2018年7月28日、「第2回 小学校プログラミング教育を考える夕べ」を、わくわくホリデーホール(札幌市)にて開催いたしました。

このイベントは、東京在住・札幌出身の小学校教育の現場にいらっしゃる先生方によって、故郷の小学校にプログラミング教育を広めたいという願いから企画されました。

当日は、札幌市内のみならず、道内遠方からご参加くださった先生もいらして、道内でのプログラミング教育への関心がじわじわと高まっていること、興味を持っている先生方が増えていることを確認することができました。
プログラミング教育への第一歩を踏み出していただくため、「先生が触ってみる」「先生が遊んでみる」「先生が実感する」ことのキッカケとなるよう、模擬授業や各種教材を体験していただき、また、実践発表により前例を共有することで、プログラミング教育をより身近に感じていただけたと思います。

第1部 プログラミング教育とは?
「これならできる!ここから始まる!小学校プログラミング」
講演・模擬授業 情報通信総合研究所 平井 聡一郎 氏

Padletを利用して、自己紹介を共有している様子

参加者全員に1台ずつiPadが渡され、それでQRコードを読み込むようにと指示がありました。すると、平井氏が用意した Padlet のページに繋がり、ここで使い方の説明にしたがって自己紹介を入力します。このページは自由帳のように使うことができるため、参加者のみなさんは流れの中で、自己紹介を共有していることに気がつきます。そして、その様子は、正面のプロジェクタにライブで映し出されており、教室で使えるお役立ちツールの体験にもなっていました。

最初に、なぜ小学校でプログラミング教育が必要か、そして小学校プログラミング教育の手引きの解説などの講義がありました。そして、小学校で取り入れることができる内容として、「教室掃除」を題材にコンピュータを使わないアンプラグドプログラミングを体験することとなりました。

まなボードを使い、グループで「教室掃除マニュアル」を作成します。

掃除の動きをまなボードに一通り書きます(これがプログラミングとなります)。まなボードは隣のグループへと渡します。次は、回ってきたボードの内容を確認し、気になること、不足していると思われることなどを、別色のペンで書き込みます。最終的に、自分のグループのマニュアルは、2グループからのコメントが入った状態となりました。

最初に一連の動きを書き出し、そして別のグループのマニュアルをに修正を加えることは、バグを見つけ、デバッグすることにつながります。こうして、コンピュータを使わないプログラミングを体験することで、プログラミング的思考を理解するきっかけとなったことと思います。

Padlet紹介サイト(日本語):https://ja.padlet.com/
まなボード:http://www.izumi-cosmo.co.jp/manaboard/

第2部 プログラミング教材体験

Sphero SPRK+ ワークショップをはじめ、教科に位置付けた3つの体験ブース(国語、算数、図工)を設け、3チームに分かれた参加者がすべてのブースを順番に回りました。

【国語】東京都江戸川区立東小松川小学校 鈴木康晴先生:「ScratchJr でお話作り体験」


ScratchJr は、MIT Media Lab で開発された、小さな子ども(5〜7歳児)向けのプログラミング言語です。ブロックを指で操作してのビジュアルプログラミングで、キャラクターを操作し、ダンスさせたり、歌を歌わせることもできます。インタラクティブに動く「おはなし」や「ゲーム」を作ることができます。小さな子どもでも、楽しく考えながらプログラミング的思考にふれることができる教材です。

ScratchJr:https://www.scratchjr.org/
※ 鈴木先生は、今回の勉強会の発案者です。先生の「やってみたい」という気持ちが、開催につながりました。

【算数】情報通信総合研究所 平井聡一郎氏:「Sphero SPRK+ で多角形の性質を知る」


Sphero SPRK+ は、球形のロボットを利用し、STEAM教育に活用できる学習用の玩具です。ブロックを使ってのビジュアルプログラミングで操作します。意図しない動きをするロボットに手を焼いているようにも感じますが、ロボットは命令通りに動いているのです。ロボットを思うように操作するためには、何をするのかを明確に指示する必要があることがわかります。

Sphero Edu:https://sphero-edu.jp/

【図工】東京学芸大学附属竹早小学校 佐藤正範先生:「Processing 入門 線や丸をプログラミングで描く」


Processing は、MIT Media Lab で開発された、テキストでのプログラミング言語です。Javaがベースとなっています。サンプルを見ながら、数字を動かすことでプログラムしていくことが可能なため、中学年ごろから扱うことが可能とのこと。Scratch などのビジュアルプログラミングに慣れた子に、次へのステップとして紹介することができます。

Processing(英語):https://processing.org/
「Processingで拡がるクリエイティブ・コーディングの世界」(技術評論社):http://gihyo.jp/book/pickup/2017/0047

第3部 実践発表

「ポイントを押さえたプログラミングの活動」東京学芸大学附属竹早小学校 佐藤 正範 先生


竹早小学校では3年前からプログラミングの活動を始めています。文字入力によるテキストプログラミングでカリキュラムを作っており、小学校3年生では音楽づくりで SonicPi というプログラミング環境を使い、小学校4年生では図工で Processing を扱います。高学年では Arduino を使って簡単な計測や制御を学習にいかす活動をしているとのことです。

プログラミングのポイントとして、実践例を交えながら「系統」と「コンピュータサイエンスの視点」についての話があり、最後には「各教科の専門である先生方がプログラミングに触れることで新しい内容を作ってほしい」と参加した先生方にエールを送られていました。

SonicPi(英語):https://sonic-pi.net/

「6年 家庭科【クリーン大作戦】」 札幌市立札苗緑小学校 宝金 友絵 先生


プログラミング教育を、地域性や環境の不備を理由にして、「やらない」ことにはできない。「やらなければいけないこと」なら、まずはやってみよう! と、ご自身が家庭科の授業として取り組んだ教室掃除のプログラミングを紹介されました。

汚れの調査から始まり、掃除の工夫として [1]プログラミン(文部科学省が開発した、子供向けのプログラミング作成のサイト)を利用し、プログラミングの考え方を学習し、[2]グループに分かれてアンプラグドなプログラミングを体感。そして、清掃時間で実行したあと、授業で振り返りをします。

プログラミングをしている様子からは、生徒さんたちが試行錯誤を通して学んでいる姿が伝わってきます。「実行」にあたり、全体ではプログラミングされていなかった「他のグループを手伝う」「着席する」という動作を、全員がしてしまったこと。書いていないことをやってしまうのは、プログラムの無視となります。なぜ、これが起きたのかを振り返った時に、「それが人間としての力」だという答えを6年生が導き出したということに、大変驚かされました。

「挑戦なくして勝利なし」を実感しました。

プログラミン:http://www.mext.go.jp/programin/

「小学校プログラミング教育 〜石狩の場合〜」 さくらインターネット株式会社 朝倉 恵


さくらインターネットは、2016年度より準備をはじめ、2017年度より石狩市の小学校へのプログラミング教育の支援を開始しました。

今回は、石狩での取り組み成果を通し、民間企業と学校教育が協力しあうために、お互いのコミュニケーションにおいて理解しておいた方が良いことをお伝えしました。

また、初めての出前授業において、「どこに住んでいようとも、子どもたちにとって、コンピュータは既に身近なものである」という驚きを、現場の先生と共感した経験から、プログラミング教育の重要性を肌で感じることができたとのこと。プログラミング教育が社会に根付くためには、学校教育だけでは成り立たないことにも触れ、これから先、民間企業やNPO法人などが果たすべき役割についても考えております。

アンケートより

(講義・模擬授業)

  • 新しい教育で求められている資質・能力とプログラミング教育の果たす役割が密接に関わっていることを初めて理解しました。2020年をどう迎えるのかがすごく重要だと実感しました。
  • 大変勉強になりました。アンプラグドの意味や、探求的学習とプログラミング学習の関連がやっとわかりました。ありがとうございました。
  • プログラミングに対して勝手に苦手意識を持っていましたが「アンプラグド」できることからやってみようと思いました

(3種の教材体験)

  • 実際に体験し、本当に面白いと思いました。こうした体験の中で思考力を伸ばし力をつけていくのだと感じました。
  • 小学生でも簡単に使えて没頭できるソフトがこんなにあるんだと思いました。子どもたちが自由に使って楽しく思考できるような活動がすぐにできることを実感しました。
  • 実際に使われている教材で体験できたのが良かったです。「もっとやってみたい」とか「こんなことはできるのかな?」というような子どもたちの主体性が引き出されていくのを体感することができました。

(実践報告)

  • 具体的な実践例について知ることができたので、プログラミング教育についてイメージを持つことができました。
  • 難しく考えすぎない。プログラミング教育単独で考えずに、まずはアンプラグドを各教科で試してみようと思いました。
  • 授業実践の内容はもちろんですが、発表者の皆さんの現在に至る背景も興味深く聴かせていただきました。

開催概要

第2回 小学校プログラミング教育を考える夕べ@札幌

開催日時: 2018年7月28日 17:30 〜 21:00
開催場所: わくわくホリデーホール 第2会議室(札幌市中央区北1条西1丁目)
参加費: 無料
対象:原則として教員の方
企画:東京都江戸川区立東小松川小学校 鈴木 康晴 先生
主催:さくらインターネット株式会社
後援:札幌市教育委員会
協力:一般社団法人LOCAL

過去の関連イベント

●「第1回 小学校プログラミング教育を考える夕べ」 [開催概要] [レポート(キタゴエ)]