2017年5月26日(金)に福井県・鯖江市にて行われた、プログラミング教育カリキュラム考案をテーマとしたIoTハッカソン。2020年以降に施行される小学校でのプログラミング教育の必修化に向けた取り組みとして、早くも一部のエンジニア界隈で話題となっています。

そこでここでは、そのイベントを主導した「PCN(プログラミング クラブ ネットワーク)」の中核メンバー3名(株式会社ナチュラルスタイル松田社長、株式会社jig.jp 福野社長、株式会社ict4e 原社長)と、「KidsVenture」運営委員会代表(さくらインターネット株式会社 髙橋執行役員)の、計4名に、このハッカソンの背景や狙いについて語っていただきました。

なお、ハッカソンの詳細・結果についてはこちらのレポート記事をご参照ください。

僕たちの手でプログラミング教育を盛り上げていきたい

−−今回のハッカソンについてお聞きする前に、PCNとKidsVentureという団体の詳細について教えてください。

松田さん:PCNは、プログラミング クラブ “ネットワーク”という名前からも分かるよう、各地のプログラミングクラブをつなぐ連絡網的な組織です。情報やノウハウを共有することで、より効果的なプログラミング教育を行えるようにすることが最大の目的となります。3年ほど前に、僕と福野さんの雑談から生まれました(笑)。

当初は、福井高専卒業生を中心に、福井県内での活動を主としていたのですが、始めて半年くらいのころに、仙台に飛び火。古くからの知り合いが話を聞きつけて、PCNという名前を仙台でも使いたいと言ってきてくれたのです。そうしたら、全国各地から参加したいという声が上がり、北は北海道から南は鹿児島まで、日本全国で活動するようになっています。

−−わずか3年で、日本全国をつなぐネットワークができたというのは素晴らしいですね。

福野さん:日本だけではありません。一昨年にはモンゴルで、昨年にはベトナム、シリコンバレーにもPCNの輪は拡がっています。今年はさらにタイにも新たな参加団体ができる予定なんですよ。

−−日本では今、にわかにプログラミング教育が盛り上がっていますが、世界的にはどうなんでしょうか?

松田さん:今、先進国だけでなく、世界中でプログラミング教育が盛り上がっています。きっかけとなったのが4年ほど前にスタートした、イギリス公教育におけるプログラミング教育の必修化。これを受けて各国が追いつき、追い越せとこれを加速させ始めているのです。

--それは、先進国だけではなく?

原さん:僕はかつて海外青年協力隊の一員としてアフリカで活動していたことがあり、その経験を踏まえて、プログラミング教育なども含めたICT事業を展開しているのですが、アフリカでも一部の国ではそうした取り組みに興味を持ち始めています。特にルワンダのように、産業や資源のない国が積極的ですね。

--対するKidsVentureはどういった組織なのでしょうか?

髙橋さん:こちらは、2014年春ごろに、札幌に本社を構えるビットスター株式会社の若狭さん(取締役COO)から、子供向けに何か社会貢献的なことをしたいと相談されたのが設立のきっかけです。実はその時点で、PCNの活動を知っており、福野さんとも面識があったので、ビットスターとPCNをつなごう、と。

ところが、その顔合わせのために設けた飲み会の席で、酔っ払った勢いで、さくらインターネットもこの流れに合流することになり、「KidsVenture」という名称やコンセプトの決定なども含めてがっつり関わることになってしまいました(笑)。

--KidsVentureの目的を教えてください。

髙橋さん:PCNなどの活動を通じて、プログラミングに興味を持った子供たちが、もう少し大きくなった時に、“次の一歩”を踏み出すお手伝いをすることが目的です。例えば、さくらのインフラやIoTの利活用を教えてあげたり、起業のアドバイスをしたり……。100人に教えて、100人が起業するとは思っていませんが、どのような生き方を選ぶにしても、プログラミングの知識は武器になると思うのです。

松田さん:僕もPCNとしての活動をしつつ、KidsVentureでも講師として参加しているんですよ(編集部注:PCNは、KidsVentureの協力団体として参加)。

--そういう経緯があって、今回の合同ハッカソンに繋がるのですね。ところで、今回のテーマは「IoT」を子供に教えるためのカリキュラム作りだそうですが、これにはどういう意図があるのですか?

福野さん:IoTは大人のエンジニアも注目している、今、とても面白いトピック。これをKidsVentureの教材としたら面白いのではないかと思いました。実際、僕もIoTをテーマにしたハッカソンを何回かやっているのですが、そのたびに面白いものがでてきて驚かされています。

髙橋さん:ただ、現在はそのための教材がないのが問題。そこで、それを作ることをハッカソンにしたらどうだろうと考えました。ただ、いきなりゼロから作るのはとても難しいので、すでに優れた教材がたくさん存在する「IchigoJam」を土台にすることにしました。今回、多くの参加企業・協力企業からたくさんのエンジニアが参加してくださって、本当にうれしく思っています。

--ただ、子供向けに「IoT」というのはハードルが高すぎではありませんか?

福野さん:今の子供にとってインターネットというのは当り前のもの。インターネットを介してスマホを鳴らすなどといった操作は、目の前のLEDを光らせることの延長でしかありません。「sakura.io」を使えば技術的なハードルも大きく下がりますから、これを使わない手はありませんよね。

どんなカリキュラムが生まれてくるかとても楽しみ!

--皆さんは、今回のハッカソンでどのような作品(カリキュラム)が生まれてくることに期待していますか?

髙橋さん:夏休みの宿題が楽になるようなことを学べると良いですよね。子供がメリットを感じられるものが良いと思います。

松田さん:確かに自分の今の生活にすぐ役立つツールは子供の受けが良いですね。そういう、食いつきの良さもしっかり意識してほしい。私の経験で言うと、やっぱりゲームですね。そういう工夫にも注目しています。

福野さん:テーマが「IoT」なので、ネットに繋がることを上手に活かしてほしい。その上で、画面の上だけで完結するのではなく、物理的に何かが動くようなものだと、子供たちのモチベーションが上がりますよ。そういう教材ができたら良いなあって期待しています。

原さん:僕はその教材をぜひアフリカにも持って行きたいと考えているので、とにかくシンプルなものが良いですね。言葉ではなく、絵で説明できるようなものが良い。また、世界中、どこに行っても通じるようなものだとうれしいかな。

松田さん:これまでいろいろなハッカソンをやってきましたが、カリキュラムを作るというハッカソンは今回が初めて。何が出てくるのか分からないドキドキ感も含めて楽しませてもらおうと思っています(笑)。

ハッカソンの詳細・結果についてはこちらのレポート記事をご参照ください。