みなさんこんにちは!
さくらハウスのインターン ヒューマです!

5月31日(火)に「さく生 緊急特別編『さくらのIoT Platform αをいち早く開封して、夏っぽいなにかにつなげてみる』」が行われました。

「さく生」は鹿児島に生まれたスタートアッ​プとテック文化を盛り上げる場所「​さくらハウス」から毎月1回(​不定期)全国へ配信するニコ生​チャンネルです。スタートアッ​プやITに関わる様々な方を​ゲストに、普段聞くことのでき​ないノウハウや経験談などを、ラ​イブならではのカジュアルな形​で放送しています。

今回は緊急特別編となる放送「さく生 緊急特別編『さくらのIoT Platform αをいち早く開封して、夏っぽいなにかにつなげてみる』」の様子をご紹介します。

なぜ鹿児島で初公開?

今年2月8日に行われた「さくらのIoT Platform記者説明会」の様子を当日さく生で放送したことからはじまります。視聴者数は普段の放送と比較しても多く、この新しいサービス・技術にみなさん注目の様子でした。

その影響は当然さく生の放送地である鹿児島にも波及し、鹿児島コミュニティからの強い要望によって、さく生にて開封の儀を執り行う運びとなりました!

なんと本放送にて『さくらのIoT Platform α』は初公開!
そのため緊急特別編という今までにない形式で、しかも5名の関係者ゲストをお呼びして、非常に内容の濃い、盛りだくさんの放送になりました。

『さくらのIoT Platform』とはなにか?

『さくらのIoT Platform』は、ユーザーの製品に組み込むためのさくらの通信モジュールと、それを実現するネットワーク(プラットフォーム化された閉域網)を提供するさくらインターネット株式会社(以下、さくらインターネット)のサービスです。

「ネットワークとモノを簡単、安全に接続し、情報の相互通信を可能にする」と公式でも謳っているように、様々な製品に通信モジュールを組み込むことにより安全性が担保された通信環境や、データを保存/分類するためのクラウド環境が用意されています。

放送の前半は、『さくらのIoT Platform』開発の核となった以下の3名を中心にトークが繰り広げられました。

  • 山口亮介さん
    • さくらインターネット株式会社 IoT事業推進室 室長
    • さくらインターネットのIoT事業全体を指揮。
  • 江草陽太さん
    • さくらインターネット株式会社 プラットフォーム事業部
    • 『さくらのIoT Platform』の全体の設計・開発を担当。
  • 椚座淳介さん
    • 株式会社エイビット 技術開発2部 部長
    • 『さくらのIoT Platform』のIoTモジュールの回路設計・開発・製造を担当。

『さくらのIoT Platform』の概要と、これまでの経緯や狙いをIoT事業推進室室長山口さんにお聞きしました。

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「モノがつぶやけばいいのに」

「『さくらのIoT Platform』開発のきっかけは、さくらインターネットの代表取締役社長 田中邦裕さんの『モノがつぶやけばいいのに』という一言でした。
なのでニーズがあってはじめたわけではなく、モノがつぶやけばいろんな人がそのデータを整理・分析・利用する。世の中の流れとして、そういうものが必ず求められるはずだという直感が原点でした。」

サービスや新規事業というとニーズ、また誰かの課題を意識することが多いですが、『さくらのIoT Platform』は時代を先行し、新たな世界を作っていく試みだと感じました。そしてそれを形にできる高い技術力と人材・企業体制がうかがえます。

「風が吹けば桶屋が儲かる」を解析したい

「風が吹けば桶屋が儲かるということわざがあるように、社会には証明はないけど、関連がありそうな物事が多くあります。もし「モノ・コト」の関連性が分かるようになると世の中がおもしろくなっていきそうだと思っています。それらのデータが集まるオープンなプラットフォームをつくることによって、もっと良い世の中にしたい。それがさくらインターネットの思いです。」

2月の記者会見の際もサンプルや利用例として「センシング」という言葉が幾度も出てきました。このことからもモノづくりだけでなく、世の中の色々な作用の関係性を紐解くことで、新たにでてくる価値観やアイデアを期待している印象を受けました。実際に「私たちがモノづくりをするのではなく、モノづくりをされる方々を支援する環境や技術を提供したい」という言葉からも強くそれを感じました。

SIMモジュールで広がる世界

IoTハードウェアの中には、Wi-FiやBluetoothなどの環境でのみ通信するものもあり、インターネットへの接続に関してもテザリングによって単体ではなくスマートフォンを介すものが主流でした。
山口さんは、SIMモジュールが搭載されるメリットや広がりを以下のように説明されました。

「『さくらのIoT Platform』はSIMモジュールで通信を行うことで、Wi-Fi圏内にとらわれないより広い場所、そして電源を入れるだけというより簡単な操作手順で通信が可能です。
自家菜園に例えると、従来はWi-Fiが届く範囲にあるベランダなどの土の情報しか収集できなかったのが、『さくらのIoT Platform』は自宅から数キロ離れた自分の畑の土の情報はもちろん、その気になれば北海道から沖縄までの畑の情報を監視することができるようになります。
操作手順もWi-FIだと通信設定という手間が発生するので、特にセンサーが1万個などというケースには、電源が入れば通信が始まるSIMモジュールの方が圧倒的に簡単です。」

すでにホームIoTとよばれる機器は目にしますが、通信設定というハードルが使える人を選ぶ現状です。一部のITリテラシーの高い方々だけでなく、老若男女問わず一般の方々が使えるとはまだいえない現在ですが、ポットやクーラーなどの日用品に「個別通信する機能がついてるのが当たり前」という世界はすぐそこに迫ってるのかもしれません。

さくらの武器はセキュリティ対策?

最近ではホームセキュリティとしてのIoTを目にすることがあります。その際気になるセキュリティについてお伺いしました。

「『さくらのIoT Platform』を使って集められたデータは、インターネットへは繋がらず、閉域網に集められるのが今回のサービスの大きな特徴のひとつです。
この閉域網は、誰でもアクセスできるインターネットに対して、モジュールとさくらインターネットのシステムのみが接続できる文字通り閉鎖的なネットワークのことです。」

「閉域網による認証や高度な防御に加えて、このシステムは当然さくらインターネットが管理しているため、すぐにアップデートが可能、セキュリティ対策も随時更新できるという万全な環境を実現しています。
『気がついたらサービスではなく、セキュリティを守るために必死に開発をし続けていた』という最悪な事態を防ぐ、当たり前のようですが、インターネット創世記から日本のネットインフラを支え続けてきたさくらインターネットだからこそ、という仕組みだと思っています。」

インターネット外からアクセスすることも、インターネットへアクセスすることも直接的にはできない仕組みになっています。IoTという技術に対してセキュリティを不安視する意見もありますが、「鍵をなくす可能性」「鍵をコピーされる可能性」という物理的セキュリティと比べてみても非常に高いセキュリティ基準を設けていることがわかります。

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今回のα版提供は、壮大なフィールドテスト

「α版に期待されるのは、ユーザーの使用用途を把握することです。
『さくらのIoT Platform』をどのように使うかという点は、ユーザーに投げかけて意見を集めたほうが、絶対良いものができるという方針からです。」

さくらのIoT Platformは使用場面を推奨したり、限定させたりしていません。IoTという技術の特性上、ありとあらゆるモノとつなげることができるため、ほぼ無限の使い方ができます。「今後の可能性を開発者に考えてもらおう」というフィールドテストは、前述した「私たちがモノづくりをするのではなく、モノづくりをされる方々を支援する環境や技術を提供したい」という言葉の実現だと感じました。

「開発した本人も誰がどう使うか予測できない、α版を入手した人もどうすればいいか分からないのが当たり前という状況です。」

この壮大なフィールドテストは、私たちにどんな世界を見せてくれるのでしょうか。期待が膨らみます。

どのように開発されたのか?

実際の開発をスタートしてからリリースまで驚くスピードで世に出た『さくらのIoT Platform α』。その中核となった中の人に、開発プロジェクト秘話をお話しいただきました。

開発体制

ソフトウェア、ハードウェアに分かれて開発され、対面でのミーティングも最小限。インターフェースをしっかり取り決め、後はメッセージのやりとりのみで効率化を極限まで図った開発体制だったそうです。

ソフトウェア

さくらインターネットが担当。江草さんが中心となり開発。
アプリケーション。通信モジュールや、通信部分のプロトコルを担当。

ハードウェア

エイビットが担当。椚座さんが中心となり開発。
低レイヤーのソフト、ネットワークにつなげる部分などを担当。

構想からα版提供までの道のり

山口さんは約1年前に「モノがつぶやけばいいのに」というさくらインターネット代表取締役社長の田中さんの発言を耳にしたそうです。そして昨年の12月に田中さんの言葉が、IoTサービスという形になりプロジェクトがスタートします。

「今年の2月の記者発表の時点では開発方針は決まっていたが、実は製品はない状態でした。」

そこから本格的に開発は始まり椚座さんが回路設計、製図を担当。
3月は、通信モジュールの中のプログラム、サーバー側のアプリケーション、システム一式を用意し、4月のテスト、製造を経て5月に出荷に至ったということです。

SIMモジュールを内蔵という点でも関係各社、通信事業者等々の調整もあったでしょうが、ハードウェアの開発とそれに付随するアプリケーションが実質2ヶ月強というのは驚きです。異なる会社間で、しかもありきたりなものではないサービスを想像しながら実装していく姿は、今後新たな領域に挑戦する開発者としても見習いたい姿になるのではないでしょうか。

やっぱりタイトだった開発日程

さくらインターネットはソフトウェアとインフラが専門の会社。今回のプロジェクトは、ハードウェアの製造があるのでチャレンジといえるもので、「多少無茶はあった」と3名が口を揃えるほどタイトな開発日程だったそうです。

「なんとかやり遂げられた背景として、椚座さんをはじめとするエイビットさんや、その他の協力企業の貢献が大きかった。ソフトウェアの開発、サーバーの構築が大変だったこともあるが、ほかの業務も並行して行っていたので、大変だった」

と江草さんが振り返りました。

いよいよ開封の儀!

いよいよさくらのIoT Platform α版を開封というところで番組は後半戦へ。
ゲストとして今回タイトルにもある「〜夏っぽいなにか」の制作を担当した鹿児島テックコミニュティから以下の2名が加わりました。

  • 吉本幸芳さん
    • 鹿児島組込みシステム推進協議会メンバー
    • 今回のIoTモジュール開封の儀用のつなげてみたハード部分を担当。
  • 松岡宏満さん
    • さくらクラブ鹿児島メンバー
    • 今回のIoTモジュール開封の儀用のつなげてみたソフト部分を担当。

吉本さんはハードウェアの開発を、松岡さんはWeb開発会社でソフトウェアを専門に日頃お仕事をされています。さくらのIoT Platform α版を使って当日夕方から連携し始め、番組に登場いただきました。

重厚感ある金属製のケースに包まれた趣ある外装

特別に作成された金属製のケースに梱包されており、ケースにはシリアル番号も印字されています。

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内容品

  • モジュール(SoftBank版)
  • モジュール(SORACOM版)
  • 棒形アンテナ
  • 板型アンテナ
  • ケーブル
  • 説明書(ドキュメントのURL、ピンアサイン表)
  • さくらのクラウド2万円分チケット
  • シール(α版限定デザイン)

ハードウェアのわからない人から「これはなに?」という質問も飛び交いながら、ひとつひとつ解説いただきました。吉本さんいわく、「これだけあれば困らない」通信モジュールのセットになっているそうです。

SIMはセキュリティを考慮

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「IoTのデバイス自体にデータを送ることも想定しており、さくらのIoT Platformに命令を送ればデバイスのデータ送付も可能です。双方向に通信できます。
SIMに関してはモジュールの中で固定されており、取り外しは禁止されています。」

実際にSIMカードは基盤の間に隠れるように設置されており、取り外しできる感じではありません。チラリと見える白い物体がSIMカードのようです。
また、仮にSIMを抜いても接続情報が分からないので繋がらず、他のモジュールを攻撃できない仕組みになっているそうです。

閉鎖網ネットワークのセキュリティについて前述した通り、あらゆる状態でのセキュリティを考慮されている印象を受けました。

ちゃんと動くかな? いよいよ「夏っぽいなにか」をつなげてみよう

吉本さんと松岡さんが作成したプロダクトサンプルは、水分量を測るセンサーを接続し、水分量が一定になるとさくらのIoT Platformを介したビールサーバーからビールが注がれるというものでした。

水分量が自作のコントロールパネルでグラフ出力され、問題なく受信できていることが確認できました。

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…が、しかし!

本番ではビールサーバーのモーターに不具合が出てしまい、うまくビールを出力することができませんでした。(※さくらのIoT Platformは問題なく接続・稼働しました!)

急遽「ビールがでる」→「LEDが光る」に接続を修正し、生放送時間内で実装を完了させました。

WebSocketとJSONで実装

モジュールからデータあげるのも簡単にできて、WebSocketやJSONの基本的な知識さえあれば、誰でも扱えると思います。これまでの知識にプラスしてなにかを勉強しないといけないなどはありませんでした。

とサーバーサイドを担当した松岡さんはお話しされ、開発を担当した江草さんも頷いていらっしゃいました。

感知システムも作ってしまえば、監視している畑の水分量が一定になると、散水する・窓を開けて換気するなどの使い方も可能だそうです。

やっぱり難しかった? いや、めちゃくちゃ簡単。

ハード担当:吉本さん

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「実際に、α版を使って接合したのは18時(放送1時間前)が初めて。それが、18時30分には形になっていたのですごくスピード感がある。わたしはJSONって聞いたことあるけど、詳しくは知らない。逆に、細かいデータの話を(ソフト専門の)松岡さんにしても『なんだろう?』となる。そこを上手く埋めることができている気はした。簡単にできて驚きました。」

サーバー担当:松岡さん

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「ハードのことは全く知らないけど、とりあえずIoT Platformからデータが引っ張れるからそれを処理するだけ。めちゃくちゃ簡単でした。」

まとめ

気になる料金プランは検討中とのことですが、2年間の通信料込で1万円以下を目指しているとのことです。山口さんが番組冒頭おっしゃった「世の中のエンジニアさんが幸せになってほしい」という言葉の形として、『さくらのIoT Platform』は一直線に実現に向かっています。

また『さくらのIoT Platform』は、ソフトとハードの架け橋となり、今回のようなお互いの専門知識を持たないチーム構成でもモノづくりをすることができました。
これはコミュニティとしても大変うれしいことで、こういったモノづくりをテーマとしたイベント、ハッカソンや勉強会など、異なるスキルを有した参加者の共通項が増えることを意味します。
今後(すでに)全国的にもIoTのコミュニティ・イベントは各種開催されていくでしょうし、このような多様性によって新たなアイデアやイノベーションへと繋がることにワクワクします。

今後はβ版を経て、2016年度中の正式版提供を目指しているそうです。
引き続き動向をチェックしたいと思います!

我々ができることはすべてやる

最後に、山口さんのコメントをご紹介します。
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これからいろんな人が作り、いろんなモノができ、これからいろんなサービスができてきて、サービスの過程で出てきたデータというのがおもしろい世の中をつくっていくという良い循環ができるはずです。

そのために我々ができることはすべてやります。

こんなことがあったらというのは、ぜひ言ってくだされば対応していきたいと思ってますので、みなさんよろしくお願いします!


後記

鹿児島HTML5 Partyで扇風機IoTを完成させました

今回「夏っぽいなにか」はビールサーバーのモーター不具合により断念してしまったので、今度は手の水分量をセンサーで読み取り、閾値を超えると風を送ってくれる扇風機IoTを作り上げてくれました。
以下動画ではセンサーと扇風機が同画面に写っているためイメージしにくいかもしれませんが、これが遠隔地でも、またWi-Fi環境等ない野外でも同じように動かすことができます。

松岡さん、吉本さん、改めてご協力ありがとうございました!