さくらのナレッジ読者の皆様はじめまして。当社の「さくらのクラウド」サービスの運用を担当している大井と申します。今回より10回程度に分けて「さくらのクラウド」サービスの簡単な使い方から、数々の機能を駆使した大規模なサービスの構築方法までを分かり易く解説していきたいと思います。どうぞ最後までよろしくお願いいたします。

1. 「さくらのクラウド」はIaaS型のクラウドサービス

数年前より「クラウド」型のインターネットサービスが急速に台頭し、現在では多様な分野に広く普及しています。これは、インターネット上のサービスを雲のような抽象化された概念にたとえ、ユーザーがそれらにインターネットを介してサービスを受ける形態のものを指します。

例えば、ファイルをアップロードして手元のディスクの代わりとして使えるオンラインストレージサービスや、メールの送受信をWebブラウザ上で行えるメールサービスが挙げられます。これらは無料または低価格で提供されるものがほとんどで、多くの方が利用された経験があるのではないでしょうか。

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図1 オンラインストレージの概念

 
クラウドサービスのメリットは、インターネットに接続されている環境であればさまざまな端末から同じデータにアクセスができたり、個人の環境では用意することが難しい高い信頼性を持つストレージや高度な検索機能が使用できる点が挙げられます。また、運営者にとっても、これらの資源を複数のユーザーに共用する仕組みとすることでより効率的なサービス提供が可能となります。

このような「オンライン上のファイル保管場所」や「メール送受信機能」は、普段手元のPC上で利用される「USBメモリ」や「メールクライアントソフト」など、OSのファイル管理機能やアプリケーションなどのソフトウェアの代替を実現するものであり、クラウドサービスの中では「SaaS(Software as a Service)」という種類に分類されます。

「さくらのクラウド」でもこれらのクラウドサービスと同様、サーバーやストレージ、ネットワークといった機器をインターネットを介してユーザーに提供する点では共通していますが、ソフトウェア機能ではなく「ハードウェア」そのものを提供する点で違いがあります。このようなサービスをIaaS(Infrastructure as a Service)やHaaS(Hardware as a Service)と呼び、中でもIaaS提供事業者の先駆けとなったAmazon EC2サービスは特に有名です。

一般的なIaaS型のサービスでは、多数の物理的な機材をデータセンターに集積し、大きなひとつの資源として管理しています。この中から、ユーザー側で必要な性能や数のサーバーを、必要な時に必要な時間だけ貸し出しています。このようなサービスを実現するための重要な技術が仮想化(Virtualization)技術です。さくらのクラウドでもCPUやディスク、ネットワークスイッチやロードバランサなどを仮想化してユーザーに提供していますが、仮想化することでCPU個数やディスク容量、ネットワーク接続状態などの膨大な組み合わせの構成をあらかじめ物理的に準備しておくことなく、瞬時に提供することが可能となっています。

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図2 IaaSサービスの概念

 

2.さくらのVPSとの比較

当社では「さくらのクラウド」サービスを開始する以前より「さくらのVPS」サービスを提供しています。VPSもクラウド同様に仮想化技術を活用している点でよく似たサービスですが、この2つの違いについて解説したいと思います。

まず、さくらのVPSですが、1台のサーバー内に仮想サーバーを複数台起動し、お客様にそれぞれの仮想サーバーへの管理者権限を提供しています。仮想サーバーはサーバーに搭載されたCPUやメモリの他、ディスクやネットワークなどのリソースもお互いが共有しています。

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図3 VPSサーバの概念

 
さくらのVPSの最大のメリットは、管理者権限が付与されたサーバーを低コストで利用できることです。従来、管理者権限を必要とする場合は1台の物理サーバーを丸ごと貸し出す「専用サーバ」サービスを利用するのが一般的であり、1台のサーバーを多数のユーザーで共用する「さくらのレンタルサーバ」サービスの場合は、一般ユーザー権限のアカウント付与に留まるためサーバー全体を自由に操作することはできませんでした。しかし、サーバーの性能向上や仮想化技術の進歩により物理的な1台のサーバー上に仮想的な専用サーバーを構築することが可能となり、この技術を応用したVPS(Virtual Private Server)サービスが広く普及しました。このVPSサービスを提供しているものが当社の「さくらのVPS」となります。

しかし、1台の物理サーバーで専用サーバー並みの自由度を提供できることにより大きくコストダウンが図れる一方、物理サーバーの制約により、ディスクやネットワークインタフェースを増設することが困難であり、そのためCPUやメモリの組み合わせの他、周辺装置などのオプションのバリエーションが少なくなる欠点があります。

この欠点を補うべく、より広範囲に仮想化技術を応用し、まるでデータセンターのハウジングサービスを仮想化したような高い自由度を持たせたのが「さくらのクラウド」サービスとなります。さくらのクラウドでは、サーバーの他、スイッチやルータ、それらを接続するネットワーク回線までもが仮想化されています。さらに、ストレージを物理サーバーの外部に設置することで、仮想サーバーに接続する仮想ディスクの容量や数の自由度も大幅に向上しています。

このように、仮想化される範囲がより広がることにより、「サーバーラック内に設置したサーバーをスイッチを介してグローバル側とローカル側を接続し、ロードバランサ配下にWebサーバーをぶら下げて、ローカル側にはデータベースサーバーを置いて…」といった大規模な構成ですら一瞬で作成することが可能となります。

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図4 複雑な構成のネットワーク・サーバーも構築可能に

 
さくらのクラウドではグラフィカルなWebインタフェースの他にAPIでの操作インタフェースを用意しているので、例えばプログラム上からコマンドで自動的に数百台規模のサーバーを瞬時に立ち上げることも可能です。さくらのクラウドは、一種のプログラマブルなデータセンター環境である、と言えるでしょう。

このように、それぞれのサービスの特性から

  • 管理者権限のある単体サーバーが低コストで必要な場合はさくらのVPS
  • 大規模で複雑なネットワーク・サーバー構成が必要な場合はさくらのクラウド

ということが言えます。

3. さくらのVPSからさくらのクラウドへの連携

さくらのVPSでは、さくらのクラウドに比べ低いコストで単体のサーバーが運用可能であることが特長ですが、運営するサイトの規模を大きくしたい場合などの拡張性に乏しいことがデメリットのひとつとなっていました。しかし、2013年8月より、さくらのVPSのディスクイメージをさくらのクラウドに転送する「マイグレーション機能」が実装され、「小規模なスタート時はVPSで、規模が大きくなったらさくらのクラウドへ」という、サービスを跨いだ段階的な拡張が可能となりました。この2つのサービスが連携することで、それぞれの欠点を補いながらお客様の成長ニーズにお応えすることができるようになりました。

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図5 マイグレーション機能

 

4. 次回予告

第1回目の今回は、クラウドサービスやIaaSサービスの一般的な概念から、「さくらのクラウド」とはどういったものか、また「さくらのVPS」との違いについて分かり易く解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
それでは次回はいよいよさくらのクラウドの使い方を解説していきたいと思います。

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(2)コントロールパネルをさわってみよう
(3)サーバを作ってみよう
(4)サーバを拡張してみよう
(5)スイッチを使ってローカルネットワークを構築してみよう
(6)ルータ+スイッチを使ったネットワークを構築してみよう
(7)スタティックルーティング機能を使ってVyatta & Linuxルータを構築してみよう
(8)アーカイブ・ISOイメージ機能を活用してみよう

おしらせ

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