2017年のIT業界を占う「NTT DATA Technology Foresight 2017」

NTTデータの研究開発部門では、2012年より「3年~10年後の世界にインパクトを与える社会動向や先進技術」を継続的に調査しています。この調査結果から導き出された、情報社会を取り巻く大きな潮流とITのトレンドを「NTT DATA Technology Foresight」として体系化し、毎年公開しています。このトレンドは2017年のIT業界を占う指針としても興味深いものであり、この時期に注目するトレンドの1つです。

NTT DATA Technology Foresightは、政治、経済、社会、技術の4つの観点からIT環境の変化を捉え、インターネット、書籍、カンファレンス、有識者などの情報源から世界に変化をもたらす60種類の「重要課題」と154種類の「革新技術」を抽出します。さらに、これを4種類の「情報社会トレンド」と8種類の「技術トレンド」に分類しています。今年も2017年1月27日に「NTT DATA Technology Foresight 2017」が公開されました。

情報社会トレンドでは、ITの進展により既存社会の制約が緩和され、社会の仕組みに変革がもたらされることをさまざまな観点で捉えています。一方の技術トレンドでは、近未来に重要性が高まる中心的な技術を取り上げています。今回公開された4種類の情報社会トレンドは次のとおりです。


■情報社会トレンド:ITの進展で制約が緩和され社会が変革
(1)個の影響力拡大が社会の変革を促進する
(2)オープンな連携が新たな社会の仕組みを生み出す
(3)進化する価値が既成概念の転換を促す
(4)フィジカルとデジタルの融合が生活やビジネスの可能性を広げる

インターネットの世界ではUberやAirbnbのように、大企業だけでなく中堅・中小規模企業やベンチャー企業までもが、独自のネットワークで世界中のマーケットにアクセスすることが可能です。2017年は個のインパクトがさらに強くなるというトレンドがあり、それが「(1)個の影響力拡大が社会の変革を促進する」です。

また、多くの人、あらゆるモノがインターネットにつながり、自律的に行動し、関係が動的に変化する分散型エコシステムが拡大するというトレンドが、「(2)オープンな連携が新たな社会の仕組みを生み出す」です。

さらにAIの活用により、状況に応じて学習しながらデバイスを変化させるレスポンス・デバイスやスマートロボットなどが登場するトレンドが、「(3)進化する価値が既成概念の転換を促す」です。

AIの活用においてバーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)など、空間を超える概念により、新たな価値を創出するというトレンドが、「(4)フィジカルとデジタルの融合が生活やビジネスの可能性を広げる」です。

この4つの情報社会トレンドに基づいて、8つの技術トレンドを公開しています。


■技術トレンド:AI/IoTを中核とした重要な技術革新
(1)人工頭脳(AI)の浸透
(2)対話型コンピューティング
(3)環境認知ロボット
(4)プレシジョンライフサイエンス
(5)超臨場チャネルの獲得
(6)IoT時代のセキュリティ
(7)ITインフラの多様化とサービス化
(8)コラボレーションデザイン

「(1)人工頭脳(AI)の浸透」は重要性が高まる中心的な技術です。機械学習技術の発展とオープン化がAIを急速に浸透させ、あらゆる分野でAIが必然となり、AIの活用が競争力の源泉となります。その一環として、「(2)対話型コンピューティング」「(3)環境認知ロボット」「(4)プレシジョンライフサイエンス」が重要になります。

「(2)対話型コンピューティング」による音声認識技術や感情理解技術などの発展は、人の行動を変え、社会とのつながり方や意思決定の方法も変革します。また「(3)環境認知ロボット」は、画像・音声等の認識技術の発展により、自動化やこれまで実現できなかった高度な作業を可能にし、産業構造を変革。「(4)プレシジョンライフサイエンス」により、遺伝子や生活習慣などに起因する病気の原因解明が進み、治療や予防を変革します。

さらに「(5)超臨場チャネルの獲得」では、VR/ARデバイスの進化と普及により、デジタル世界と実世界が融合され、人間の知覚も合成されて、知識や体験の共有が実現されます。

次に「(6)IoT時代のセキュリティ」では、広範囲で精細な情報収集を可能にしたIoTデバイスの、情報漏えいや大規模攻撃のリスクに対する扱い方や守り方の変化に言及。「(7)ITインフラの多様化とサービス化」では、AIやIoTに必要な莫大な計算能力を得るために、汎用型だけでなく、クラウドサービスのような目的特化型の新たなインフラが登場します。

最後に「(8)コラボレーションデザイン」では、APIエコノミーやUXデザインの発達が人とシステムのインタラクションを抜本的に変革し、より自然で自由なユーザー体験を実現します。

最先端技術が実現する近未来の情報社会とは

NTT DATA Technology Foresight 2017で公開された、4つの情報社会トレンドと8つの技術トレンドは、どのような近未来を実現するのでしょうか。NTTデータでは2050年に向けた、ショッピングやワークスタイル、ヘルスケア、エンターテインメント、社会生活などの分野における変革をビデオで紹介しています。

ショッピングを変革する近未来のバーチャルショッピング

ショッピングを変革する近未来のバーチャルショッピング
出展:「NTT DATA Technology Foresight」特設サイトより

例えば近未来のショッピングでは、システムに蓄積された個人データに基づいて、バーチャル店員が提案してくれる商品が気に入れば、その場で購入できるバーチャルショッピングが紹介されています。またワークスタイル変革では、いつでも、どこでも仕事ができる、近未来のバーチャルオフィスが紹介されています。

ワークスタイル変革を実現する近未来のバーチャルオフィス

ワークスタイル変革を実現する近未来のバーチャルオフィス
出展:「NTT DATA Technology Foresight」特設サイトより

さらにエンターテインメントの分野では、例えば家のテレビで見るスポーツ番組を体験の場に変える取り組みが紹介されています。この分野では大好きなゴルフ番組を推奨してくれるのはもちろん、さまざまな視点でコースを確認したり、選手の鼓動やコースの風を感じたり、その場にいるような臨場感あふれるゴルフ番組を楽しむことができます。

エンターテインメントを変革する近未来のテレビ番組

エンターテインメントを変革する近未来のテレビ番組
出展:「NTT DATA Technology Foresight」特設サイトより

NTTデータでは2016年7月14日~17日にテレビ中継された「全英オープンゴルフ」において、ゴルフの試合データを複雑なデータや情報をビジュアル化し、分かりやすく伝える表現手法である「インフォグラフィックス化」して、テレビ画面上にリアルタイムに表示する取り組みを実現しています。

2017年は2016年以上に、AIとIoTが重要なテクノロジーとなり、少しずつ具現化の方向に向かう予感です。さて2017年、皆さんはどのような先進技術に注目していますか?

■参考資料
「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
NTT DATA Technology Foresight 2017を公開
全英オープンゴルフのテレビ中継において試合データをリアルタイムにビジュアル化して表示