みんなでつくる同人誌即売会!技術書典4事前集会レポート
こんにちは、さくらインターネットの大喜多です。
ITやその周辺領域について書いた技術書オンリーの同人誌即売会である技術書オンリーの同人誌即売会である「技術書典4」が2018年4月22日に開催されます(さくらのナレッジは技術書典4にイベントスポンサーとして協賛しています)。
同人誌(どうじんし)とは、同人(同好の士)が、資金を出し作成する書籍のことで、一般の書店には流通せず、もっぱら同人誌即売会と呼ばれるイベントによる頒布(はんぷ)や、同人誌の頒布を委託され取り扱う専門の書店を通じて流通するものです。出展者は一般的に「サークル」と呼ばれますが、個人の場合もあれば複数人の場合もあります。
日本で行われる同人誌即売会は、漫画・アニメ関連の同人誌を頒布するものが圧倒的に多く、世界最大の同人誌即売会であるコミックマーケットにおいてもそれは同様ですが、コミックマーケットには技術系同人誌を頒布するサークル用のスペースがあり、技術書典が開催されるまではコミックマーケットがほぼ唯一の技術系同人誌の流通の場でした(小規模なイベントでの流通は過去も現在もあります)。そのような日本の同人誌即売会の中で異彩を放っているのが、技術書を頒布する出展サークルのみで構成された同人誌即売会 技術書典 です。
先日開催された第1回の様子はさくらのナレッジの記事 日本の技術書コミュニティは熱いぞ!「技術書典」レポート にてご紹介しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。
技術書典における事前集会の目的
技術書典は「技術的なコミュニケーションの場を提供する」ことを目的としている同人誌即売会です。主催者は「よりよい技術的なコミュニケーションの場をつくっていく」ために
- サークル参加者と、今後の取り組みについて話し合う「サークル連絡会」の開催
- 複数人で集まって同人誌を執筆する場を提供する「技術書の作り方勉強会」の開催
- 同人誌即売会にて得られた統計データの提供
- はじめて同人誌を制作・頒布するサークル参加者向けに、技術書典の主催団体のひとつで大手技術系同人誌サークルでもある「TechBooster」のノウハウを共有
上記のような取り組みを行っています。本記事ではそれに先だって開催された 技術書典 サークル連絡会 と 技術書典4 技術書の作り方勉強会 ~執筆環境をワイワイはなそう~ についてレポートいたします。
技術書典 サークル連絡会(2018年2月14日)
サークル連絡会では、技術書典の運営から出展サークルのみなさんへ、開催して得られた情報や今後の計画についてお知らせし、意見交換が行われていました。
技術系同人誌の流通の場としては、技術書典はコミックマーケット(コミケ)に次ぐ規模で、コミケと技術書典を中心に活動しているサークルも多いなか、技術書典ではじめて同人誌制作をしたサークルさんが25%もいたとのこと。これはすごい効果ですね。
そのほか技術書典3の開催概要や入場者数、おおよその搬入部数や頒布部数の傾向などのデータが紹介されていました。こちらは技術書典のブログにまとめられていますので詳しくはそちらをご参照ください。
その後、これまでの取り組み(継続中!)と、技術書典4での新規取り組みについての紹介がありました。
質疑応答が非常に活発に行われているのが印象的でした。ここではその中から一部をご紹介します。
Q:技術書典3までで、特に多かったテーマなどの傾向などわかれば教えてください。
A:毎回トレンドは変わっている。技術書典3ではVue.jsについての同人誌が非常に多かったが、技術書典2では別のテーマが多かった。特にトレンドが予想できるものではないので、各自自分の書きたいテーマで書いてもらうのが良いと思います。
Q:今回もサークルの競争倍率が高かったようですが、会場を変えるなどしてキャパシティを多くとることはできないのでしょうか。
A:今の会場は開催日の1年前に予約しないと会場をおさえられない状況で、これよりキャパシティの大きい会場ですと日程にもよりますが2年以上前に予約する必要があり、需要に応じた柔軟な会場の手配は難しく、配置を工夫することでより多くのサークルさんが参加できるようにしています。
Q:見本誌シールの配布枚数を増やしていただけないでしょうか。
A:サークルさんとのやりとりの多くを電子化しており、技術書典4では郵送物がなくなると思われます。見本誌提出も電子化を推進して、当日のチェックがスムーズにいくようにしていきます。
技術書典4 技術書の作り方勉強会 ~執筆環境をワイワイはなそう~(2018年2月25日)
前半は主に(技術書典の主催団体のひとつであり、大手技術系同人誌サークルでもある)TechBoosterでの制作環境をもとにしたノウハウの共有、後半は各自が同人誌を執筆するもくもく会や、参加者と主催者との間での対話が行われていました。
TechBoosterの場合では、イベントへの出展に当選してから企画会議を開き、執筆期間はおよそ1ヶ月程度、その他の工程を経て同人誌のかたちになって即売会に並びます。なお、表紙や本文中にイラストを使いたい場合、その発注はかなり早い段階でおこなわれるようです。
TechBoosterでは同人誌のテーマとしてそのときの最新技術について取り扱うのを基本として、執筆者が楽しく「書きたいこと」だけを書くとのことです。
それでは、ほかのサークルも含めて技術系同人誌はどのようなテーマのものがあるのか?同人誌の委託販売をしているComicZINさんのサイトや、同人サークルが自分のショップを持てるbooth.pmなどを眺めると、傾向がわかるといったようなことが紹介されました。
TechBoosterでは複数の執筆者によって同人誌を作成していることもあり、原稿の履歴管理や課題管理などにGitHubを用い、原稿のフォーマットとしてRe:VIEWという形式を用いていること、それらによって得られるメリットが紹介されました。開発と同じツールを用いてシステマチックに同人誌を制作していくところが非常に技術系同人誌サークルらしいですね。
後半は各自同人誌の原稿を執筆したり、より突っ込んだ意見交換などがおこなわれていました。
他のサークルも含めて実際の技術系同人誌が見られるスペースが用意されていました。
ここでは活発な対話がなされていました。(写真右端は技術書典の主催団体のひとつである達人出版会の高橋征義さん)
まとめ
このように、技術書典では単に同人誌即売会を開催するだけでなく、同人誌即売会の開催や同人誌制作によって得られた情報のフィードバックや対話を通じて即売会とサークル双方によい効果をもたらすような取り組みをしています。このような事前集会は不定期に開催され、告知および募集は connpass で行われていますので、参加してみたいと思われた方はチェックしてみてください。
もちろん一般の方の参加も可能です。開催概要は以下となっておりますので、興味を持たれた方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
技術書典4の開催概要
イベント名 | 技術書典4 |
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日時 | 2018/04/22 (日) |
場所 | 秋葉原UDX アキバ・スクエア |
主催 | TechBooster/達人出版会 |
関連情報 | よくある質問 |
次回は、技術書典4 イベント当日の様子をご紹介いたします。