今年で16回目を迎えるライジングサンロックフェスティバル(RSR)が8月15日~16日の2日間、北海道石狩市の石狩湾新港樽川ふ頭野外特設ステージで行われました。来場者数はのべ6万人余りで、石狩市の人口(5万9千人)を超える参加者が訪れ、もう一つ町ができてしまうくらいの規模のイベントとなりました。

RSRの来場者に無線の高速インターネットを利用していただくため、メインステージから離れたフォレストテントサイト内にあるボヘミアンガーデンに、さくらインターネットがWi-Fiスポットを提供しました。
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今回のイベントについて、RSRのプロデューサーである株式会社ウエスの常務取締役 若林良三氏(写真右から2番目)とチーフディレクター 武田豪氏(写真右)に、Wi-Fiスポット提供の技術協力に携わった、さくらインターネットの石狩IDCセンター長 宮下(写真中央)、運用部の玉城・中山を交えて、お話を伺いました。

北海道でロックフェスをやるということ

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「広大な土地でオールナイトでロックフェスティバルをできるのは北海道しかないだろうということから始まり、さらに利便性も考慮すると、石狩市の石狩湾新港でやろうということになり、16年前に第1回が開催されました。昨今、ゲリラ豪雨など異常気象が非常に増えている中、今年は開催前に台風の影響で大雨に見舞われ、テントサイトも一時はどうなることかと心配されましたが、本番日には晴れて、久々にきれいな朝日が見られてほっとしていました。来場者数は毎年6~7万人と定着してきています。」(若林氏)
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「通常使われていない土地でイベントを開催するので、準備は整地や草刈から行います。基礎工事も含めると、1か月半前から始めています。撤収も含めると約2か月間、この土地に滞在することになります。」(武田氏)

「今年で16年目となり、参加者も様変わりしてきています。子育てで忙しい3年間くらいは欠席される方も多いのですが、子連れで参加できるようになり、夏休みの思い出として、家族でテントを張って、子どもと一緒に肉を焼きつつ、音楽を聴きにいく……というような、できるだけ五感に訴えるイベントにしていきたいと思い、コンテンツ作りをしています。デジタル時代だからこそ、この想いは強くなっています。」(若林氏)
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ロックフェスティバルとインターネットの関係

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「第1回を開催した1999年はインターネットが普及し始めた頃で、BBS(掲示板)を通じて、『九州からバイクで行きます』とか『夜は寒いからダウンが必要』といったメッセージをリアルタイムでやりとりしていました。今はSNSが普及し、スマホで写真を撮ってその場でSNSに掲載するというように変わりつつあります。」(若林氏)

—以前からWi-Fiスポットを提供していたのでしょうか?
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「もともとはインターネットカフェという形で、パソコンを置いて公衆無線LANを繋ぎ、充電ができる休憩所として提供していました。昨今では、スマホのテザリングやポケットWi-Fiで無線LANが使えるようになってきているので、主催者側としての提供は縮小気味になっています。ただ、モバイル端末が増えてくると、充電が必要になるので、複合的にWi-Fiスポットのような場所を提供していくのが時代の流れだと感じています。そんな中で、さくらインターネットの宮下さんからWi-Fiスポット提供のお話をいただきました。」(武田氏)

さくらとの取組み

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「イベント開催中のWi-Fi接続状況は、8月16日16時がピークで46人接続していました。ちょうどこの時、アジカンのゴッチさんのライブ中でしたが、集客状況もWi-Fiのスポットをセンサー代わりにして計測できるのではと思います。Wi-Fiアクセスポイントは、太陽光で動くポジモを2台設置しました。8月15日~17日の3日間のユニーク接続数は507で、日ごとにみると、15日が203、16日が305、17日が115。データセンタのトラフィックはピークが8Mbsでした。スピードテストを行ったところ、下りで4Mbpsで安定していました。」(宮下)
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「今回、ルータ兼DHCPサーバとして導入したソフトウェアルータ『VyOS』の情報が少なかったので苦労しました。サービスが止まるか心配で、予備機は用意していましたが障害はありませんでした。」(玉城)

「Wi-Fiスポットを設置したボヘミアンガーデンは、メインステージから徒歩30分ほど離れたフォレストテントサイト内にあります。寝転がって空を見ながら歌を聴くというのがコンセプトです。静かにのんびり過ごしたい人はここにテントを張っています。ここのステージのPAや照明はすべて太陽光のバッテリーで蓄電したものを使っています。その方が音も良いのです。ここはリサイクルに特化したサイトで、静かな農村といった雰囲気です。食べ物はオーガニックで、ごみの分別で出た生ごみを堆肥にして、その堆肥で育ったジャガイモを無料配布するといったリサイクルを行っています。また、石狩では間伐材が捨てられているので、その間伐材をもらってきて、来場者に薪割り体験をしていただいています。その薪を売って、石狩のカーボンオフセットを買おうと思っています。そうやって還元していくということをみんなで肌で感じていくという村です。」(若林氏)

—ホームページにはどのくらいのアクセスがあったのでしょうか?
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「RSRホームページへのアクセス数は、アーティスト発表や、マップなどダウンロードする資料が掲載されたタイミングで増えます。近年は、FacebookやTwitterで情報共有されるせいか、アクセス数が大きく増えるということはありません。しかし、データ転送量は増えているということもあり、さくらさんとウェブサーバを今後どのように作っていくかが課題になっています。」(武田氏)
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「当社の技術協力については話を進めているところです。私どものクラウドをご利用いただけば、月額の課金のほかに日ごとの課金もあるので、最もトラフィックの発生する日にサーバを増強し、ウェブサイトが見られないという機会損出をなくすという点で貢献できると考えています。」(宮下)

「イベント会場である石狩市にこのようなデータセンターがあるというのは夢が広がります。世界に向けて、この田舎にこんなことやっているエリアがあり、一緒にやれるチームがいてとても心強いです。」(若林氏)

これからライジングサンが目指していくもの

—インターネットを活用して、今後どのように展開しようと考えていますか?
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コスト面や運用面での課題はありますが、LINEでクーポンを送ったり、『ビールの乾杯タイムなので100名様集合!』といった企業キャンペーンを今後やってみたいと考えています。

Wi-Fiスポット利用前に、性別など簡単なアンケートをとってから認証して接続するといったふうに、マーケティングツールとしての活用も考えられます。

インターネットは人とのコミュニケーションツールであってほしいし、私たちはそこに人が集まる磁石をどのように作るか、そこで引き合わせをして、あとは個人同士の繋がりが広がればいいと思っています。人とのコミュニケーションが楽しいんだということをこのフェスで明確にしていきたいです。」(若林氏)

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