【連載】スタートアップ企業訪問 (Vol.4:カウモ株式会社〜スクラップ&ビルドで「人とモノをつなぐ」メディアを創る)

上部写真)カウモ株式会社 代表取締役CEO 太田和光さん

さくらインターネットが注目するスタートアップ企業を紹介していく本連載。今回は、雑貨から家電製品、コスメグッズなどまで、幅広いモノを独自の視点でレコメンドするメディア「カウモ」をピックアップ。平均年齢23歳(!)という、ヤングパワーがモノ選びの常識を変える!?

カウモが大切にしているのは“人”、そして“商品愛”

——カウモ株式会社は、社名にもなっている「カウモ」というWebメディアを運営してしますよね。まずはその内容について教えていただけますか?

太田さん:カウモは「人とモノをつなぐ」というテーマで運営されている、商品紹介に特化したWebメディアです。現在は1500万人/月の方にご利用いただいています。

——世の中にはたくさんの商品紹介メディアがあると思うのですが、それらと比べてカウモが優れている点はどこにあるのでしょうか?

太田さん:こうしたメディアを利用される方は、調べるモノのトレンドについて詳しくないケースがほとんど。だからこそネットで調べているわけですよね。カウモでは、そうした方々に対して、専門家が丁寧にトレンドを解説した記事を掲載しています。

——どうして、こうしたサービスをはじめようと思ったんですか?

太田さん:例えば飲食の世界では、「食べログ」や「ぐるなび」が圧倒的なシェアを誇っていますよね。そうしたサイトのユーザーレビューで★3.5以上を獲得していれば、ほぼ間違いのない店だというのは今や一般常識と言えるほどになりました。

でも、それは「味」が、比較的、単一の軸で評価できるもの……好みの差はあれど、「美味しい」or「美味しくない」はほとんどの人が同じ感想を共有できるから成立しているわけです。美味しいお店は誰が食べても美味しいんです。

——なるほど。確かにそういう側面はありますよね。

太田さん:でも、モノの場合は評価軸がものすごく多岐にわたっているため、単一の軸でのレビューがとても難しい。買う人のライフスタイルや用途によって、善し悪しが全然変わってしまうんですよ。カウモはそれを踏まえた上で、人それぞれのモノ選びを助けるための情報を提供したいと考えてスタートしました。

——具体的にはどうやってそれを実現しているんですか?

太田さん:今は完全に人力ですね。派遣社員、アルバイトも含め70名近いスタッフが毎日出社して手間ひまかけてコンテンツを作成しています。将来的にはサイトからの送客情報やクリック数などを駆使したAI活用も考えていますが、全てをそれに置き換えてしまおうとは思っていません。人とテクノロジーのハイブリッドが理想です。

——今どきは何でも自動化、AI化していくというのが流行りですが、カウモはそこを目指さないんですね。

太田さん:モノ選び、買い物の世界には「Amazon.co.jp」という圧倒的な最強プレイヤーがいます。彼らは我々が持っていない購買情報も持っていますから、規模という意味でも、データという意味でも絶対に敵いません。そこに真正面から立ち向かっていくことに意味はないと考えています。

そんな中、私らが勝ち筋と感じているのはやっぱり人の部分なんです。

ちょっとマニアックな例えになるのですが、今、イヤホンの世界では、「e イヤホン」という専門店が高い評価を集めています。彼らは元々、大阪の小さな販売店だったのですが、インターネット通販を通じてどんどん規模を拡大し、今では秋葉原にとても大きな店舗を構えるまでに成長しました。その原動力となったのが“商品愛”。店員さんがイヤホンを愛していることがあらゆる所からヒシヒシと感じられるのです。

——最後は人だ、と?

太田さん:そうですね。先ほども言いましたが、カウモには現在1500万人/月の方が訪れます。その1人ひとりにカウモは商品を愛しているメディアだということを伝えるのが当面の目的だと思っています。

3か月に1度のスクラップ&ビルドで会社を成長させる

——“商品愛”を感じさせるWebメディアを作るために、カウモ株式会社が具体的にどのような工夫をしているかを教えていただけますか?

太田さん:実は創業当初は、コンテンツ制作費を抑えるために記事執筆を外注メインとし、社内のスタッフはその検品を行うだけとしていました。ただ、そのやり方だと質の面でも、量の面でも一定のラインで止まってしまうんですね。ある時、その限界を思い知らされ、このままではいけないと考えました。

そこで、昨年半ばごろから一転、コンテンツ制作を内製化することにしました。社内にライターさんを常駐させるようになり、スタッフ数が一挙70名ほどに。社屋もそれを収用できる広いオフィスに移転するなどし、何もかもをガラリと変えています。

——それは大手術ですね!

太田さん:また、そのタイミングでそれぞれのスタッフに専門性を持たせるようにしました。それまでは商品のリストから各人がやれるモノ、やりたいモノを好きに選んでもらっていたのですが、現在はファッション担当はファッションの記事だけを、家電担当は家電の記事だけを担当するようにしています。

——どうしてですか?

太田さん:そのジャンルに対する理解を深めるためには、日々、そのことだけを考えているようにならなければいけないからですね。日常生活、例えば、道を歩いている時に目に入ってくるものから変えていかないと、良いコンテンツは作れないんですよ。

——確かにそうかもしれません。ただ、それほどの大改革、社内の反発はなかったんですか?

太田さん:確かに大変で社員の負担も大きかったと思います。でも、実はカウモって、そうしたレベルの改革を3か月に1度くらいのペースでずっとやり続けてきているんですよ。できあがってきたルーチンを、オペレーションから役割から、何もかもガラッと変えてしまうということを何度も何度もやってきました。

——それはすごいですね。でも、効率の点で言うとあまり良いことのようには聞こえないのですが……。

太田さん:確かにオペレーションの磨き込みが0に戻ってしまうというのは大きなデメリットだと思います。ただ、状況に合わなくなりつつあるものを、そのまま磨き込んでいくよりも、新しいやり方に切り替えた方が良いということが3か月おきに見つかってしまうので崩さざるを得ないんです。

逆に言えば、そうしたスクラップ&ビルドをどんどんやっていけることがスタートアップならではの強み。それを恐れてはいけないと思っています。世の中には200以上のモノを取り扱ったWebメディアが存在しますが、曲がりなりにもカウモが2年間生き残ってこれたのは、作りあげたものを惜しまず壊してきたからではないでしょうか。

——若い企業ならでは、ですよね。ほかに、その若々しさが事業の力になっていることはありますか?

太田さん:社員の平均年齢が23歳前後ということで、いろいろな方から応援していただけている、期待していただいているということをひしひしと感じています。先輩経営者や投資家の皆さんから面倒を見ていただいたり、アドバイスをいただいたり、本当にありがたいことです。我々が30代、40代の会社だったらきっとそうはならないでしょうから。

思えば日本のIT産業って、今、ちょうど第3世代くらい。インターネット黎明期を支えた「Yahoo!」などの会社があって、その下に今、30代でバリバリ活動している第2世代の皆さんがいる。言うなれば、我々にとってはおじいちゃん、お父さんみたいなもの(笑)。優しく迎え入れていただいているなぁと感謝しています。もちろん、さくらインターネットにもとても助けていただいています。

——ありがとうございます(笑)。具体的にはどんなことでお役に立てていますか?

太田さん:平均年齢23歳ということでおわかりだと思うのですが、社員のほとんどが他社に勤めたことがありません。カウモがファーストキャリアなんです。そうすると、技術的なことでも寄る辺がない。サーバーの構成1つ取っても、前の会社でこうしていたから自分たちもこうしよう、あるいは違う方法を採ろうということができないんです。そんな中、さくらインターネットの営業やエンジニアのみなさんにはさまざまな助言や提案をいただきました。

さくらインターネットさんに驚かされたのは対応がとても速いと言うこと。以前、ご一緒したイベントでちょっとサービス内容に注文を付けたことがあったのですが、その翌週にはそれが実現していて本当にビックリしました。スタートアップとしてこの速度感に負けてはいけないと奮起しましたよ(笑)。

——最後に、今後、中長期の目標としてカウモが目指すことを教えてください。

太田さん:「人とモノをつなぐ」というテーマをさらに発展させていくために、いつか、リアル店舗を実現したいなと思っています。実際にモノを売るのではなく、そこに来ていただければ、今、自分が買おうと思っているモノの相談を受けられるスペースというイメージです。

——それは面白そうですね。

太田さん:ほか、例えば店頭にタブレットを置いていただいて、店員さんの代わりに我々がお客さんの相談にのるというサービスもアリだと思っています。一元的な指標でまとめられないモノ選びの難しさをサポートしていくサービスに育て上げていきたいですね。

■関連サイト
カウモ株式会社
カウモ