2016年2月5日、IoTのバックエンドプラットフォームを提供するMilkcocoaがウフル社に事業譲渡されました。Milkcocoaはさくらのクラウド上に構築されており、さくらのIoT Platformへサービス提供してもらっています。そんな買収に関するお話をウフル社の古城(こじょう)さん、部谷(ひや)さん、川野(かわの)さんに伺ってきました。

「買収については私も直前まで知りませんでした(古城)」

――今回の事業譲渡について、経緯を教えてください

部谷さん。以下部:ウフルの古城さんとはじめて会ったのは去年の8月11日のカフェでした。

古城さん。以下古:良く覚えてるね、確かに暑い日だった。

部:元々はウフルが開発しているNode-Redを使ったIoTプラットフォームenebularにMilkcocoaをつなぎ混みたいというパートナーシップの話でした。話した内容自体はあまり覚えていないですが、データフローというキーワードが出てきたのは良く覚えています。

古:MilkcocoaがMQTTブローカーをやっていて、面白そうだったんだよね。で、マッシュマトリックスの富田さんを通じて紹介してもらいました。

部:その後、Technical Rockstarsとして会社の存続のためにも開発受託をしないといけないという状態になったんです。それが8月29日だったと思います。知り合いに声をかけて10社くらい返事をもらった中にウフルさんがありました。

古:その時、enebularの機能追加を委託して、それは今も継続しています。

――そこではまだ事業譲渡までいかないですよね。その後何があったのでしょう?

部:enebularの開発やテクニカルオフィサーを行っている時、それをFacebookにアップしていたらウフルの代表取締役である園田さんが投稿を見つけて「ランチに行こう」と誘われました。同じラサール出身で、会話が弾んでいく中で「中に入って、一緒にやっていこう」と言われました。そこから事業譲渡の話が進んでいったという流れです。

古:実は私はその流れをまったく知らされていなくて、クリスマス前くらいに突然二人から言われてびっくりしましたね。

部:その後は年末年始、みんなで譲渡に関する話を詰めていました。12月30日くらいにDMM.Makeを訪問して小笠原さんとも話したのですが、年末だというのに作業場には普通に制作している人たちがいっぱいいましたね。

ウフル 古城さん
ウフル 古城さん

「Milkcocoaをぶつけて化学反応を起こしたい(部谷)」

――事業譲渡する上でお互いのシナジーはどこにあると感じていますか?

古:元々私からenebularのパートナーとしてMilkcocoaを考えていたのでシナジーはあると感じています。ウフルでは2014年くらいからIoT案件を取り扱っているのですが、データ量が年間数億件にも達します。それの集計を早くしようと思うとメッセージブローカーが必要になります。AWSのKinesisという選択肢もあるのですが、企業によってはオンプレミスでやりたいという要望もあります。そこにMilkcocoaがぴったりと収まるんです。

後、Milkcocoaには私たちにはなかったカジュアルな個人レベルの開発者や、プロトタイプ開発者との繋がりがとても強く存在します。ここも大きな魅力です。

部:私は元々ビジュアル言語を作っていました(via データの流れが見える新プログラミング言語「Flower」を開発した学生プログラマたちが目指すこと #flowerlang|CodeIQ MAGAZINE)。しかし、これをビジネスにしていくというのは正直大変です。そんな中、同じようなビジュアル環境であるNode-Redを使ってウフルさんはビジネスをしています。これがとても魅力的でした。

私たちにはMilkcocoaがありますが、私たちが頑張っても個人開発者中心からなかなか広がらなかったと思います。しかしウフルさんには企業のクライアントがたくさん存在していて、案件の規模も大きいです。そこに私たちのサービスを組み込んでどんな化学反応が起こるのか見てみたいと思いました。

古:なお、Milkcocoaのブランドは残していきます。そしてエンタープライズにおけるMQTTブローカーとして私たちのソリューションに組み込んでいきます。すでにある開発者コミュニティは方針を変えず、もっと大きくしていきたいと考えています。

――ウフル社としては今度どんな分野に展開していくのでしょうか?

古:私たちはIoTマーケティングと呼んでいるのですが、デジタルサイネージをはじめとした表現とIoTを組み合わせた展開をしたいと考えています。すでにUhuru Filmsという自社内製の映画作成も行える体制ができています。クリエイティブ、マーケティングそしてIoTが事業の柱になっていきます。

Open Hybridというオープンソース・ソフトウェアのコミュニティも運営しています。これはARを使ったものの操作ができるソフトウェアなのですが、enebularのバックエンドに組み込んでいきたいと考えています。

ウフル 部谷さん
ウフル 部谷さん

「スタートアップにとってさくらのクラウドはぴったりだと思います(部谷)」

――お二人が今注目している技術やサービスがあれば教えてください

古:私はすでに挙げているNode-REDOpen Hybridですね。

部:私は最近ゲーム(リアルタイムストラテジー:RTS)を作ったりしています。後はブロックチェーンで知られるようになってきたP2Pや、ディープラーニングは面白いので色々実験しています。ブロックチェーン絡みだとEthereumが面白いと思います。

――話は変わるのですが、Milkcocoaが基盤としてAWSからさくらのクラウドに移った話を聞かせてください

部:移行は2015年4月頃に行いました。きっかけとしてはさくらインターネットの小笠原さんに出資してもらったということもあるのですが、それまで使っていたAWSでは月額費用が重たくなってきたという状態でした。Milkcocoaは分散型システムなので、CPUをかなり使います。AWSとさくらのクラウドを比べるとCPUの価格性能比が2倍くらい違うんです。その意味でさくらのクラウドは良い移行先になりました。

(右)ウフル 川野さん
(右)ウフル 川野さん

実際の移行ですが、実はあまり苦労していません。サーバ台数は30台くらいあったのですが、提供する機能ごとに細かくスコープを切って、マイクロサービス化しています。その上で、各サーバがAPIを通じて疎結合で繋がっているアーキテクチャです。今回は、そのサービスごとに順番に移行するという手順でした。この方法の場合、最初のシステム構築において開発工数が増えたり、管理が複雑になりやすいのですが、サービスごとの負荷に応じてサーバリソースを増強したり、サービスのアップデートも容易になります。特に今回のような移行ではマイクロサービス化されているメリットが大きかったと思います。

古:このサービス分割と疎結合化はenebularの中でも活かされています。元々はモノリシックなシステムだったのですが、開発を委託していく中でどんどんマイクロサービス化しています。

部:さくらのクラウドは他のクラウドベンダーと比べて機能あたりの単価が安いので、サーバリソースをどれくらい使うのか予想しづらかったり、サーバ台数を柔軟に増減したいと思われたりしているスタートアップには特にお勧めですね。スタートアップならさくらのクラウドですよ!

――ありがとうございました!

さくらのスタートアップ支援チーム 油井(タブレットの中)、鎌田(右)
古城さん、部谷さんと、さくらのスタートアップ支援チーム(タブレット、右)

Technical Rockstarsは開発者数名のバリバリのスタートアップ、対するウフル社はSalesforce向けのソリューションを持つなどエンタープライズ案件を多数こなす大きな企業です。まったく異なる両社だけに、この事業譲渡がお互いに新しい刺激を強く感じているようです。これからの展開がとても楽しみです!

最後に、ウフル・テクニカルロックスターズ様より

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