JDAがネットショッピングに関する意識調査を実施。過去1年で約3割がトラブルを経験

2015年の日本の電子商取引市場は13.8兆円規模に

サプライチェーンマネジメント(SCM)のソフトウェアとサービスを提供するJDAソフトウェア・ジャパンが、「インターネットショッピングに関する消費者の意識調査」を実施、その結果を発表しました。この結果が実に興味深いので、ここで紹介してみたいと思います。

まず今回の調査ですが、2016年5月20日~23日、日本国内に在住する18歳から70代までの男女にインターネットで調査を実施し、有効回答は2,115件に上りました。その結果、約3割の回答者が過去1年間にトラブルを経験、さらにトラブルを経験した場合、店を“変える人”が“変えない人”の10倍以上であることが明らかになりました。

ところで、電子商取引の国内市場規模がどのくらいか、ご存知でしょうか。経済産業省が2016年6月に発表した「平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」では、2015年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、前年比7.6%増の13兆8000億円と報告されています。

また電子商取引の浸透度合を示す指標であるEC化率は4.75%であり、前年から0.38ポイント上昇しています。市場規模もEC化率も右肩上がりに成長していますが、物販分野におけるスマートフォン経由の市場規模も1兆9,862億円と、物販市場規模7兆2,398億円の27.4%まで成長しています。

日本のBtoC-EC市場規模の推移

日本のBtoC-EC市場規模の推移(出典:経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160614001/20160614001.html

話題を「インターネットショッピングに関する消費者の意識調査」に戻しますが、今回の調査は以下の13問で実施されました。

【調査項目】
Q1.過去1年間のインターネットショッピングでトラブルを経験しましたか?
Q2.過去1年間で経験したインターネットショッピングでのトラブルを教えてください。
Q3.トラブルが解決されたときの満足度をお答えください。
Q4.不愉快な経験をした場合、次回の購入時に店を変える可能性はどのくらいありますか?
Q5.インターネットショッピングで店を選ぶ際に最も重視するものは何ですか?
Q6.インターネットショッピングで自宅へ配達してもらう場合、最も重要な項目は何ですか?
Q7-1.年に何回くらいインターネットショッピングをしますか?
Q7-2.購入した商品(食品以外)を返品する頻度は年間でおよそ何回くらいありますか?
Q8.インターネットで購入した商品の返品理由は?
Q9.過去1年でクリック&コレクトサービスを利用しましたか?
Q10.過去1年以内に経験したクリック&コレクトに関するトラブルをお答えください。
Q11.同じ商品で再配達を何回まで依頼したことがありますか?
Q12.インターネットショッピングの際、配達日の指定をしていますか?

ネットショッピング利用者の3割以上がトラブルを経験

今回の調査では、インターネットショッピングの利用回数は過去1年間で10回以上が約半数を占めており、そのうち3割以上の利用者が何らかのトラブルを経験していると回答しています。トラブルのトップ3は「商品到着の遅れ」「在宅中にも関わらず不在伝票が入っていた」「商品が破損していた」でした。

また、約2割の利用者が「商品の返品」を経験しています。返品理由の第1位は「想定した商品と違った」で、2位は「欠陥商品」でした。実物を見ることなく購入しなければならないインターネットショッピングならではのトラブルと言えます。

トラブルが解決されたときの満足度に関しては、満足した利用者は全体の約4割で、半数以上の利用者はトラブルが解決しても満足していないという結果でした。またトラブルを経験した場合、次のインターネットショッピングでは別のネットショップで購入するという回答が全体の6割以上を占めています。

ネットショップの選択については、約7割が「送料無料」を最も重視すると答えており、ネットショップが注力している「翌日配送」に関しては、最も重視すると答えた利用者は3%程度に過ぎませんでした。さらに、配送場所や配送日時が選べるといった「利便性」をネットショップ選択の条件と答えたのは2割弱に止まっています。

配送場所が選べても、コンビニ受け取りなどの「クリック&コレクト」サービスを利用している利用者はごくわずかで、オムニチャネル化が進んでいるとはいえ、大多数が「利用していない」と答えています。またクリック&コレクト利用者の半数以上が、商品の受け取り時にトラブルを経験していると答えています。

一方、JDAソフトウェアが2016年に世界各国で実施した調査では、イギリスとフランスで50%以上、スウェーデンで約半数、ドイツや中国でも30%以上が、「クリック&コレクト」を利用していると報告されています。グローバルでは配送・受取サービスの選択肢として、クリック&コレクトが定着しつつあるようです。

「配達日時指定サービス」の利用率では、配達日指定を「する派」と「しない派」の割合はほぼ半々という結果であり、再配達サービスの利用回数については「1回」という回答が半数で、2回以上が3分の1でした。

より強固かつ高度なサプライチェーン基盤が必要

今回の調査のまとめとしてJDAソフトウェア・ジャパンでは「ネットショップが利便性やスピードを追求したサービスを提供している反面、配送料に関する消費者のコスト意識の高さが浮き彫りになった。今後さらに多様化するサービス提供とともに、フルフィルメントのオペレーションがより複雑になる。収益を確保しつつ顧客満足度とコスト効率を向上するには、サプライチェーン基盤をより強固かつ高度化する必要がある」としています。

なお、本調査結果の詳細はJDAソフトウェア・ジャパンのウェブサイトからダウンロードすることができます。インターネットショッピングに関する消費者の意識に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

2016年インターネットショッピングに関する消費者意識調査

2016年インターネットショッピングに関する消費者意識調査(出典:JDAソフトウェア・ジャパン)
http://now.jda.com/Customer-Pulse-Report-2016-JP.html