ネットワークエンジニアの基本に立ち戻れたRSR

こんにちは、さくらインターネット運用部でネットワーク運用を担当しています。東です。
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この夏、石狩にて行われたライジングサンロックフェスティバル(RSR)に当社は公衆無線LANサービスを提供しました。今回はこのRSRプロジェクトの一員として参加した東の実感を通した感想を書きたいと思います。

「RSRに無線LANを出しますので、参加してください」
石狩データセンター長の宮下さんにそう声をかけてもらった時、RSRまでは既に1ヶ月を切っていました。
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私に白羽の矢が立った理由は下記の3点とのこと、

– ネットワークチームのリーダーだから
– 前職(某キャリア)での経験
– 夏に札幌に帰省するときいたので

・・・なるほど。
ちなみに、ここだけの話、帰省先から石狩データセンターまでは片道2時間かかりますので、いつもの通勤より大変でした(※文句ではありません)

普段の業務の合間を見つつ準備していくというのは実際、かなり大変なことでしたが非常に良い経験になったと感じています。一時的な公衆無線LANを敷設、提供する機会なんてそうそう多くありません。しかも基本的に動くことのないデータセンターを運営する当社の仕事としてはかなり異例で特殊な事案です。ネットワークと言えば同じ部類に入りそうですが、実際のところ全く別物と言っても良いくらいです。

どこからケーブルを出そう?

皆さんもご存知の通り、データセンターというのは外部からの侵入を防ぐべく堅牢に作られています。しかし今回は逆に外部に設置したアンテナを経由して、データセンター内部のインターネット回線を使ってサービスを提供しようと考えています。ということで、どこからどうケーブルを外に出すかが難問でした。
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データセンターフロアから廊下、廊下から屋外と2カ所のポイントがあります。もし外部の施工業者に依頼していたら「壁に穴をあける」と言われていたことでしょう。私が石狩に着いた時、ケーブルは一時的にドアを解放して通そうかという話になっていました。しかしデータセンターである以上、解放しっぱなしにしておくのはよろしくないですよね。

そこで色々調べたところ、ラダーを使えばケーブルを廊下に通せそう、さらに廊下からは緊急放送用のケーブルに一緒に通すことで屋外まで辿り着くことに成功しました。そんな感じで一手一手、手探りで構築していったのです。

唯一自前でできなかったこと

「自前主義」が座右の銘ともいわれる当社でもできなかったこと、それは高所でのアンテナ敷設でした。今回、RSRの会場とはIcom社のSB-520という指向性の高い無線機器を使ってデータを飛ばしています。そのため、会場とデータセンターとで向きを細かく調整し、最適な角度を見つける必要があります。
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これは人手が必要な作業で、ごく限られたメンバーでプロジェクトを推進していた我々では対応できず、外部の業者さんに依頼することとしました。ぜひ来年は再チャレンジしてみたいポイントでもあります。

90mケーブルのノイズを除去せよ!

普段データセンターで敷設するケーブルというのは光ファイバであったり、ごく短いLANケーブルであったりします。それに対して今回のプロジェクトではデータセンター内から屋外まで90mのケーブルを引き回しています。90mともなるとノイズが多く乗ってしまい、減衰が顕著になってきます。

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そこで使ったのはSTPのLANケーブルです。普通のLANケーブルに加えて内部をシールド加工しています。普段こういったケーブルを使うことはないのでかなり新鮮でした。さらにSTPはシールドがあるのでシールドからアースを取る必要があります。
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しかし普段使うことがないためにアースを取る場所はもちろん、そもそもアースのための先端加工する工具もありませんでした。そこで私がホームセンターまで行って圧着工具を買ってきた次第です。ホームセンターってすごいですね!

気になる来場者の利用度

さて、ここまで頑張って公衆無線LANを準備しておきながら全然使ってもらえなかったら寂しい限りです。どうしたって気になって会場で出張っていました。同じ場所で充電設備も提供していたこともあって、充電目的で来た際に公衆無線LANにつないでくれる方が多かったです。とても嬉しかったですね。
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では実際にどれくらい使われたのかというと、マックスで46人、速度も8Mbpsという結果でした。それに対してこちらが準備した設備で言えば、インターネットのアクセス回線は1GBです。こう言ってはなんですが、まだまだ回線に余裕があったと言えます。会場からネットワーク速度を計測するとアップリンク20〜25Mbpsを出していましたので、ともすれば自宅の回線よりも速かったのではないでしょうか。

監視体制

もちろんさくらインターネットが提供するのですから、何か問題があればすぐ対応できるように準備しておきました。通常のデータセンターの監視業務と同じフローに乗せてサポートしていたのですが、幸いにして特に問題なくフェスを終了することができました。
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屋外ならではの課題というのもあります。データセンター内であればそれほど気にしない天候(雨風)も屋外では注視しなければなりません。今回のRSR開催期間中は幸い素晴らしいお天気に恵まれましたが、実は会場のアンテナ近くには木があって、その枝が当たったらどうしよう…と心配していたりしました。この辺りも普段のデータセンターの中では感じられない感覚ですね。

来年はもっともっと!

さて今年はなんとか問題なくうまくいった訳ですが、来年はどうなのでしょう。もちろん引き続きRSRにご協力したいと思っている訳ですが、今回のように一カ所だけではなく、どうせなら複数箇所、会場全体も網羅したいなんて思いをはせたりする訳です。さらに私見ではありますが、会場近くまでは光ファイバを引っ張りたいなと。(予算さえ合えば)近くの電柱を借りて這わせたりするともっと安定してネットワークが構築できるんじゃないかと思っていたりします。そう、予算さえ合えばですが。
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うまくいった要因

個人的に思うに、とにかく 「ネットワーク仕事人の基本に忠実に行った」 のが良かったんじゃないかと思っています。例えば100mのケーブルを敷設する際には綺麗に、ねじれを取ることで余計なノイズが乗ったりするのを防げます。STPのケーブルを使ったのもそうです。

私自身が某キャリアで仕事をしていた時には当たり前だった、ケーブルの差し込みを下から上に行う(水滴が入り込まないように)なんてのも当時は当たり前でしたが、現職ではそれほど必要ではありません。しかしネットワークエンジニアとして知っておく基礎知識なんじゃないかなと。そういった忘れていた基礎知識を改めて実感でき、関わったメンバーみんなで共有できたことが一番大きな経験だったと思います。

おわりに

今回のRSRプロジェクトの裏話、いかがだったでしょうか。今回のプロジェクトに自己採点するなら100点満点で70点くらいだと思っています。1ヶ月を切っていた準備期間の中で、やりたいけれどやりきれなかった部分も多くあります。それらの理想像は来年、再来年以降に実現できるかも知れません。

さくらインターネットの石狩データセンターのすぐ近くで実施されるRSRをさらに盛り上げていくため、当社もさらにパワーアップしたネットワーク構成を実現していきたいと思います!

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