1月23日(土)に、徳島市にあるとくぎんトモニプラザにて「第29回さくらの夕べ in 徳島」を行いました。さくらの夕べとしては徳島県のみならず中国・四国地区での初開催となった今回のイベントの模様を、たっぷりとお届けします!


参加者も大半は初参加。ご来場ありがとうございます!

みんなで育てる徳島県産OSS・シラサギ

1本目のトークは地元・徳島から、株式会社ウェブチップスの代表である野原直一さんにご登壇いただきました。野原さんが代表を務めるウェブチップスは、オープンソースによるソフトウェア開発を事業とする会社です。今回は同社にて開発されているシラサギをご紹介いただきました。シラサギは徳島県の県鳥であることや、鷺山と呼ばれる巣を作って育てる様子がOSSを皆で育てるイメージに近いことから命名されました。

シラサギの中身は結構尖ってる!

トークの前半はシラサギの概要説明です。シラサギはWebアプリケーションの開発プラットフォームで、OSはCentOSとUbuntuに対応、WebサーバはApacheとnginxに対応しています。ソフトウェア的な特徴として、RubyとRuby on Railsを使って開発がなされていることや、データベースにMongoDBを採用していることが挙げられます。MongoDBは従来よく使われてきたRDB系のデータベースに比べて高速に動作するため、参照系の操作が多いCMSでの利用に適しているとのことで採用されたようです。


シラサギについて説明する野原さん

シラサギはプラットフォームであり、その上で各種アプリケーションを開発することができますが、現時点ではCMSだけが公開されています。CMSとしての特徴は、自治体向けのサンプルデータを多数保持していること、1台のサーバで複数のサイトを構築/管理できるマルチテナント対応、シラサギが鳥類であることにちなんでegg(卵)と名付けられた拡張プラグイン機能、管理画面も含めたマルチデバイス対応などがあります。開発体制としては約100社に呼びかけて共同開発を行っており、ソースコードはGitHubで公開しています。

さくらのサービスでシラサギを使うには

そして後半はシラサギをクラウドサービスで利用する話を展開されました。同社でシラサギを用いたCMSをクラウド上に構築する場合、クラウドサービスとしてGMOクラウド(アルタス)さくらのクラウドを利用しています。特にバックアップ環境を地理的に離れた場所に構築したいという要望があり、この点で当社の石狩データセンターが持つ災害リスクの低さや安定した電源/ネットワーク環境を高く評価してくださいました。

また、シラサギを運用する際の当社サービスの選び方についても、事例を交えながら解説していただきました。管理者が1人や2人といった小規模サイトは、さくらのVPSを利用すると月額1000円ぐらいで構築できます。管理者が数人いてサイトの規模も大きくなりそうなら、さくらのクラウドを選ぶとよいでしょう。これで月額2000円~4000円です。さらにアクセスが増えてきたら、システムをフロントエンドとバックエンドに分けて構成し、フロントエンドのWebサーバはロードバランサで負荷分散します。この構成で月額3万円ぐらいになります。


シラサギをさくらのVPSで使う

コミュニティ運営ノウハウも紹介

今後のシラサギの方向性としては、中小ベンダーが商材として使えるアプリケーションを数多く開発するとともに、シラサギのコミュニティ内で顧客のシステム構築を相互に支援する仕組みを作りたいとのことです。また、質疑応答の中で「コミュニティ運営に関して気をつけていることはありますか?」という質問が出たのですが、これに対して野原さんは「コミュニティ内に情報格差が生まれないように配慮しています。例えば開発コミュニティの定例会議は誰でも参加可能で、議事録をfacebookグループにて公開することにより、参加者が同じレベルの情報を得られるようにしています」と回答しました。コミュニティを運営する人はメンバーへの気配りを怠らないことが大切であると、あらためて感じました。

新機能満載!さくらのクラウドと構成例をご紹介

続いて2本目は、当社の研究所所長を務める鷲北賢が登壇しました。鷲北からは、自身が開発チームリーダーを務めるさくらのクラウドについて、サービス概要と構成例を紹介いたしました。


さくらのクラウドについて説明する鷲北

インスタンスではなくサーバ

はじめに当社のサービス全体について簡単に説明いたしました。かつてはコロケーションサービスや専用サーバサービスが主流だったのが、現在は仮想環境のサービスに主軸が移りつつあります。その仮想環境サービスの1つがさくらのクラウドです。もともとは開発者志向のシンプルクラウドを目指して立ち上げたサービスで、仮想環境を用いてシステムを自由に組みたい人に向いています。ちなみに、クラウドの業界では個々の仮想マシンを「インスタンス」と呼ぶ事業者が多いのですが、当社ではあくまでも「サーバ」と呼称しているのはこだわりの1つです。

さくらのクラウドは魅力的な機能が満載!

続いて、さくらのクラウドの特徴を紹介いたしました。1000台規模でもタグ付けや検索で容易にサーバを探せる管理画面、1時間単位の課金体系や転送量課金がないこと、サーバがネットワークにつながっていない状態でもブラウザで操作できるコンソール、ネットワーク構成図が自動的に生成されるマップ機能、さくらの専用サーバやハウジング機器とのハイブリッド接続、サーバを起動しなくても設定変更が可能なディスク修正機能、APIやCLIによる制御、サーバ作成時にスクリプトを実行してソフトウェアや設定を投入できるスタートアップスクリプト、そして最新のリリースであるシンプル監視に至るまで、日々アップデートを続けています。


ユーザに好評のマップ機能

さくらのクラウドでシステムを育てよう

後半は、さくらのクラウドをどう使うかという話がありました。さくらのクラウドに向いているユーザは、小さなシステムで始めて大きく育てたい人、イベント時だけサーバを大量に追加したい人(例えばサイトがテレビで紹介されてアクセス津波が来るとか)、配信コンテンツが多く大量のトラフィックが発生する人(転送量課金がないので安心)です。システムの成長モデルとしては、1台でWebサーバとデータベースを稼働→データベースをローカルネットワークに置いて冗長化→Webサーバも冗長化してロードバランサで負荷分散→監視サーバやVPNによるメンテナンス回線の設置→APIやCLIを使ってサーバの作成/更新を自動化、と続きます。ハイブリッド接続を用いて物理サーバと接続したり、他のクラウドサービスとVPNで接続して連携するなどの構成も組めます。

トークの最後に、昨年鷲北が著した「新米サーバ/インフラ担当者のための仮想サーバ/クラウド技術の常識」が紹介されました。前述の成長モデルに沿ってシステムを構築する過程を、さくらのクラウドを例にしながら勉強できます。ぜひお読みください。また、この講演の資料はSlideshareにて公開しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。

イベントの締めはライトニングトークで

イベントの最後のコーナーはライトニングトークを行いました。1人5分の持ち時間で、各々の取り組みをご紹介いただきました。タイトルと発表者は以下の通りです。

  • 「部屋とさくらインターネットと私」Yuko Oshimaさん
  • 「さくらのレンタルサーバ新サービスの紹介」大角幸正(当社 営業本部)
  • 「さくらのクラウド・開発と運用 裏話的な何か」鷲北賢
  • 「部活、しませんか? ~さくらのコミュニティ さくらクラブ のご紹介~」林雅也(当社 広報宣伝室)

徳島から唯一登壇してくださったOshimaさんの発表は、当社のサービスをかなり使い倒していて、とてもおもしろい内容でした。ご発表いただきありがとうございました!

おわりに

今回、徳島でさくらの夕べを開催することになったのは、昨年10月に福岡で行われたオープンソースカンファレンスにて野原さんにお会いした際、「徳島にもぜひ来てくださいよ」とお声がけいただいたのがきっかけです。

当社のお客様は全国にいらっしゃいますので、ユーザの皆様と交流するイベントも各地で行いたいところですが、実際にはなかなか大変です。その点、今回のように地元からお誘いをいただけると当社としても動機付けになり、そのおかげで実現にこぎつけることができました。野原さんをはじめお集まりいただいた皆さんに深く感謝します。

もし、この記事を読んで「うちの地元にも来てほしい!」というご要望がありましたら、筆者かさくナレ編集部までご連絡ください。できる限りお応えしていきたいと思っています。今度は皆さんの街でお会いしましょう!