままではJavaのgoto文が変換できなくなってしまうので、苦肉の策でwhile(true)とswitch文の組み合わせで回避したそうです。

他にも制限事項はあるみたいですので、複雑なプログラムを変換しようとすると無理がでるかも知れません。
・Java6までにしか対応してない
・Javaのライブラリコードを利用する場合は別途これらもJSに変換する必要がある。
こういった制限があるので注意が必要です。

しかし今後が楽しみな試みですね!

ラジオを2ヶ月くらい録音できていなかったときってわけもなく悲しくなりません?

@_EOF_83_EOF_ きみづかみさと さん

公塚さん

きみづかみさとさん

毎週土曜日の午後に放送される、らじる★らじるというネットラジオで番組を聴くのが好きなきみづかさんは、このサイトにある番組を自動で録音できる「ラジオ録音サーバー」を立てました。

これはCronで実行するプログラムで、プログラムはここで公開されているものを利用しているそうです。
Linux でらじる★らじるも録音しちゃう

しかし、らじる★らじるのサーバーに仕様変更があり、今まで順調に動いていたプログラムが異常終了してしまっていたらしく、それに気付いたときにはすでに2ヶ月分の音声データが録音できておらず涙をのんだそうです。

そんな事故を防ぐために、cronで実行したプログラムが正しく動作しているかを何らかの形で連絡を受けるようにする仕組みを作り、毎週、ちゃんと録音ができているか確認する必要がある、というお話をしていました。

いつも同じようにプログラムが動いてくれると思って安心していてはいけないってことですね!

北海道=札幌? 北海道を分かってないぞいい加減にしろ

@tomio2480 西原さん

西原さん

西原さん

最初から「いい加減にしろ」と、とてもインパクトのあるライトニングトークでした。
北海道で生まれ育ち、現在は富良野で教育者として活躍している西原さんは、過疎が叫ばれている地方でも作って維持していけるコミュニティの立ち上げを模索してきました。これまで活動してきた経緯や動機を紹介してくれました。

西原さんが関わっているのは、FuraIT ( @furait )や、Ohotech( @ohotech )などです。
広くて人口が少ない北海道では勉強会をしたくてもなかなか人が集まりません。そこでどのような工夫をしたか?
北海道の観光と結びつけて旅行のついでに勉強会を行うようなイベントを催したり、複数のコミュニティと横のつながりもって、複数の場所で同時に勉強会を開催したりして、より多くの人が集まれる工夫をしました。
最新の技術に明るい人がいなければ、都会から人を招いて勉強会をしたり、学生の参加者も積極的に募ってコミュニティの輪を広げていきました。
これからも西原さんとそのまわりの北海道の愉快な方々が、コミュニティをどのように盛り上げて行くか非常に楽しみです。

その他のLT登壇者

他にもたくさんのLTが披露されました。内容については割愛させていただきますが、以下のような表題のLTが繰り広げられました。もしご興味がある内容がありましたらご本人に直接連絡をとってみてもいいかも知れません…?

  • 「某検索エンジンのDCとか」@Yuryu
  • 「お菓子神社を半年運用してみて得た知見」id:suthio
  • 「ある学生団体の停電日の話」@Cos5X
  • 「ヨーロッパ一人旅した」@krrrr38
  • 「共同開発しませんか?」波多野さん
  • 「メモリの在庫管理システムをSlack+hubot+Djangoで作ってみた」@tar_xzvf
  • 「さくらのクラウドで構築するCTF開催環境」@chibiegg
  • 「ふるさと自慢」太田さん
  • 「写真で振り返るさくらインターネット」鷲北さん
  • 「道産子じゃない埼玉人が見た北海道の技術勉強会」@com4dc
  • 「SSLとGitBucketでつくるプライベート開発環境」@fudafoota
  • 「タイトル未定(仮」@chamaharun