2015 Los Angeles DrupalConの参加報告

DrupalCon Los Angeles 2015

今回は、Drupalのユーザカンファレンスに出席してきましたので、少し報告させていただきます。

DrupalCon Los Angeles 2015

5/11〜5/15、アメリカのロスアンジェルスで開催されたDrupalConに参加してきました。
私が参加したのは、5/11〜5/14の4日間になります。

DrupalCon Los Angeles 2015

DrupalConは、コミニティベースの公式のカンファレンスです。毎年、春に北米、秋にヨーロッパで開催されます。
参加費は有料で、1日のみの参加や5日間のチケットなどが販売されています。

セッションと参加人数

初日はオープニングセッションで、2日目以降の3日間で、各種セッションが開催されていました。
最終日は帰国のため参加できませんでしたが、最終日はSprintが実施されていました。Sprint(スプリント)は、グループでアイデアを出し合ってハックを共有する時間です。

3日間で130のセッションが開催され、毎朝、Keynoteがありました。参加者は、3200名弱、そのうちの20%が女性だったようです。

セッションのスケジュール

コミニティベースの開催で、しかも有料のカンファレンスで3000人を超す人が参加されているというのはとても大きな規模だと思います。

セッションは、1時間単位でDrupalを利用した事例発表、開発ツール、モジュール、ノウハウ(パフォーマンス向上、ツールの使い方など)、フロントエンド技術、Drupal8での変更点などが、各部屋に分かれて同時に開催される形態です。

セッションの様子

フロントエンドというジャンルに特化して3日間のセッションをすべて聴くこともできます。あるいは、さまざまジャンルにまたがって興味のあるセッションに参加することも可能です。

今回のセッションはすべて動画が公開されていますので、興味のあるセッションについて聞いてみてはいかがでしょうか。

DrupalCon Los Angeles 2015のサイトから、PROGRAM → Sessionsからセッションの一覧を表示して、1つのセッションをクリックすると動画がインラインで表示されます。

Drupal創始者のKeynote

Drupal創始者のDriesのKeynoteでは、Drupalのこれまでの歴史、Webの将来、教育について話が出ていました。

Keynote

Webの将来では、利用者はPullからPushでの情報が入手されていくだろうということでした。物としてのインターネット(IoT)と言われ始めているなかで、各種センサー、行動パターン、嗜好の応じて、情報が送られてくるイメージです。

技術的には、Facebookが利用しているBigPipeというページ表示を高速化する技術についてふれらていました。BigPipeは簡単に言うと、HTML読み込み時に平行して(パイプライン)で読み込み、画面を表示する技術です。例えば、本文ページを読み込みながら、サイドに表示するコンテンツを読み込みなど。BigPipeを利用することで既存ページの2倍以上の高速化が体感できるということらしいです。
BigPipeは、Drupalの次バージョンの8では考慮しているようで、こういった最新技術が使えるとのことです。

Drupal 8について

今回のセッションでもDrupal 8の話題があり、聞いていて思ったのは早くDrupal8が出て欲しいです。今のDrupal7の問題が改善されている機能が多いです。
Drupal 8は、現在ベータ10がリリースされています。クリティカルバグがまだ残っているため、秋に正式リリースも難しいような話でした。

Drupal 8と周辺モジュール

様々サービスで利用されているDrupal

Keynote以外に私自身は様々なジャンルのセッションに参加して思ったのは、改めてDrupalの適用範囲の広さと大規模サービスで運用されていることに驚きました。
Drupalの技術面の方向も重要ですが、実際に運用されている事例を聞くことで、どのように適用されていることがわかりとても興味深かったです。

例えば、スイスのテレビ局のサイトでは、番組に連動してサイトを更新して投票まで受け付けるシステムにDrupalが利用されています。8000/秒 の投票を受け付ける工夫がされています。
このようなシステムが実際に運用されていることが聞けるのはとても楽しい時間でした。

SecondScreen for a national TV show with realtime pushes and crazy traffic

Drupalの可能性を再認識

また、セッション自体は初歩的な内容もあったかもしれませんが、私が聞いた内容では、Drupalが当たり前のようにサービスで利用している前提で、どういった問題、どういった工夫をしたかを聞くことができました。

なお、今回のDrupalConの開催では、70近くの企業がスポンサーとして参加しています。

スポンサー企業の一部

Drupalというオープンソフトウェアの中で、創始者のリーダシップと開発者とユーザとの交流を通してソフトウェアが発展しているのは、ともてよい循環がされていると感じます。
そして、その循環を促すための触媒として、マネタイズしている企業があるということが、オープンソフトウェアが継続的に続けていく上では欠かせないと感じます。

今年の秋のDrupalConは、バルセロナで開催されます。

そして最後に、来年の2月には初めてアジアでDrupalConがインドのムンバイで開催されます。アジアでもDrupalの認知度が上がったからだと思います。日本でも、これからもっともっと流行っていくのではないでしょうか。