サポート職として働く上で、悩みや不安を抱えた後に孤独を感じることはありませんか?

2017年12月1日、そんなサポート職の悩みを共有し、仲間ができることによる様々なシナジー効果を狙うサポート職によるサポート職のためのイベント「SapporoSupportSummit」が開催されました。

今回の記事は「SapporoSupportSummit」の後編のレポートとなります。まだ前編をお読みでない方は、ぜひ前編レポートもお読みください!

  1. 「CS好きな男が作るCSコミュニティの話」コードキャンプ株式会社 藤本大輔 さん
  2. 「CSの『価値』」エックスサーバー株式会社 堀江圭介さん
  3. 「8人から4人のチーム体制に!?」株式会社リアルワールド 原田葉子さん
  4. 「AIの発達と、ヒトの成長」GMOペパボ株式会社 宇賀神卓馬さん
  5. SapporoSupportSummitに参加してみて

「CS好きな男が作るCSコミュニティの話」コードキャンプ株式会社 藤本大輔 さん

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コードキャンプ株式会社 藤本 大輔 さん


後編最初の発表はコードキャンプ株式会社にてカスタマーサポートのリーダーとして働かれる藤本さんです。他にもカラクリ株式会社のCS顧問としても活動されています。

日本で唯一の「カスタマーサポートエバンジェリスト」の肩書を保有しているという藤本さん。カスタマーサポートエバンジェリストと検索しても藤本さんの名前しか検索結果として表示されないそうです。(※2017年12月13日:現在)

キャッチコピーは「CSに狂っている男」。なぜ狂っているのかは、藤本さんの発表スライドの中で明らかとなりました。

CSは問題解決のプロである、【最高】の仕事!

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藤本さんは唐突に「みなさんちょっとお考えいただきたいのですが、「カスタマーサポートやってますよ」と周りの人に説明する時、どういう反応をされると思いますか?」と参加者に投げかけます。

「だいたい『クレーム大変ですよね……』『クレームでストレス溜まりますよね……』といった反応があると思います。ただ、私が思うカスタマーサポートと、周りが思うカスタマーサポートのギャップがあるな、という風に思っています」と話が始まります。

藤本「僕は、CSというのは問題解決のプロだと思っています。自分たちの製品がユーザーにとってなんの問題もないよ、ということであれば、そもそも問い合わせっていうのは発生しないんですよね。誤解をされているかもしれないんですけれど、お客様は別に問い合わせをしたいわけではないんです。ユーザーの問い合わせをしてくる段階で、そもそも何らかのユーザーに対する問題と言うのが発生しているんです。それは、自社製品に対する問題であるので、CSの仕事っていうのは、例えばクレーム対応するとか、問い合わせを対応するとかと言うようなものではなくて、自分たちの製品が抱えている何らかの問題を解決する、プロフェッショナルである。というのが僕の認識です」

「そんな仕事って最高だと思うんですよね」と話す藤本さん。会社は何でできているかというと、社会に対して何らかの問題があってそれを解決するために会社がある。全ての会社が問題解決のために存在しているのだとしたら、その問題解決を専門でやるCSは最高の仕事。それなのに世間はそれに気付いていないのだといいます。

そこで、同じCS職のみんながプロとして活躍する助けになりたいと思った藤本さんは『カスタマーサポートエバンジェリストに俺はなる!(ドーン)』と決意したそうです。「CS HACK」というコミュニティを作り、個人で今年の2月に第1回のイベントを開催し、これを毎月やって「CS最高だ」って言い続けたら何か変わるんじゃないかと考え、これまで何度もイベントを自費で行ってきました。

なんと、現在では600人超えの超大所帯コミュニティに成長! ただ、毎回自費で行っているため赤字が続いており「『CSに狂っている男』ではなく単なる『算数ができない男』かもしれないですね(笑)」と自虐して会場を沸かせました。

まとめとして、どうしても内向きのお仕事と勘違いされているCSは

  • 社内での地位が低い
  • 情報統制がきびしい
  • プレゼン機会がない

というイメージが代表的で、CSは仕事としてもとても孤独を感じやすい。けれど、それが「コミュニティ」という活動を通すことによって、悩みをお互い話し合って共有し合い、孤独やストレスを解消することができる。結果として、社内外への発信により、承認される機会(自己承認)ができ、周囲からは「あなたはちゃんとした活動をしているんですよ」と言われることが増え、承認機会も増えるのだとお話しました。

藤本さんの発表スライド

「CSの『価値』」エックスサーバー株式会社 堀江圭介さん

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エックスサーバー株式会社 堀江 圭介さん


発表前から参加者に爆笑王といじられるのは、5人目の発表者であるエックスサーバー株式会社ホスティング事業部の堀江さんです。

地域のADSL回線事業者のテクニカルサポートにアルバイトとして応募したのがCSと関わることになったきっかけだと話す堀江さんは、自社のサービスと、CSの価値、CSがもたらす効果について発表を行いました。

お客様に【最高】な体験を次々と

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堀江「コールセンターでのCSの価値は、お客様に当社の企業理念である【「最高」を提供する】ことだと考えます。提供という言葉を掘り下げますと「ユーザーファースト」ということであると代表は常に言い続けています。カスタマーファーストという言葉でないことにも注目して欲しいのですけれど、私としては、エックスサーバーのサーバを使ってWebやメールを使っている人も含めての意味合いとしています。直接的なユーザーのみではないです。で、ユーザーファーストと考えたときに、どういった機能を提供できればいいのだろうと積み重ねてきて様々な機能を追加してきました」

また、こぼれ話として、PHP7リリースの際、『PHP7、リリースと同時に最速対応!』と社内で準備を進めていたそうなのですが、いざリリースとなった当日「あれ? Joe’sクラウドコンピューティングさんのほうが先にリリースしてるで!? どういうこと!?(笑)」となったのだとか。その時に堀江さんが「全アカウント対応はうちが初めてですよ!」と言い切ったところ、そのまま採用されてしまったとして会場を賑わせました。

堀江「お客様に『最高』を提供するだけではなく、サービス・機能を正しく誘導し、お客様の「最高」な体験を積み重ねてもらうというのがCSの価値だと思います。また、『社員一人一人が成長・幸せを実現できる企業を目指す』という企業目標にもリンクしている「CS Beer Bash」にも協賛し、参加しているので、みなさんもぜひ参加しましょう!(笑)」というお話で締めました。堀江さんの人柄もあってか常に笑いのあふれるLTとなりました!

堀江さんの発表スライド

「8人から4人のチーム体制に!?」株式会社リアルワールド 原田葉子さん

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株式会社リアルワールド 原田 葉子さん

アルバイトから正社員となり、東京と札幌間を忙しく飛び回っていた過去を持つ原田さんは、自分のチームが8人から4人になり、その時に行った採用活動についてのお話をしました。

地道な努力でお客様から「ファン」に

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当時、原田さんと一緒に働いていたメンバーが結婚や妊娠といったライフイベントにより退職し、8人から4人に減ってしまったといいます。そのため、採用活動をしないといけなかったのですが、なかなか人が集まらないということが続きました。そこで原田さんは、取り急ぎ少ない既存のメンバーでも仕事のパフォーマンスを上げるために以下のことをしたといいます。

  • とにかく業務内容を細かく洗い出す
  • 業務を行っている意味を理解する
  • 業務結果が同じになるようにアレンジした
  • 定期的な業務の振り返りを実施

これを常に実施し、徐々にブラッシュアップしていくようにしました。また、原田さんは定期的な業務の振り返り方法としてKPT手法というものを取り入れたといいます。keep(上手くいったこと)problem(問題点)try(次回取り組むこと)の頭文字をとったKPT法は、それぞれを書き出すことで業務の振り返りを行います。原田さんと4人のチームメンバーは、それぞれ思いつく点を上記3つの項目に分け現状の洗い出しを行いました。

原田「1回目は問題点ばかりの結果となりました。2回目でようやく解決が出てくるようになり、上手くいったので継続していこうということがでてきました。時間を重ねることによって問題点が減り、上手くいったことが増えてきました」

また、4つの手法を行う上で一番問題となったのは「メンバーの技能の偏り」であるといいます。これを解決するために行ったのは、メンバーそれぞれのスキルマップの作成です。これによってスキルの偏りが減り、副効果として知らない業務が減り、チーム間でこの業務が必要か否かの判断がつくようになったといいます。

これにより、

  • 4人のチーム体制で完結するようになった
  • ユーザーのために何をしなくてはいけないのかという発想が少しづつ芽生え、メンバーが成長した
  • 顧客ロイヤルティが向上

上記が成果として上がり、さらには「ファンになったお客様が増えました!」と語り実際のお客様の生の声を紹介して発表を終わりました。

原田さんの発表スライド

「AIの発達と、ヒトの成長」GMOペパボ株式会社 宇賀神卓馬さん

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GMOペパボ株式会社 宇賀神 卓馬さん


2001年当時、ミュージシャンだった宇賀神さん(現、GMOペパボ株式会社EC事業部カスタマーサービスグループマネージャー)は「平日ライブができて、シフトで日時を組める」という魅力からコールセンターで働き始めたそうです。普段は絶対に本番前も登壇前もお酒を飲まないと決めていたそうですが、今回は珍しく発表前にお酒を口にしたといいます。

宇賀神「酔いも冷めればシラフと同じかな、と思っていたのですが、5時くらいからお酒を飲んでいないはずなのにシラフにならない!……というのが札幌の大地が私に教えてくれたことのひとつです(笑)」

と会場を沸かせました。

CSこそ「人の成長を促す」仕事である!

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「2017年CS職最大のバズワードはなんだったのか? それは、もちろん「AI」です。大規模なカンファレンスなどにいくと、『AI』というワードが入っているセミナーは即完売になるといった状態でした」と『AIによってCSの仕事がなくなる』という世論を背景に、CSのこれからについて話が始まります。

宇賀神「AIはまだ『自分で答えを考える』ことはできないんです、パッケージされた製品でも。実際に使ってみた結論ですが、ちゃんとデータを食わせないといけない。で、食わせるデータというのも、こっちできちんとフォーマットして、ちゃんと送り込まないといけない。担当をガッツリつけて、時間もかけてようやく信頼できるところにたどり着く。結論ですが、テンプレート率が60%未満だったり、お客様の設定状況によって回答が異なるような複雑なサービス、顧客単価が高いサービスには合わないのではないかなと思います」

また、聞いた話によると日本語での対応は遅く、英語では相当進んでいるとのこと。「使っている会社さんは手応え感じられていると思うのですが、使ったことのない会社さんでは期待しすぎかなぁ」と感じているのだそうです。

一方で「焦りすぎだと思う」と話すのが、オックスフォード大学が発表した人工知能に代わられる主な仕事のリストについて。もちろん、このリストの中にはコールセンター、オペレーターという仕事も含まれています。

宇賀神なんも知らないのにこういうこと言ってね(笑)我々はコールセンターオペレーターの仕事がどういうものかというものを知っているので、そんなに焦ることはないな、と思っています」

そして、CSの仕事がすぐにAIに取って代わられない裏付けとなるATMについての話をしました。

宇賀神「ATMをみなさん日ごろ使っていると思います。これが普及したのが45年前。これがリリースされたときの銀行員の立場を想像すると、相当焦っただろうなと。正確に間違えずにお金を勘定することが銀行員のプライドだったの思うのですけれど、絶対ATMのほうが正確で速いじゃん。たしかに今CSが感じてるような焦燥があったのではないかなと思います」

しかし、実際ATMの登場によって銀行員は減ったでしょうか?

宇賀神「時は45年経ち銀行員の数はどうなかったかというと、約2倍に増えています。これからのCSを占うかのような数字かなと思います。1個は支店が増えたというのがあると思います。もう1個見逃せないのが、銀行窓口の人の成長です。45年前は住宅ローンを売ったり、クレジットカードを売ったり、保険のローンを売ったりはしていなかったそうです。それを今の銀行員はできる! スキルを整え、ホスピタリティを持つことによって町のお姉さんになれたんですね。で、私も住宅ローンを頼んだときに、どんな質問にも的確に答えてくれて、「なんて頼りになるんだ!」と感じました。そういう成長の仕方をCSでもできるな、と感じています」

とCSの可能性についてお話をしました。また、宇賀神さんは、その可能性を現実のものとするために「考える力を養っていく必要がある」と考えます。考える力を養うためにはどうすればいいのか。その時に思いついたのが「プレゼンテーション」を行うことだといいます。

「構成を考え」「自分が何を言いたいか」を考えるというのは非常に頭を使うのではないかと思った宇賀神さんは、さくらインターネットの榎本さんと話し合い、先ほどご紹介した「CS Young Meetup」「CS Beer Bash」を結成したのだと話します。

宇賀神「CSの中でも若手となってくると、参加者のほとんどがプレゼンの経験を持っていません。経験がないからこそ、それぞれ必死になって色々なものを持ってくるなと感じたのがこの1年です。さらに、みんな結構楽しそうにしてるんですね! 毎月会うんで、各社のオペレーターたちが仲良くなっていってるんです。そういうのってただ楽しいだけではなく、刺激を受けることもあると思います。たまにかかってきた電話の対応件数を自慢したり、自分のノウハウを共有したり……。去年の今頃からやっている仕事の結果としては考える力を鍛えるやり方としては上々ですね!」

と話しました。最後にまとめとして、CSとしての「鍵」は

CS業界 もっと人を成長をさせていく職種にしていくこと
CSマネージャー もっと事業に貢献していける職種にすること
CSプレイヤー もっとお客様を安心させてあげられる職種にしていくこと

であるとし、発表を終えました。LT最後である宇賀神さんの発表を持って本会は終了となります。

宇賀神さんの発表スライド

SapporoSupportSummitに参加してみて

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全員の発表が終わったあとは、引き続き懇親会が行われました。北海道限定のお酒とお菓子を片手に、発表についての意見交換や、連絡先の交換が行われます。会の締めの挨拶はさくらインターネット株式会社の執行役員である高橋さんが行い、その中では次回開催の予告も行われました。

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さくらインターネット株式会社 高橋 隆行さん

会を通して、サポート職になった経緯やそこでの経験はそれぞれバラバラであっても、みんな仕事対して前向きで「もっと業界を良くしたい!」という思いを持っている、ということを感じました。

今回は札幌での開催でしたが、次回開催もあるということですので、今後さらにこのイベントが盛り上がっていくことが楽しみで仕方ありません。こういった交流を深めることにより、サポート職の業界がより良いものになっていくと強く感じました。

今後の展開にもぜひご注目ください!

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最後に全員で記念撮影! 皆様お疲れ様でした!