はてなの田中CTOがMackerelを語る!第18回さくらの夕べ 開催レポート

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こんにちは、 なかのひとです。

今回は、さる7月16日に西新宿で開催された「さくらの夕べ」の模様をお届けしたいと思います。およそ5カ月ぶりの開催となったさくらの夕べ、今回で18回目を数えることになりました。当初は定員100人を予定していたのですが、さくらの夕べ史上最大の申し込み数をいただき、急遽120人に増員しての開催となりました。
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これだけ多くの方々に来場いただいた理由の1つは、今回のテーマ「Mackerel(マカレル)」にあったと考えています。Mackerelは株式会社はてなさんが開発したサーバ管理サービスで、現時点ではまだβ版の段階ながら、多くのシステム管理者や開発者から高い注目を集めています。

今回のさくらの夕べでは、このMackerelのプロデューサーである、はてなのCTO 田中慎司氏にご登壇いただき、Mackerelのあれやこれやについて語っていただきました。

噂のサーバ管理サービス「Mackerel」の正体とは?

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「『Mackerelってどういう意味なの?』とよく聞かれますけど、日本語では鯖(“サーバ”をもじって)という意味です。決して造語ではなく、れっきとした英単語なので、ぜひ覚えて帰ってくださいね!」

「Mackerelによる1台からの簡単サーバ管理」と題したプレゼンの冒頭で、Mackerelのことをこう紹介した田中氏。もともとMackerelは、はてな社内で大量のサーバを効率よく管理するために、2007年から自社開発してきたツールだったそうです。当初は社内利用のために開発したものだったのですが、社外でたびたび紹介したところ非常に好評だったため、今回クラウドサービスとして一般公開に踏み切ったとのこと。ちなみに今回のサービス公開のために、一からフルスクラッチで開発し直したそうです。
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Mackerelの最大の特徴は、複数のサーバを個々の役割ごとに「ロール」という大きな集合に束ねて、管理を簡素化できる点にあります。例えば、「Webサーバ」「アプリケーションサーバ」といったように、各サーバの役割ごとにロールを設け、それぞれのサーバは自身の役割に応じて適切なロールに割り当てられます。そして、ロールの単位でサーバ群のリソース状況をまとめて監視することで、サーバを1台1台管理するよりはるかに効率よく多数のサーバを管理できるようになるわけです。はてなでは現在、2000~3000台ものサーバを管理していますが、このロールベースの管理を導入することで、運用管理の効率がかなり上がったそうです。

ちなみに、管理対象となるサーバには「mackerel-agent」というエージェントソフトウェアを導入しますが、これはオープンソースで開発されているので、ユーザーが自ら改編できますし、あるいははてなでもユーザーからの改善要望を随時受け付けているそうです。
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田中氏によるMackerelのデモも披露されましたが、Mackerelにログインし、新たに立てたサーバにエージェントをインストール、そしてエージェントがサーバ上で収集した情報が送り返されてきてダッシュボード画面上で統計情報として確認できるまで、あっという間でした。基本的に、ほぼすべての作業をWebの管理コンソール上から行えるようになっているのですが、UIが実に洗練されていて、とても使いやすそうだった点が印象に残りました。

ちなみに、エージェントに拡張を施してユーザーごとに独自の情報(カスタムメトリック)を収集したり、あるいは外部システムとAPIを通じて連携できるなど、ユーザーの環境に合わせた柔軟なカスタマイズも可能になっているとのことです。現時点では、APIはまだ「バージョン0」の段階ですが、ホスト情報の一覧を外部から取得したり、あるいはサーバのステータスをAPIを通じて更新するといったような、一通りのタスクが実行できるようになっています。
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なおMackerelの開発ロードマップですが、現時点では5月頭にリリースされたβ版が利用可能な状況で、まだ一部の機能しか実装されていませんが、現在監視系の機能を中心に基本機能を順次作りこんでいるところだそうです。正式リリースの時期ですが、田中氏いわく「8月末か、9月頭ぐらいに出せればいいなあ」とのことです。

「Mackerelはとても簡単にセットアップできて、1台からでも便利に使うことができます。またサーバの監視データだけでなく、さまざまな時系列データを可視化できますので、サーバ管理以外にもいろんな使い道が考えられます。複雑すぎず簡素すぎず、Immutable Infrastructure時代の定番サーバ管理ツールに育てていきたいと考えていますので、皆さんぜひお試しください!」(田中氏)

さくらのクラウドとMackerelがコラボレーション!

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続いてさくらインターネット研究所の鷲北が登壇。「さくらのクラウド×Mackerel」と題したプレゼンを行いました。実はさくらは、Mackerelに結構深く関わっているのです。

「Mackerelのα版、β版の開発の際にはてな様から当社にお声がけいただき、コラボレーションすることになりました。そこで幾つかのアイデアを出させていただいたのですが、今回はその中から幾つかを紹介したいと思います」(鷲北)

さくらインターネットのクラウドサービス「さくらのクラウド」の現状の仕様でも、当社が開発・提供する管理ツールを使えば、基本メトリックのみではありますがサーバの監視情報を参照できるようになっています。しかしUIの見た目や使い勝手などは、自分たちで言うのもなんですが、決して洗練されているとは言い難いのが正直なところです……。そこで、「Mackerelのように機能や使い勝手が優れるツールが既にあるのなら、自社開発にこだわることなく、そちらを使った方がいいのではないか?」(鷲北)というのが、当社の現在の方向性です。
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具体的には、さくらのクラウドのアカウントとMackerelのアカウントを自動連携させたり、Mackerelのエージェントを仮想サーバにプリインストールした状態でお客さまに提供することで、さくらのクラウドのサーバをMackerelを使って効率的に管理できる環境をお客さまに提供できればと考えています。「最終的には、現行の管理コンソール画面内で、MackerelのUIがそのまま動作するようになればいいなと個人的には考えています」(鷲北)

さらには、Mackerel側からさくらのクラウドのAPIを叩いて、サーバのリブートや設定変更、削除、ネットワーク構成変更などが行えるようになれば、さくらのクラウドを使ったサイトの運営やシステム運用がより効率的になるのではと考えています。

「現在、Mackerelの正式リリースに向けて、こうした連携機能の構想を練っているところです。これから、まずはアカウント連携機能のあたりから調査と開発を進めていき、順次さくらのクラウドとMackerelの連携機能を皆さんに提供していければと思っています」(鷲北)

なお、田中氏と鷲北のプレゼンの後には、プレゼンターと参加者、そして当社のスタッフも交えた懇親会が開かれました。今回のさくらの夕べは、参加者の人数も最大なら、料理もこれまでで最も豪華!おいしい料理をつつきながら、あちらこちらでMackerel談義(?)に花が咲いていました。
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そんな中で、何人かの参加者の方に、今回のさくらの夕べの感想をうかがってみました。
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「自社のサーバ管理の仕事をしているのですが、Mackerelは現在使っている管理ツールと比べかなり使い勝手が良さそうだと感じました。すぐ業務に適用するのは無理だとしても、今後の動向はぜひウォッチしていきたいですね」

「現在、何台かのサーバをZABBIXを使って管理しているのですが、Mackerelはクラウドサービスなので、自前でサーバを立てなくて済むのが魅力ですね。早速、β版を試してみたいと思います」

一方で、自社のサーバ稼働状況に関する情報を社外のクラウドサービスに託すことに不安を感じるユーザーもいるのではないか、という声もちらほら聞かれました。はてなの田中氏にこのことについて尋ねたところ、「そうした不安が解消できるよう、将来的にはひょっとしたらオンプレミス版の提供もあり得るかもしれない」とのことでした。
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懇親会の最後には、はてな社からご提供いただいたプレゼントグッズを巡る「争奪じゃんけん大会」で大いに盛り上がりました。
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次回のさくらの夕べは8月下旬、大阪での開催を予定しています。次回も多くの参加申し込みが殺到することが予想されますので、参加を希望される方はぜひ早めの登録をお願いいたします!
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>>Mackerel(マカレル)公式サイトはこちら

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