Docker Swarm Modeの解説から質問大会まで、「さくらの聖夜2019」イベントレポート

こんにちは、さくらインターネットの大喜多です。

2019年12月23日にさくらの聖夜2019が開催されました。本記事ではその様子をレポートいたします。

さくらのクラウドとDocker Swarm Modeで誰でもわかる簡単デプロイ

執行役員 兼 CISO の江草より、さくらのクラウドとDocker Swarm Modeを使ったアプリケーションのデプロイについての解説がありました。

コンテナのクラスタ環境としてはKubernetesが有名ですが、場合によってはオーバースペックになることもあり、このセッションはDocker Swarm Modeを使ってコンテナクラスタを構成して、コンテナのメリットも享受できるという方法についての解説でした。

Nginx+django+PostgreSQL+Redisといった構成のアプリケーションを題材にして、その環境構築についての解説がありました。

古典的なセットアップでは、必要なパッケージをインストールしたり、ソースコードを持ってきたり、各種設定ファイルを書いたりするなどの作業をすべて手作業でおこなうことになり、大変ということで、次に出てくるのはDocker Composeを使うという方法です。Docker Composeであれば手元に開発環境を簡単に構築することができ、他の人に動かしてもらう場合でもdocker-compose.ymlファイルがあればどこでも同じ環境を立ち上げることができます。1台で動かす場合であれば本番環境で利用することもできます。

ですが、Docker Composeですと1台で動かしていることから耐障害性や拡張性の面で不利になったり、ソースコード更新の際にダウンタイムが発生したり、アプリケーションのデプロイに時間がかかったりします。

そこで出てくるのがDocker Swarm Modeです。以前はDockerとは独立したソフトウェアでしたが、今はDockerに統合されており、複数台のサーバ上でコンテナを動かすことができます。簡単に言うと透過的にDocker Composeを複数台で実行しているようなものとのことです。

注意点としてはサーバ複数台でクラスタを構築している関係上、永続化したいデータはデータベースサーバをコンテナ外に用意したり、NFSサーバを利用したりするなどの考慮が必要とのことです。

Docker Swarmの使い方自体は前佛の資料に詳しく書かれているということで、こちらも紹介されていました。

Docker Swarm Modeをさくらのクラウドで構築して実環境でいい感じに使える構成の紹介がありました。SSL/TLSのオフロードとロードバランスはエンハンスドロードバランサを使い、Nginxでリバースプロキシを構築してコンテナに通信を中継するといった構成です。データベースは永続化させたいデータを持たせるということでコンテナ上ではなく、さくらのクラウドのデータベースアプライアンスを利用しています。

そのほかにも、エンハンスドロードバランサは最近ルールベースのロードバランシング(L7ロードバランス)に対応したということで、今ではリバースプロキシとして用意していたNginxもいらなくなるとのことです。

ここでOne more thing…ということで「さくらのエンジニアリングラボ」というチームの紹介がありました。

このチームではどんどん新しいサービスをプロトタイピングして、早期のタイミングでお客様にも使っていただくということを目的としているとのことです。

そのチームの成果物として、「コンテナレジストリ」のサービス発表がありました。12/6(金)に開発を開始して、さくらの聖夜の当日(12/23(月))に本番環境に反映させることができたとのことで、本セッションの中で発表されました。ニュースリリース前の発表でしたのでサプライズですね。イベント中に新サービス発表というのがさくららしくてとてもよいと思いました!

※コンテナレジストリ:Dockerなどのコンテナエンジンで利用できるコンテナのイメージファイルを置く場所のこと。パブリックなものとしてはDocker Hubが有名。本サービスではパブリックなコンテナレジストリはもちろんのこと、プライベートなコンテナレジストリとして利用することが可能。詳しくはさくらのクラウド ドキュメントをご参照ください。

入社半年のエンジニアが語る『さくらインターネット』とは

エバンジェリストチームの仲亀より、入社してから感じたさくらインターネットについての話がありました。

公開されていたタイトルでは「入社半年」となっていましたが……

実際には10ヶ月経っていたので急遽タイトルが変更になりました。

入社してからイベントへの参加回数も大幅に増え、さくらをきっかけにイベントなどでのコミュニケーションが増えたそうです。これまでは受け身だったとのことですが、自分から話しかけることが多くなったそうです。職場としてのさくらインターネットは、社内の他のエンジニアに刺激され成長できる環境だとか。ハードウェアに関する非常に深い話をしたなどのエピソードが紹介されていました。

さくらの人にあれこれきいてみよう(質問大会)

今年は新しい催しとして、さくらの人に直接質問ができる質問大会が開催されました。質問を受けるのは以下の3名です。

  • 代表取締役社長 田中 邦裕(写真右)
  • 執行役員/エバンジェリスト 横田 真俊(写真左)
  • 執行役員 兼 CISO 江草 陽太(写真中)

質問の中から、私が特に印象に残ったものを中心にピックアップしてご紹介します。

Q:横田さん、最近気になっているバズワードを教えてください
横田:JAMstackですね。静的サイトをホスティングするサービス上でWebアプリケーションを実現する仕組みのことです。

Q:田中さんはあまり先の予定を入れないを入れないとのことですが実際はどうなのでしょうか
田中:「1週間先の予定入れない」というのがバズってから、「田中さんは1週間よりも先の予定を入れないそうですが、そんな中先の予定を入れさせていただきたいのですが……」というように、めっちゃ気を遣われながらの攻防があったりします(笑)

Q:来年はどんなビジネスを立ち上げたいですか?夢や展望でもOKです
江草:エンジニアリングラボの話もしましたけれども、新しいサービスですとか、既存のサービスの改善などをしていきたいです。今ある延長線上でのサービスを考えています。
横田:コンテナ系のサービスはやっていきたいです。あとバズワード大好きなんで、ナウいサービスがやりたいですね(笑)
田中:ナウいっていう表現がナウくないですよね(笑) 最近はサーバーレスというのが流行っていますけれども、サーバーレスは非常に面白いと思いますが、一方で物理的なサーバーやネットワークといったものはなくならないわけで、サーバーやネットワークの知識を持ちつつサーバーレスをやるというのが、10年先・20年先には重要になってくると考えていて、そういうことをビジネスとしてやっていければなと思っています。

Q:今年のさくらインターネットここがよかった!というのを熱いコメントをお願いします
横田:江草さんですね。「これ絶対変えたほうがいいだろう」「こうなったほうがよくなるけどできない」といったところに自ら切り込んでいって改善している。これってVPSやクラウドのプロトタイプを作ってきた、7、8年前の田中さんに通じるものがあると思うんですよね。これはもう僕らがやらないわけにいかないだろうという(笑)
田中:チームをちゃんと作らないといけないな、というのが動き出したなというのがありますね。今までは「言わんでもわかるやろ」みたいなところがあったんですけど、社会人の不幸の8割は合意のない期待からという記事がめっちゃバズったから(笑)そういう会社の経営者が合意のない期待で仕事してちゃいかんだろうと(笑)あとは、チームごとにサイロ化していたのがだいぶよくなりましたね。
江草:仕込みがしっかりできた年だなと思います。今まで出せなかったもの、これから出そうとしているものの種まきができたな、と思っています。

お食事&ケーキ

今年も懇親会もセットとなっており、お食事&ケーキがふるまわれました。

非常におしゃれなケータリング!

田中の顔が描かれたケーキが恒例になっていましたが、今年は弊社の二次元社員・桜葉愛のイラストが描かれたケーキが用意されました。

ケーキ入刀は例年通り田中によりおこなわれました。

LT大会

こちらも毎年恒例となっておりますLT大会ですが、今年も多くの方に登壇いただきました。ありがとうございます!(登壇者敬称略)

  • 「『実装する人』〜『機能開発する人』への変化〜エンジニア1年目の棚卸しと勉強法とか〜」
    塩浦 侑也(リンクアンドモチベーション)
  • 「2児のパパエンジニアがGrafanaを育児に活用したい話」
    妹尾 登茂木 (@0Delta)(クラウドエース/インフラ勉強会)
  • 「CROSS PARTY に中の人として参加してみた」
    久保 俊平(@MC_SEC_KB)(マカフィー)
  • 「さくらのレンサバ使ってます(もう5年)」
    txracing
  • 「2019年の『ねこたいほう』を振り返る」
    新妻 正夫(桃山.舎)
  • 「うっかりyum updateでコケちゃってもさくらのVPSならレスキューモードでデータ吸い出せるぜ」(なお現在復旧作業中→もう直った)
    濱田 康貴(@nullpopopo)(パイプライン)
  • 「Dockerを漫画で解説したら起きたこと」
    湊川 あい(@llminatoll)
  • まとめ

    毎年クリスマスごろにやっているさくらの聖夜ですが、ここ数年はコンテンツが割と固定化していたところに、少し形を変えてきたなという印象がありました。寒い中多くの方におこしいただき、また質問大会でも多くの質問をいただけるなど、さくらインターネットに注目してくれている人が多くいるということを実感したイベントでした。また次のイベントでお会いしましょう!