さくナレ スタートアップ企業訪問(Vol.1:AmazingLife株式会社~旧態依然とした葬儀業界にテクノロジーの力で革命を!)

さくらインターネットが注目するスタートアップ企業を紹介していく本連載。その記念すべき第1回目となるのは、AmazingLife(アメージングライフ)株式会社です。葬儀やお墓といった「ライフエンディング」業界に颯爽と登場した同社の取り組みについて、代表取締役/CEOである篠原豊さんにお話をお伺いしてきました。

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AmazingLife株式会社 代表取締役/CEO 篠原豊(しのはらゆたか)さん

“終活”をデジタルで透明性の高いものにしたい

――まずはAmazingLifeがどのような会社なのかを教えてください。

篠原さん:AmazingLifeは、高齢者とそのご家族の方々のために、“終活”にまつわるさまざまなご支援をさせていただく会社です。お葬式やお墓のことから、その後の法事のことなどまで、あらゆる課題を取り扱わせていただいています。私たち自身は葬儀社としての機能は持っていないのですが、日本各地のパートナー企業と連携しつつ、「AmazingLife」というブランドの元で一元化されたサービスを提供しています。

そして、それらをインターネット上のeコマースというかたちで提供していることが最大の特徴。私たちの基本サービス「シンプル葬」では、まるでPCの仕様をカスタマイズしていくような感覚で、お葬式の内容をオーダーできるのです。もちろん、24時間365日利用可能。決済もクレジットカードを使います。

また、終活に関する情報を提供するオウンドメディア「終活なび」も運営中。お墓を建てるのにはいくらかかるのか、家族が亡くなったとき、残された遺族は何をどの順番でやっていけばいいのか、お坊さんへのお布施はいくらくらい包めばいいのかなどといった終活情報をまとめています。昨年頭にスタートし、現在は月間20万PVくらい。今後も、さらに内容を充実させていく予定です。

加えて、今年8月末から新サービス「ラストウィッシュ」を開始しました。これは遺言書の作成から葬儀・墓、死後の手続き代行まで終活のあらゆる課題をまとめて終末資金と共に託せるサービス。家族に負担をかけず、自分が元気なうちにお金のことも含めて生前契約で片付けておきたいという人のためのものです。

――篠原さんはどうしてAmazingLifeのような会社を立ち上げようと思ったのですか?

篠原さん:実は私の前職は、葬儀とはなんの関係もないネット業界。しかもセキュリティに関わるB to Bの市場でした。そんな私がこの業界に飛び込むきっかけとなったのは、2010年、2012年に私の両親が相次いで亡くなったため。当時は葬儀や宗教に関する知識が全くなかったため、その手続きにとても苦労してました。なにもかもアナログで、しかも不透明。正直、揉めました(苦笑)。その体験がAmazingLife起業の“原動力”となっているんですよ。

――終活をデジタルで、明瞭なものにするためにAmazingLifeを立ち上げられたんですね。ただ、そういった先進性は、今まさに終活に直面している高齢者にはややハードルが高いようにも感じます。

篠原さん:私が両親の葬儀を手配したのと同じく、実際に葬儀を取り仕切るのは残された娘さん、息子さんです。「シンプル葬」の場合、ご依頼者のおよそ8割が40~50代の女性の方となっています。ですので、皆さん、普通にPCを使えますし、スマートフォンを使いこなしておいでなんですよ。また、ご自身で自分の葬儀を注文するという方の場合は、性格的に几帳面な、いわゆる意識が高い人であることがほとんど。そういう方はPCやインターネットにも早くから取り組んでいるので、やはりITが苦手ということはないようです。実際、ライブチャットやLINE@など、さまざまなサービスでご相談をいただいています。

――それは意外です。高齢者の方は電話やファックスを使いたがるのだと思っていました。

篠原さん:実は電話やファックスにこだわっているのは、お客様の側ではなく、我々のビジネスパートナーとなる葬儀屋さんのほうなんです。アナログなのは、お客様の方ではなく、業界の方だったんですね(苦笑)。実は今回、AmazingLifeを立ち上げて、たくさんの企業とお付き合いさせていただく中で、そこをIT化していきたいという気持ちもあったりします。

――ただ、超高齢社会となった現在の日本では、正直なところ旧態依然としたままでもお客さんには困りませんよね? AmazingLifeがどんなにがんばっても、笛吹けど踊らずということにはなりませんか?

篠原さん:意外に思われるかも知れませんが、実は今、葬儀業界ってレッドオーシャン状態なんですよ。毎年130万人もの方が亡くなり、葬儀市場だけでも1.75兆円の規模を誇る、スマホゲーム市場などを越えるほどの超巨大マーケットなのですが、極端に地域性が強いこともあって、シェアを5%以上握っている業者がいないんです。そんな中、ネットの影響もあって価格競争が激化。昔のように、お客様が言うなりで支払ってくれるという時代ではなくなっているんですね。

――なるほど! そうすると、パートナーとなる葬儀社も、AmazingLifeと一緒に何とか、この苦境を乗り越えていこうという気になりますね。

篠原さん:そうですね。幸い、最近では葬儀社だけでなく、ライフエンディングに関わるさまざまな業者さんから提携のご相談を受けるようになりました。例えば、遺品整理であったり、家事代行であったり……。今後は、そういう方々とも協力しながら、我々の強みである「ワンストップ」の幅をさらに広げて行けたらいいなと考えています。

先進的とは言えない業界だからこそ最新テクノロジーを駆使していきたい

――続いて、AmazingLifeが、どのようにITを活用しているかについて、もう少し深彫りさせてください。

篠原さん:まず、我々の業務の根本を担うCRMシステムを完全に内製化しています。既存のシステムを利用するという選択肢もあったのですが、この業界は、あまりに事情が特殊すぎて、ぴったりマッチするシステムを見つけることができなかったんです。実は、この業界のIT化が遅々として進まない理由もそこにあるのではないかと思ってしまうほど(笑)。

そこで、AmazingLifeを立ち上げるに当たって、この業界の特性にマッチしたCRMを新規作成しました。この際、意識したのが、なるべく最新のテクノロジーを使うようにしたこと。なぜだか分かりますか?

――普通に考えると、ある程度枯れた技術の方が無難ですよね。うーん、なぜでしょう、分かりません。

篠原さん:それは優秀なエンジニアを集めるため。葬儀業界のような、先進的とは言いがたい業界では、その保守的なイメージから進歩的なエンジニアの確保が難しいんです。そこで、AmazingLifeでは、会社の方針として、新しい技術を積極的に取り組むようにしています。社内のコミュニケーションはSlack中心ですし、イシュー管理も全てGitHubに集約するようにしているんですよ。ほか、InVisionやAppear.inなど、多くの最新ツールを駆使して日々の業務を行なっています。

――対お客様という面ではどういうった工夫をされていますか?

篠原さん:お客様が自分の一番、やりやすい方法で連絡してきていただけるよう、電話、ファックス、メール、Webフォーム、果てはLINE@やライブチャットなどまで、全方位あらゆる手段での連絡手段に対応しています。

また、その際のUXについてもとても気を使っているんですよ。身近な方の死に直面して動揺されているお客様が、スマートフォンの小さな画面でも迷わず、間違いなく操作できるよう、日々、操作画面の最適化に取り組んでいます。操作しているところを撮影させていただき、ミスポイントを洗い出し、それを改善して、といった作業の繰り返しですね。

また、IT活用のユニークな事例としては、クラウド電話API「Twilio」を利用した見守りサービスを提供しています。契約されたお客様に毎日電話をさせていただき、そこで現在の健康状況を機械音声の指示に従って入力していただくというものですね。異常が発生した場合には、即座に家族に連絡が行くようにするのですが、それも完全自動化。これによって、少しでも不慮の孤独死を防げたら、と考えています。

――そんなAmazingLifeがさくらインターネットをインフラに採用された理由を教えてください。また、何かご要望がありましたら、ぜひ。

篠原さん:私たちのサービスは、24時間365日稼働が大前提で、また緊急性の非常に高いサービス特性を持っています。こうしたサービスの特性上、特にシステムの安定性はとても重要。さくらのクラウドを利用させていただくことで、おかげさまでダウンしたりスタックすることなく安定して24時間365日サービスを安定稼働・提供できています。

また、私たちとお客様とのつながりは、数年から10年以上におよびます。そのため、安定した環境の上に様々なDBが乗り、さらに完全内製CRMを安価に回せるというさくらのクラウドの環境は当社にとって最適な環境と言えるでしょう。

また、非エンジニアである私にとって、クラウド管理画面の分かりやすいUIはとても魅力的。メンバーが変わった際のスキルトランスファーもとても簡単で助かっています。

そしてそれらを踏まえた上で、今後のさくらインターネットさんには、さらなる先進性を期待しています。そこから何か新しいビジネスのヒントが貰えるのではないかと期待しているんですよ。

繰り返しになりますが、AmazingLifeは、私たちと一緒に終活の課題をテクノロジーで変えてやる!という想いに共感いただけるエンジニアの仲間を探しています。ご興味おありでしたらぜひお気軽にお問い合わせください!

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