さくらインターネットでコミュニティマネージャーをしている法林です。

8月27日(日)に、産業技術大学院大学にて「July Tech Festa 2017」(JTF)が開催されました。さくらのナレッジでは、このイベントの模様を2回に分けてレポートします。先日公開した前編ともども、ごゆっくりお楽しみください!

Zabbixで見る大規模イベント会場ネットワークの裏側

Zabbixについて講演する寺島広大さん

後編最初のレポートは、Zabbix日本支社のCEOであり、日本におけるZabbixの第一人者である寺島広大さんによる「14万人が来場した大規模イベント『Interop』を支えた運用監視ツールZabbix。その裏側での奮闘記」です。

Interopは毎年6月に幕張メッセで行われるネットワーク系の展示会で、出展企業が提供する機器で構築されるShowNetという会場ネットワークが大きな見どころの1つです。ShowNetは単なる会場LANではなく、2,3年後に普及しそうな技術を実際に動かしてみせる動態展示の場です。よってそこに持ち込まれる機器も最新鋭のものばかりで、今年提供された機材は総額約87億円にも及びます。

ZabbixのアプライアンスZS-7300

ShowNetにおけるZabbixの構成はメインとサブの2台で、メイン機はZS-7300というアプライアンス、サブ機はDellのサーバです。監視対象が556台、監視項目が約63,000個という膨大な監視を、実質4日間程度で設定しなければなりません。これは手作業では厳しいので、ネットワークをPingやSNMPで探索し、監視対象や監視項目を自動登録しています。基本的な監視が安定稼働したら、ShowNetのNOCチームからのさまざまな要望に対応します。例えば、主要ポートの監視状況を一覧で見たい、slackに通知してほしい、OSPF Neighborリストが変化したら差分を教えてほしい、L2ループなど重大な問題が発生したら教えてほしい、などです。

また、大量の機器から送信される膨大なsyslogやSNMPトラップを処理する手段として、fluentdによるログの振り分けや、rsyslog用Zabbixプラグインの開発を行いました。さらに近年はShowNetに参加する監視ベンダーも10社ぐらいに増えたので相互連携ができるようにしたり、ラックの温度・湿度・気圧監視を手がけるなど、これからも進化していきそうです。

VR展示やEnglish Cafeなど催し物もいっぱい!

ここでセッションレポートから少し離れて、会場の一角で展開されていたユニークな試みをいくつかご紹介しましょう。

いろんなVRが見られる!Virtual Reality Room

TMCNによる展示。画面中央にある手の形をしたデバイスを操作すると、
ドーム型スクリーンに映し出された同型の手が拍手します。

1つは「Virtual Reality Room」です。今話題のVRを体験できるコーナーで、それも1社ではつまらないということで5社が参加。部屋いっぱいに並べられた各社の展示を次々に試すことができました。ひとくちにVRと言ってもコンテンツはさまざまで、イベントにレンタル可能な対戦型シューティングゲームや、業務での活用を目指して研究開発中のMR対話エージェントといった本格的なものから、TMCN(Tokyo MotionControl Network)というコミュニティによる手作り感満載のものまで、幅広い展示がありました。また、「VRアカデミー」という、ゲームやVR開発に必要な知識を学べる教室も出展していて、受講生による作品が展示されていました。

英語で話そう!English Cafe

English Cafeの様子。左側で立っているのが講師のBruce McIntosh先生。

もう1つの催しは「English Cafe」です。これは以前に掲載した告知記事でも紹介しましたが、エンジニアも英語を話せるようになろうということで、ネイティブの方や英会話講師の方をお招きし、実際に英会話ができるというものです。今回は2種類のプログラムが用意されていました。

  • ビジネス単語のクイッククイズと、通訳の基礎トレーニング
  • 英語による自己紹介のトレーニング

筆者が立ち寄ったときは英語による自己紹介のトレーニングが行われていて、参加者の方が講師に英語で自己紹介していました。人数的には少人数ですが、その分、和やかな雰囲気でトレーニングが行われていました。

エンジニアは社会にも関心を持とう

招待講演に臨む榊原彰さん

今年のJTFの最終セッションは招待講演で、マイクロソフトのCTOである榊原彰さんから「日本のエンジニアが今取り組むべきこと」と題する話がありました。講演内容は、現在の日本が直面している社会的な課題を挙げるとともに、ITエンジニアリングの力でそれらの課題を解決しようと呼びかけるものでした。

現在の日本は、高齢者人口の増加やインフラの老朽化など、多くの社会課題を抱えています。また、以前に比べて世界各国の関係が密接になり、他国の出来事が自国に影響を及ぼす経済連鎖も発生するようになりました。例えば2011年に発生したタイの洪水が日本の自動車の部品生産に影響した事例などです。

こうした課題を解決する糸口になり得るのが、2020年には2120億台のモノがつながり、40ZBのデータがネット上を流通するというデータの膨大化です。データはただ集めただけでは価値がなく、分析して初めて意味のある情報になります。しかし現在はデータを扱う基盤がまだ標準化されておらず、無秩序で統制が取れていない状態なので、これを整備し、都市OSとも呼ばれるスマートな社会情報基盤を確立することが求められます。

社会を支えるIT基盤(都市OS)

このような活動においてITエンジニアが果たせる役割は大きいと考えられますが、日本のエンジニアはまだ十分に参画できているとは言えません。榊原さんからは、技術を学ぶことと並行して社会にも関心を持つこと、特に今日からでも実践できることとして、

  • 社会の課題を意識する
  • 社会のアーキテクチャを考える
  • 何かの活動にエンゲージする(加わる)
  • 身の回りのニーズに目を向ける
  • 社会的弱者を支援する

に取り組んでほしいという話がありました。特に社会的弱者の支援に関しては、マイクロソフトにおける取り組みとして、全盲プログラマーの生活支援やパーキンソン病患者の支援の例を、映像を交えて紹介しました。(パーキンソン病患者の支援についてはITmediaに記事があります)

おわりに

こうして朝から夕方までのセッションを終え、カンファレンスはクロージングを迎えました。今年も充実したプログラムで多くの参加者を集めたJTF。チケット販売枚数も昨年を上回って600枚を超えたそうです。実行委員会の皆さんがより良いイベントにするよう努力されてきたことが結果に結びついてよかったと思います。

最後に、実行委員会の山崎泰宏さんからいただいたコメントをご紹介します。

JTF2017は、37個のセッションと、2個のハンズオン、その他に英会話カフェ、体験型の特別企画としてVRルームを備え、無事盛大に実施することができました。1日でこれだけ盛りだくさんの内容を滞りなく進められたのも、皆様のおかげです。
イベント運営側には色々と至らない点も多かったですが、ご寛容に受け止めていただき、大変助かりました。そして講師の皆様からは、質の高いプレゼンテーションとコンテンツをご用意いただき感謝しております。技術という共通のテーマで、ご参加者全員を魅了してくださいました。
改めてJTF2017にお越しいただきました皆様には厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

実行委員会の皆さん、講演してくださった皆さん、ありがとうございました!

それではまた、次回のイベントでお会いしましょう!

参加者とスタッフで記念撮影。皆さんお疲れさまでした!