2018年11月2日(金)に北海道札幌市中央区にあるジャスマックプラザホテルのザナドゥで「Kita-Tech 2018(キタテック2018)」が開催されました。Kita-Techは北海道に本社を置くIT企業を中心とした技術者が集まる合同技術交流会です。

幹事企業各社の技術者による技術発表をはじめ、各審査員による審査、賞の授与、特別講演から、余興も含めた懇親会も同会場で行われます。幹事企業は、株式会社ノースグリッド、株式会社インフィニットループ、ビットスター株式会社、さくらインターネット株式会社の4社。

Kita-Tech 2018当日の会場の様子

Kita-Tech 2018当日の会場の様子

参加企業は計13社で、今年は鹿児島でITに関わる全てをワンストップでサービスとして提供している株式会社リリーも参戦! 合計参加者数はなんと135名となり、Kita-Tech 2018史上最大規模のイベントとなりました。

今回のテーマは「AIとIoT」。幹事企業と株式会社リリーを含めた6チーム各技術者が、研究してきたAIとIoTに関する技術を発表します。発表は実際に研究したもののデモを行うというルールがあるため、技術研究だけではなく形になったプロトタイプを見ることができるのもKita-Techの特徴です。

それではさっそく、各社チームの発表を見ていきましょう!

【目次】

  1. AI秘書を使って留守番電話の緊急性を判別する(株式会社ノースグリッド)
  2. AI家電価格予測(株式会社インフィニットループ)
  3. うまい棒管理くん(ビットスター株式会社)
  4. グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話(株式会社リリー)
  5. 弱いAIを強いAIらしく見せる、たったひとつの冴えたやりかた(ネットスター株式会社)
  6. 飛べ!ドローン!-Amazon Echoによるドローン制御-(ビットスター株式会社)
  7. 親子安心 ICタグを使って忘れ物を防げ!!(KidsVenture、PCN札幌)
  8. 講演「Web×IoT メイカーズチャレンジのご紹介」(さくらインターネット株式会社 宮下頼央さん)
  9. 特別講演「感性に挑むAI技術」(北海道大学大学院情報科学研究科 山下倫央 准教授)
  10. まとめ

AI秘書を使って留守番電話の緊急性を判別する(株式会社ノースグリッド)

AI秘書を使って留守番電話の緊急性を判別する(株式会社ノースグリッド)

株式会社ノースグリッドの丸本翼さんからは「AI秘書を使って留守番電話の緊急性を判別する」の発表。

来年、2019年のゴールデンウィークは10連休。喜ぶ方が多い10連休ですが、サーバー管理業務をしている会社はそうもいきません。例えば突然、ハードディスクが壊れたらどうでしょうか。休暇中のところに呼び出されてしまい休暇どころではありません。では電話対応をしようとも、実は緊急ではない要件で電話があるかもしれません。

そこで丸本さんが考えたのが「AI秘書」。AI秘書は電話で話した内容をテキスト化し、機械学習(緊急性のあるワードが含まれているかどうかなど)によって、緊急の案件かそうではないのかを判定します。緊急案件の場合は担当者の電話が鳴りますが、緊急案件ではない場合、電話が鳴りません。担当者は心置きなく休暇を楽しむことができます。

判定する仕組み

判定する仕組み

電話のシステムはオープンソースのIP-PBXソフトウェア、AsteriskさくらのVPS上に設置。楽天の050の番号に紐付けることで、電話の受電と発信をしています。Asteriskの機能で留守番電話の録音を可能に。

電話デモの様子

電話デモの様子

取り込んだ音声ファイルはAzureの文字起こしAPIにかけて、文字起こしを行ったテキストをTensorFlowのディープラーニングで分析。その結果を自動的に担当者の電話番号に発信しています。

AI家電価格予測(株式会社インフィニットループ)

イツカウ

株式会社インフィニットループの阿部圭一郎さんからは「AI家電価格予測」の発表。

誰しもが商品を「安く、お得に」買いたいと思うもの。よく利用されている価格.comは商品を販売店毎に価格を比較することによって、現在の最安値を知ることが可能。ただ、「その商品を今買うべきかどうか?」という”買い時”を知ることはできません。

そこでインフィニットループが開発したのは買い時がいつかわかる「イツカウ」。技術的難易度が高いと思われる商品の価格予測で買い時の可視化、値下がりタイミングでの通知にチャレンジします。

研究対象は「モニタ」。「カイドキ」「マダマダ」「モウスグ」という三種類の表示に対応

今回の研究対象は「モニタ」。「カイドキ」「マダマダ」「モウスグ」という三種類の表示に対応しています。

イツカウのサービスの全体像

イツカウのサービスの全体像

価格.comからPythonでスクレイピング。機械学習を用いて、予測値を作成し、MySQLのデータベースに保存して、PHPで画面に表示。機械学習はLightGBMを使用。LightGBMはMicrosoft社開発のGradient Boostingというアルゴリズムを扱うフレームワークです。価格予測対象は価格.comに掲載していたモニタである820商品。実績価格と予測価格から誤差率を算出し、誤差率の改善に努めます。

「簡単に言えば、多数決で予測値を算出するアンサンブル学習を使っています」(阿部さん)

価格予測のための考えられる変数一覧

価格予測のための考えられる変数一覧

続けて、どのように誤差率の改善、精度の上昇をしたかについての話があります。まずは価格予測のため、考えられる変数を全て洗い出します。この変数をかけた結果は誤差率は27.20%

価格予測ver1。10万円以上の商品は誤差率が大きい

価格予測ver1。10万円以上の商品は誤差率が大きい

調べてみると、元値10万円以上と元値10万円未満で違った傾向が見つかります。元値10万未満のみの商品にすると、誤差率は9.11%となります。

価格予測ver.2。一定期間内に大きな価格変動が起きている傾向がある

価格予測ver.2。一定期間内に大きな価格変動が起きている傾向がある

誤差率が20%を超えている商品を抽出してみると、一定期間内に大きな価格変動があったことがわかります。それらを考慮する変数を追加します。

価格予測精度は8.78%まで改善

価格予測精度は8.78%まで改善

そうした結果として、価格予測を8.78%まで精度まで改善することができました。

買い時表示の可視化

買い時表示の可視化

買い時表示の可視化については、一週間以内のカイドキ、三ヶ月以内がモウスグ、それ以降がマダマダという表示に対応し、買い時がわかりやすくなっています。

株式会社インフィニットループは大賞を受賞
懇親会で行われた審査発表で株式会社インフィニットループは大賞を受賞! 「札幌でサービス、良い技術を皆さんで作っていきたいです!」とさらなる向上へのアツい想いをお話されました。

うまい棒管理くん(ビットスター株式会社)

ビットスター株式会社のAチーム、吉川雄大さんからは「うまい棒管理くん」の発表。

ビットスターのうまい棒コーナー

ビットスターのうまい棒コーナー

ビットスターには社員が自由に食べられるうまい棒コーナーがあります。ただ現在は、管理が適切にされていないため、「どの味のうまい棒が残っているかが、わかりづらい」という問題点があります。

この問題を解決するために制作したのが「うまい棒管理くん」。うまい棒管理くんは以下の3つの機能があります。

センサー類で取られたうまい棒情報をアップロード

センサー類で取られたうまい棒情報をアップロード

社員がうまい棒コーナーから、うまい棒を取りだす様子を人感センサーで感知。取る瞬間をカメラで撮影。Raspberry Piを経由して、画像処理するサーバーに送ります。

画像処理を利用した味の判別と在庫情報の登録

写真はチーズ味を判別している様子

写真はチーズ味を判別している様子

サーバーでは何味を取ったかどうかを画像解析。判別した結果をデータベースの在庫情報に反映。

在庫情報、ランキングをWebで公開

Webに反映

反映した情報をWeb上に公開し、消費ランキングと在庫情報を視覚的にわかりやすく確認することができます。

発表賞を受賞

最後にビットスター株式会社のAチームは、この「うまい棒管理くん」で発表賞を受賞しました。受賞後、吉川さんは「この賞をきっかけに邁進していきたいと思います。うまい棒なっとう味をよろしくお願いします!」と溢れるうまい棒への愛を語り会場を沸かせました。

グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話(株式会社リリー)

グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話(株式会社リリー)

グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話(株式会社リリー)

株式会社リリーの二宮直進さん、高橋孝典さんからは「グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話」の発表。

株式会社リリーの本社は鹿児島県。「なぜ鹿児島の企業が北海道の技術交流会Kita-Techに?」と思いますが、2018年7月14日開催した「さくらじまハウス2018」でともに発表したビットスター若狭さんから打診され、今回登壇になった経緯があるようです。

株式会社リリーでは食べ物にフォーカスし、地域ごとや繋がっている友達だけのランキングを表示するfoodrankというアプリを開発しています。ランキングはフードのカテゴリごとに自分だけのランキングの作成が可能です。

foodrank

従来のfoodrankでは撮影した食べ物を手動でカテゴリ分けをしていましたが、今回のKita-Tech 2018のテーマである「AIとIoT」に合わせて、新たに自動的に画像を判別して、カテゴリ分けする機能の実装に挑戦しました。

AIによる自動判別

挑戦するのは機械学習を使った8種類の自動分類。しかし、「とんかつ」を「からあげ」と判別してしまう、など最初精度はよくありませんでした。

とんかつをからあげと判定

Kerasを使ったモデル構築を行ってみますが、テストデータの正答率は41パーセントと、プロダクトに組み込むには精度が低い結果となります。問題は過学習にありました。そこで行ったのはImageDataGeneratorでの訓練画像の水増しです。

カレー画像の比率や角度を変えて水増し

カレー画像の比率や角度を変えて水増し

その結果、訓練データの正答率は73パーセントまで上昇することができました。

アプリへの組み込みを考えますが、新たな問題が生じます。自動判別まで時間がかかりすぎることです。当初の実装は撮影した画像をアプリからAPIに送信し、Web上で判別して結果を返すようにしていました。しかし、これだと5231ms(5.2秒)かかります。画像縮小にトライしますが、これでも2600ms(2.6秒)。

組み込む際の問題点

そこで導入したのがTensorFlow Lite。ユーザーのスマートフォン端末上で解析してもらうようにします。この結果、Androidは400ms(0.4秒)、iPhoneは250ms(0.25秒)という数値を出し、アプリに組み込むレベルまで改善することができました。

今後はユーザーの撮影画像を蓄積し、訓練画像に利用することによって、現在8つに自動分類しているカテゴリ数を増やすことを目標に開発を進めます。

技術賞を受賞した株式会社リリー

技術賞を受賞した株式会社リリー「今後もカテゴリを増やしていきたいと思います」

発表後の審査発表で株式会社リリーは技術賞を受賞しました!

弱いAIを強いAIらしく見せる、たったひとつの冴えたやりかた(ネットスター株式会社)

弱いAIを強いAIらしく見せる、たったひとつの冴えたやりかた(ネットスター株式会社)

ネットスター株式会社の渋谷一将さんからは「弱いAIを強いAIらしく見せる、たったひとつの冴えたやりかた」の発表。

AIには弱いAIと強いAIがあります。弱いAIとは自意識のないAIをいいます。例えば、AlphaGoなどの囲碁・将棋ソフトなどをいいます。強いAIとは自意識のあるAIをいいます。ドラえもんなどがその例。

ドラえもんのような自意識のあるAIを作るのは難しいので、自意識があるように見せるにはどうれすばいいか。渋谷さんは「状況を把握し、その返答から何かを実行してくれると強いAIらしく見えるのではないか」と仮説を立てます。

渋谷さんが作ったのは室内の気温が一定値を超えたら連絡、返答によってはエアコンをつけるAIのIoT。

室内の気温が一定値を超えたら連絡、返答によってはエアコンをつけるIoT

室内の気温が一定値を超えたら連絡、返答によってはエアコンをつけるIoT

Arduino Unoでつけた温度センサーで室内の気温を測り、Slackを経由してユーザーのスマートフォンに連絡。返答によっては赤外線送信によってエアコンのオンオフを命令。

システム動作の流れ

渋谷さんによると「連絡と実施をしてくれるAI」は意外にないとのことですが、今、存在するのは、カーナビのルート再検索機能

カーナビのルート再検索機能

カーナビの再検索機能は状況の判断と連絡、返答に対して次の動作を実施。このように見せ方を変えるだけで強いAIのように見せることができるようです。

強いAIによる音声入力

強いAIである”自意識のあるAI”は音声入力を用いることで会話らしくできるのではないかと渋谷さんは考えます。モデルケースとして、スマホで子供が有害と思われるサイトの閲覧時、お母さんに「こんなサイト見てますよ」とbotが音声で伝えることができます。お母さんが「じゃあ、そのサイト、危なそうだから見るのを止めてね」と話すと、サイトの閲覧を止められる。そのような利用価値があるのではないかと話し、発表を締めくくりました。

飛べ!ドローン!-Amazon Echoによるドローン制御- (ビットスター株式会社)

飛べ!ドローン!-Amazon Echoによるドローン制御- (ビットスター株式会社)

ビットスター株式会社のBチーム、小松義直さんからは「飛べ!ドローン!-Amazon Echoによるドローン制御-」の発表。

AIスピーカーであるAmazon Echoに命令して、荷物を運ばせるドローン操作することを目指します。ユーザーがAmazon Echoに対して、発話し、Alexaに音声を送信します。

Alexaは受け取った音声を解析し、AWS Lambdaにリクエストを送信。Lambdaでは受け取ったリクエストを処理しやすい形に加工し、キューのサービス、AWS SQSに送信します。SQSに溜まったリクエストをRaspberry Piが取り出して、ドローンにリクエストを送信。

アーキテクチャ

Alexaの機能拡張として、Alexa Skill Kitというものがあります。これは音声でタクシーを呼んだり、ピザを注文する機能の開発ができるものです。

Alexa Skill Kit

採用したドローンはParrot社のMambo。採用理由として、「制御ライブラリが公開」と「Wi-Fi以外の方法で通信可能」という点をあげています。

ドローンが手に乗る写真

その他、指示したテーブルへの離着陸などの様子も動画で紹介されました

デモ動画では小松さんが「Alexa、ドローン操作でテイクオフ」と言うと、ドローンは上空に飛び立ちます。続いて、「右にターン」や「3秒待つ」「3秒前進」「着陸」などをAlexaに発話すると、ドローンがそれらの命令を忠実にこなす様子が紹介されました。

親子安心 ICタグを使って忘れ物を防げ!! (KidsVenture、PCN札幌)

親子安心 ICタグを使って忘れ物を防げ!! (KidsVenture、PCN札幌)

最後の発表はKidsVenture、PCN札幌の混合チームから、波多野鈴さん、土井温尊さん、大口楓さん。チームメンバーはなんとすべて小学生です。

KidsVenture、PCN札幌は手のひらサイズのコンピュータ、IchigoJamを使ったBasic言語のプログラミング教室

KidsVenture、PCN札幌は手のひらサイズのコンピュータ、IchigoJamを使ったBasic言語のプログラミング教室

今回、KidsVenture、PCN札幌チームの考えたテーマは「ICタグを使って忘れ物を防ぐ」というものでした。なぜこのテーマにしたのでしょうか。その理由として「誰もは一度は忘れ物をして、嫌な経験をしたことがあると思います。忘れ物をすると、自分が困ります。先生や友達に迷惑をかけます。それを聞いたお母さんが鬼の顔で待っています」とテーマを決めた理由を同チームが話すと会場が笑いに包まれます。

「これは小学生の共通体験です。忘れ物を防ぐ道具があったほうが便利だと思いました」

IchigoJamを使って解決

チームのアプローチはIchigoJamを使って、どの教科書が必要なのかを調べる方法です。ではどのように調べればいいのでしょうか。ランドセルに何かを取り付けて、どの教科書が入っているかを調べるのは難しい。

そこで考えたのは教科書にICタグをつけて、ICカードリーダーで読み込む方法です。ICタグはかざすだけで簡単に読み込むことができます。

IchigoJamを使って作成したシステム

作成したIchigoJam

これに際し考えた必要な機能は4つ。
1.教科書にシール式のICタグを貼ってID管理
2.時間割りをモニタに表示
3.ランドセルに教科書を入れる前にICリーダーに教科書をかざして、必要に教科書かをチェック
4.使う教科書がすべてかざされたらモニタに「ゼンブOK」と表示

動画デモの様子。教科書につけているICタグを読み取っている

動画デモの様子。教科書につけているICタグを読み取っている

発表の後、会場から「今後、作ってみたいものはありますか?」という質問に対しては、「居眠り防止や、この他にも火傷をしない電子花火、ゴミステーションのカラスを追い払う機能を作りたいと思っています」と話し、一生懸命回答をした同チームに、会場からは大きな拍手が送られました。

KidsVenture、PCN札幌は特別賞を受賞

KidsVenture、PCN札幌は特別賞を受賞「こういう結果に繋がって良かったです」

会の最後の審査発表で、KidsVenture、PCN札幌チームは特別賞を受賞しました! 3人は「こういう結果に繋がって良かったです!」と喜びのコメントを伝えました。

Kita-Tech 2018では各社の発表の他に講演も行われます。

講演「Web×IoT メイカーズチャレンジのご紹介」(さくらインターネット株式会社 宮下頼央さん)

講演「Web×IoT メイカーズチャレンジのご紹介」

さくらインターネット株式会社からは宮下頼央さんが講演。協力イベント「Web×IoT メイカーズチャレンジ 2018-2019 in 札幌」を紹介します。

Web×IoT メイカーズチャレンジ

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」は全国9箇所開催し、札幌では10月13-14日、27-28日に開催。年齢は中学生から29歳といった学生や若手エンジニアが対象。電波リテラシーを向上させることを目的とした教育的な要素が高いイベントです。参加費無料ながら、ハンズオンとハッカソンを行う計4日間すべてに参加できることが条件。

CHIRIMEN for Raspberry Pi

教材はCHIRIMEN for Raspberry Piを使用。CHIRIMEN for Raspberry PiはWebブラウザ上でプログラミングができるプラットフォームです。

メイカーズチャレンジの様子。スクール形式でのハンズオン。会場はspace360。

メイカーズチャレンジの様子。スクール形式でのハンズオン。会場はspace360。

例として、ハッカソンで開発したサービス「セン・タッグ」の紹介が行われました。セン・タッグでは洗濯物を溜めておくと、溜まっている状況がWebに公開されるシステムです。溜まっているだらしない様子が人にバレてしまうため、バレたくないために洗濯が進むのではないか、というIoTデバイスとのことでした。

こちらは審査の様子

こちらは審査の様子

「審査に工夫をしました。審査員が参加者のテーブルに回って、口頭試問で聞いていきました」

イベントを振り返り、「工具、材料が揃えるのが大変でした。秋葉原以外では、工具、はんだ、テスター、オシロスコープなどを揃えるのが苦労しました」と話します。その中で助けられたのはスイッチサイエンス社のエイドステーションサービス。これは富山の置き薬のように、商品を預けてもらい、売れた分だけ支払うサービスです。

最後に宮下さんは「Web×IoT メイカーズチャレンジは参加費無料。材料費は25,000円まで支給します。学生にとってはとても優しいイベントで、気軽に参加できます。特に良いところは、同じ興味をもった仲間と出会ったり、ハンズオン・ハッカソンを通して、電子工作とJavaScriptの専門家というエキスパートと繋がりを持てることですね」とイベントを総括して、講演を終えました。

特別講演「感性に挑むAI技術」(北海道大学大学院情報科学研究科 山下倫央 准教授)

特別講演は北海道大学大学院情報科学研究科の山下倫央准教授による「感性に挑むAI技術」。

特別講演は北海道大学大学院情報科学研究科の山下倫央准教授による「感性に挑むAI技術」。

運転制御や最適化、自動化など、現在、AIで扱っている領域は人間が起こしがちな失敗を減らす、人的コストを減らす、という人間的要素を減らす方向性がほとんど。その中でAIが感性を扱う意義として「人間の満足度を上げること」を説明。山下准教授は人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することを目指し、社会と人との調和を前提としたAI研究を進めています。

AIが感性を扱う意義

現在研究中の題材として、「ディープラーニングを使ったファッション画像の理解」を紹介します。

従来のこのような研究では「何が売れているか」という分析が多くを占めましたが、本研究は「なぜ売れているか」の分析に移行。研究成果を商品開発に還元することを研究目的としています。そこで目指したのが万単位の服飾画像から、AIによって100以上のアノテーションを定量的に抽出・評価する方法の確立です。

アプローチ

まずはAIに学習させる必要があります。ファッション専門学校の学生が服の画像を見ながら、”ガーリー”、”大人っぽい”、”甘い”といった印象的な特徴に対するアノテーション、”無地”、”花柄”、”カットソー”という形状的な特徴に対するアノテーションを付与していきます。

その後、ディープラーニングの画像解析、CNNを用いたアノテーションの学習を行っていきます。その結果、「甘い」という評価の正解率は61.7%。「夏らしい、夏に着たい」という正解率は73.9%となります。

「甘い」という評価の正解率

「甘い」という評価の正解率

「夏らしい、夏に着たい」の正解率

「夏らしい、夏に着たい」の正解率

形状的なアノテーションの正解率は73%、印象的なアノテーションの正解率は65%、総合的なアノテーションの正解率は69%。まだまだ課題はあるものの、衣料に付与されるアノテーションの学習の可能性を確認できる結果となりました。

まとめ

懇親会の料理を一部紹介

懇親会の料理を一部紹介

発表、特別講演後は懇親会が行われます。豪華な料理を囲んで、発表に関しての質問や感想のやりとりの交流で盛り上がりました。

北海道の人気アイドル、フルーティーによるライブ

北海道発!育成型フルーツアイドル、フルーティー

懇親会では余興として、北海道の人気アイドル、フルーティーによるライブが行われます。ライブ中、フルーティーの各メンバーがステージを飛び出し、参加者とハイタッチする場面も。会場は大盛り上がりでした。

最後は参加者全員で集合写真!

最後は参加者全員で集合写真!

参加企業計13社、参加者数は135名と過去最大となったKita-Tech 2018。今年は世間でも関心が強いAIとIoTがテーマで各社の技術発表が行われました。来年はどのような技術が世間の関心を新たに集め、それに伴いKita-Techではどのような発表があるのでしょうか。また来年、さくナレでお会いできればと思います!