さくらの学校支援プロジェクトを振り返る【第5回】小学校の学習指導要領がスタート
「さくらの学校支援プロジェクトを振り返る」5回目の今回は、2020年度に発行した「こどもプログラミング通信」の記事を中心に、GIGAスクール構想についての情報提供や、コロナ禍で急速に進む1人1台端末整備の様子を振り返っていきたいと思います。
プログラミング教育の実施準備として始めた石狩市の小学校に対する出前授業などの支援メニューは小学校の学習指導要領実施と共に終了し、学校独自の取り組みを始めた事例や、最終目標であった「地域で続けるプログラミング教育」のために企画した「U-16プログラミングコンテスト石狩大会」の取り組みなども紹介します。
第4回の記事は、こちらをご参照ください。
【第4回】自走し始めたプログラミング教育と、他地域への広がり
目次
- こどもプログラミング通信第36号(2020年4月20日発行)
- こどもプログラミング通信第37号(2020年5月25日発行)
- こどもプログラミング通信第38号(2020年6月22日発行)
- こどもプログラミング通信第39号(2020年7月21日発行)
- こどもプログラミング通信第40号(2020年8月24日発行)
- こどもプログラミング通信第41号(2020年9月23日発行)
- こどもプログラミング通信第42号(2020年10月26日発行)
- こどもプログラミング通信第43号(2020年11月20日発行)
- こどもプログラミング通信第44号(2020年12月21日発行)
- こどもプログラミング通信第45号(2021年1月22日発行)
- こどもプログラミング通信第46号(2021年2月22日発行)
- こどもプログラミング通信第47号(2021年3月22日発行)
- 2020年度の取り組みを振り返って
こどもプログラミング通信第36号(2020年4月20日発行)
第36号では、さくらの学校支援プロジェクトの令和2年度支援方針をお伝えしました。
また、コロナの感染拡大に伴い各地で休校が続いたことを受け、2023年度までに整備予定だったGIGAスクール構想が、2020年4月に閣議決定した補正予算で2020年度分に前倒しされ急速に整備が進むことを踏まえ、「GIGAスクール自治体ピッチ」についても紹介しています。
さくらの学校支援プロジェクトの令和2年度支援方針について
さくらインターネットが石狩市のプログラミング教育支援をスタートさせたのは、2017年。当時は、2020年度の新学習指導要領実施までに、石狩市内全小学校が自律的にプログラミング教育に取り組めるようになることを目標に、出前授業を中心とした施策を実施してきました。
昨年度は、北海道内や大阪府門真市への活動の広がりに合わせてプロジェクト名称を変更し、理想的な支援とは何かを追求しながら、取り組みを進めてきています。そして迎えた2020年度。当プロジェクトでは、これまでの成果や反省を振り返りつつ、「地域が自律的に取り組むプログラミング教育」を実現させるため、今年度の支援方針をまとめました。
出前授業
石狩市では、3年にわたる準備期間を経て、各学校での実践が進んだことを踏まえ、出前授業の受付は令和元年度をもって終了させていただきます。昨年11月から始めた門真市への出前授業は、今年度も引き続き実施させていただきます。
プログラミング教育補助
石狩市では、市のICT支援員を中心に実施すべく、本件の相談窓口を石狩市教育委員会に移行します。中学校の授業支援に関するご相談につきましても、同様に石狩市教育委員会へお願いいたします。その他の自治体からのご相談につきましては、別途検討させていただきます。
校内研修
石狩市では、3年にわたる準備期間を経て、各学校での実践が進んだことを踏まえ、校内研修の受付は令和元年度をもって終了させていただきます。研修に関するお問い合わせ、ご要望につきましては、石狩市教育委員会へお願いいたします。その他の自治体からのご相談につきましては、別途検討させていただきます。
その他相談
さくらの学校支援プロジェクトへの相談窓口(※)は、引き続きご利用いただけます。
以下のようなご相談につきまして、自治体を問わずいつでもお寄せください。
- 実現したい授業に対する技術的な質問や相談
- 先進的な事例の紹介や、ノウハウを持つ先生、有識者の紹介
- 学校同士の交流など、コーディネートの必要な授業のお手伝い
- データセンターの紹介(児童による見学のご希望は、一度に受け入れられる人数が少ないため、原則としてお受けできません)
- 学校単位ではない集合研修の講師要請(30名以上)
- その他、さくらインターネットでなければ対応が難しいことについての協力依頼
また、先生方が相談しやすく、情報共有のしやすい仕組みを、今後整えていきたいと考えております。
※ さくらの学校支援プロジェクトへの問い合わせ窓口は、2020年4月30日を持ちまして終了させていただきます。教育支援に関するお問い合わせは、reception-ml@sakura.ad.jpまでお願いいたします。
こどもプログラミング通信
編集方針の変更:新着情報・イベント情報など、より速報性が求められる記事については、Webサイトで情報発信するなど、紙媒体とWebサイトの連携をすすめていきます。
配布対象の拡大:これまで配布していた石狩市に加え、昨年度から支援を開始した門真市に対しても配布できるよう調整を進めています。
今後はWebサイトにて発信する情報が多くなっていきますので、ぜひともWebサイトも併せてごらんください。
GIGAスクール構想推進の動向
自治体・教育委員会向け「GIGAスクール 自治体ピッチ」紹介ページが公開されています
内閣官房IT総合戦略室は、3月18日と24日、27日にオンラインで開催した「GIGAスクール 自治体ピッチ」の紹介ぺージを3月31日に公開、随時更新しています。「GIGAスクール 自治体ピッチ」は、学習用の1人1台端末を整備する「GIGAスクール構想」の実現に向け、自治体・教育委員会を対象に開かれたイベントです。当日は各社が発表した端末についてプレゼンテーションを行い、その模様はオンラインで配信されました。
紹介ページでは、当日の動画とプレゼン資料が公開されています。
こどもプログラミング通信第37号(2020年5月25日発行)
こどもプログラミング通信の配布は、第37号から石狩市と門真市の2か所となり、毎月1,000部を発行するようになりました。
これを機に、こどもプログラミング通信についての説明や、今後の情報提供方法についての方針をお知らせしました。
プログラミング教育推進の動向として、先生によるコミュニティ(Type_T)の紹介や、GIGAスクール構想推進の動向として、学校の情報環境整備に関する説明会の動画を紹介しています。
【先生のコミュニティ紹介】悩める先生に向けて、現場目線のプログラミング教育イベントを開催する「Type_T」
コミュニティというものをご存知でしょうか。もともとは「地域社会」や「共同体」といった意味の言葉で、そこから転じて、共通の関心を持ちメッセージのやりとりをおこなう人々の集まりという意味も持つようになりました。IT業界にも多くのコミュニティが存在し情報交換がなされていますが、今回は有志の先生・教育関係者の方々でつくるコミュニティである「Type_T」をご紹介します。
「Type_T」はプログラミング教育関連の研修会、子ども・親子向けワークショップ、情報発信・交流、実践紹介などをおこなっているコミュニティで、プログラミング教育に携わる先生たちが共通して名乗れるグループとして活動しています。
参加者自身がまずプログラミング教育を体験し、児童の立場を理解することを実践の近道だとしています。また授業内容や教え方についてのディスカッションなどもおこなわれており、お互い参考になることも多いということです。
参加の方法やより詳しい情報はWebサイトをご参照ください。
「学校の情報環境整備に関する説明会」の動画が公開されています
2020年5月11日の10:00~12:30に、文部科学省より学校の情報環境整備に関する説明会がインターネットでライブ配信されました。自治体や学校関係者の皆様に向けて、今どう動くべきかが説明されています。ライブ配信終了後も動画は閲覧できるようになっていますので、ぜひご覧になってみてください。
こどもプログラミング通信第38号(2020年6月22日発行)
第38号では、経済産業省による「EdTech導入補助金」について解説しました(公募終了)。 本施策は、ソフトウェアを開発・販売する事業者に対して行われるものでしたが、補助金を受ける事業者へ協力(導入計画の策定など)することで、学校側がソフトウェアを利用するための費用負担が軽くなるメリットがあるため、少しでも学校関係者には知っていただきたいと考えました。
その他、新型コロナウイルス感染症対策についてや、micro:bitの対応ブラウザ変更について、Zoomのソフトウェアアップデートについてなどを紹介しました。
文部科学省が「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」を公開しています
新型コロナウイルス感染症が社会に与える影響は大きく、長期的な対応が求められますが、文部科学省では、そんな中でも児童生徒等の教育を受ける権利を保障していくために、学校における感染およびその拡大のリスクを可能な限り低減した上で、学校運営を継続していく必要があるとし、そのための学校運営の指針としてガイドラインを公開しています。
新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン
micro:bitに関する情報
micro:bitをプログラミングによって操作する際に使われているMakeCodeの対応ブラウザから、インターネット・エクスプローラーが外れました。対応ブラウザとして明記されているのは下記の4種類のブラウザになります。今後micro:bitを用いる場合はこれらの対応ブラウザを利用するようお願い致します。
ビデオ会議サービス「Zoom」に関して
ビデオ会議サービス「Zoom」に関するセキュリティ問題が時折取り上げられます。これには利用側で、ミーティングに参加する際にパスワードの使用を必須にしたり、待機室機能を有効化したりして対応してきました。利用者が急激に増加したことに伴って、Zoom側も積極的にアップデートをおこなっています。
Zoomを利用されている方は、ソフトウェアが最新版にアップデートされているかを確認してください。特にバーション5以前のものを利用している場合、新しいバーションとのビデオ会議ができなくなっています。接続できない不具合が発生した場合、Zoomのバージョンをお確かめください。また、近々のアップデートでは有料会員、教育機関会員に対してより強固なセキュリティオプションの提供が予定されています。
Zoomに限った話ではありませんが、ソフトウェアは常に最新版にアップデートするよう心がけてください。また、Zoomに限らずインターネットで公開されているソフトウェア・サービス等は教育の現場でも有効に活用することができます。
※Zoomバージョンは随時更新されます。最新のバージョンをお確かめの上、更新をお願いいたします。
プロジェクトメンバーが作成したソフトウェア・サービス等の利用方法のページをご紹介しています。ぜひそちらも参考になさってください。
こどもプログラミング通信第39号(2020年7月21日発行)
第39号では、中学校向けプログラミング教材についてや、既存教材の更新情報をご紹介しました。
また、子供のインターネット利用を安全に行うため、教師や親ができることをやさしい言葉でまとめた資料についてもご紹介しています。
中学校向けプログラミング教育教材「プログル技術」が発表されました
中学校においては、すでに技術・家庭科において「計測と制御のプログラミング」としてプログラミングが必修化されていますが、令和3年度より「双方向性のあるコンテンツのプログラミング」が追加されます。「双方向性のあるコンテンツのプログラミング」とは、LINEなどのチャットツールのように、お互いがやりとりできるツールの作成を通じて問題解決をしていくといったものです。
「双方向性のあるコンテンツのプログラミング」については、当社でも花川南中学校において出前授業の実践をおこないましたが、これまで汎用的に利用できる教材がない状態でした。
このたび「双方向性のあるコンテンツのプログラミング」の単元に対応した「プログル技術」が発表されたことで、授業実践がやりやすくなることや、小学校と中学校の接続の部分で効果を発揮することが期待されます。
「プログル技術」では、チャットの裏側にある、サーバと自分の端末とのネットワーク接続の流れを、分かりやすいイラストと共に学習することができます。チャットで文字を送受信するために必要なプログラミングを、ステップ・バイ・ステップで学んでいくことができるようになっています。
子供の安全なインターネットのために親ができること
インターネット関連事業をおこなう国際的非営利組織インターネットソサエティ(ISOC)は、オンラインイベント「Kids, the Internet & COVID-19: How to keep our children safe online」を実施し、その中で「子供,インターネット,COVID-19:子供の安全なインターネットのために親ができること」という発表をおこないました。
休校や外出自粛などにより、多くの子どもたちのインターネット利用時間が増えています。実社会におけるマナーを教えるのと同様に、インターネット上で安全に過ごす方法を教えることが重要であるとしています。
アジア太平洋地域における子供の安全なインターネット利用について紹介しています。
インターネットにおける暗号化とはどこでどのようにおこなわれて安全を保っているのかなど、大人が見ても役に立つ内容になっています。是非ご覧ください。
子供,インターネット,COVID-19:子供の安全なインターネットのために親ができること
こどもプログラミング通信第40号(2020年8月24日発行)
第40号では、プログラミング教育の自宅学習向けコンテンツについて紹介しました。併せて、「はてなブログ学校支援プログラム」「スプリンギン・フェス シーズン2(終了)」など、コロナ禍でも学びを止めないための企業の取り組みについても紹介しています。
また、GIGAスクール構想推進の動向として、文部科学省による「端末の早期納入に向けた取組」についても取り上げました。
未来の学びコンソーシアムがプログラミングの基本的な操作などを学習できるコンテンツを公開しました
未来の学びコンソーシアムは、小学生が自宅において、プログラミングの基本的な操作などを学習することのできるコンテンツを作成し、「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」で公開を開始しました(順次公開予定)。
今回、公開された「児童が自宅等でプログラミングの基本的な操作等を学習することのできるコンテンツ」は、2020年度から、小学校でのプログラミング教育が必須化されたものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの学校で臨時休業や分散登校などが実施されたことを踏まえて、学校の実態などに合わせた学習活動が、円滑に実施できるよう支援するために作成したものとのことです。
コンテンツでは、実施事例においても多数使用されているビジュアルプログラミング言語であるScratch(スクラッチ)とViscuit(ビスケット)が採用されています。本稿執筆時点では「お家で学ぶはじめてのプログラミング『Scratchのはじめ方』」と「Scratchで、ねこから逃げるプログラムを作ってみよう」の2つのコンテンツが公開されており、「Viscuitで、たまごが割れたらひよこが出てくるプログラムを作ろう」については近日公開予定となっています。
同ページでは、未来の学びコンソーシアムが公開しているコンテンツのほか、「企業等が提供するコンテンツ」についても紹介されています。
児童が自宅等でプログラミングの基本的な操作等を学習することのできるコンテンツ
端末の早期納入に向けた取組が公開されました
文部科学省はWebサイト上で「端末の早期納入に向けた取組」に関する情報の公開を開始しました。学校設置者から端末の納入時期に関する相談を受けていることを踏まえ、一日も早く子どもたちの手元に端末が行き渡るための取組について紹介されています。Webサイトには端末の初期設定等(キッティング)についての概要と事例も紹介されています。
「はてなブログ 学校支援プログラム」が開始されました
はてなは、学校の活動支援を目的とした「はてなブログ 学校支援プログラム」を開始しました。学校が「はてなブログ」で公式ブログを開設する際に、有料プラン「はてなブログPro」を永年無料で利用できます。応募できるのは以下の学校です。日本国内に設置されている学校に限られます。部活動・サークル、専門職大学・専門職大学院での利用は対象外となります。
小学校/中学校/義務教育学校/高等学校/中等教育学校/特別支援学校/大学・大学院(研究室単位での利用も可能)/高等専門学校/外国人学校
利用は以下の用途を条件とし、申請内容や活動内容をもとに、はてなによる審査の後、結果について連絡されます。
- 研究情報・成果、講義資料など、学校の活動内容や成果を発信すること。
- 発信した情報が、直接関わる学生・生徒・児童の教育を利すること。もしくは、閲覧者の教養、学習や研究などの知的生産活動を拡大させるものであること。
こどもプログラミング通信第41号(2020年9月23日発行)
第41号では、U-16プログラミングコンテスト石狩大会の募集開始(大会は終了)のお知らせを掲載しました。小中学校で学んだプログラミングを使って、子どもたちが更に学びを深めることのできる場が地域にできることを願い、企画したものです。
GIGAスクール構想推進の動向として、2自治体の1人1台端末配布の状況を紹介し、プログラミング教材採用のニュースについても取り上げました。他地域の取り組みが公開されることで、参考になる情報も少しずつ入ってくるようになり、自分たちはGIGAスクール構想で整備される端末をどのように利用していきたいのかを先生方が考えるきっかけにしてほしいと願っていました。
埼玉県飯能市、市内の公立小中学校の全児童生徒にLTEタブレット端末を配付
埼玉県飯能市では、GIGAスクール構想の一環として、2020年9月1日より公立小中学校の全児童生徒にLTE対応タブレット端末を配布するとのことです。台数は5550台となり、市内の全児童生徒へ1人1台の端末を配布するのは埼玉県内では飯能市が初めてになるそうです。
飯能市では、市立の小中一貫校である奥武蔵創造学園 奥武蔵小中学校にて、先行して児童生徒にLTEタブレット端末を配布しており、新型コロナウイルス感染症に関連した休校期間中もテレビ会議システムを活用した遠隔授業を実施するなど、事例を蓄積してきていました。
今後は、プリント教材や家庭への配布物などのペーパーレス化や緊急連絡をLTEタブレット端末を使っておこなうなど、さらに活用の幅を広げていく考えです。
埼玉県内最速!全児童・生徒がタブレット端末活用開始!9月1日(火)から飯能市GIGAスクール構想がスタート
東京都豊島区、区内の児童生徒へ1人1台端末の配布を2020年9月中に完了予定
東京都豊島区では、児童生徒の学習にICTを活用する「GIGAスクール構想」の基盤となる「小・中学生1人1台タブレットパソコン貸与」にかかるICT環境の整備を進めており、2020年9月中に区内の全児童生徒への配布が完了する見込みであると発表しました。台数は1万1481台とのことです。
機種はChromebookを採用し、1人あたり5ギガバイト/月の通信量が盛り込まれたLTEモデルを採用したとのことです。学習支援ツールとしては「Google G Suite for Education」を、学習支援ソフトとしてベネッセコーポレーションの「ミライシード」を採用したとのことです。
今後は児童生徒が学校と家庭の両方でタブレット端末を使い、学習に活用できるよう進めていくようです。
また、学校ではプロジェクター、スクリーン、大型モニター等を整備してよりICTを活用できる環境にしていくとのことです。
9月中に小・中学生へ一人1台タブレットを配布完了予定 家庭でも学校でもICTを活用した多様な学習環境を整備
福岡県福岡市、プログラミング教材としてソニーのIoTブロック「MESH」を採用、全公立小学校に配備予定
ソニービジネスソリューションは、福岡市教育委員会がプログラミング教育用教材として、IoTブロック「MESH(メッシュ)」を採用したことを、2020年9月10日に発表しました。福岡市内の全公立小学校144校に配備される予定です。
「MESH」は、人感センサーや温度センサーといった機能ごとのブロックを無線で接続し、プログラミングによって制御するツールです。こどもプログラミング通信でも、第18号でご紹介している教材です。
今回採用されたのは人の動きを感知する「人感ブロック」、明るさの変化を感知する「明るさブロック」、ブロックで検知した内容に従ってアクションを出力する「GPIOブロック」、アクションのON/OFFを制御する「プログラミングスイッチ」の4つです。
福岡市教育委員会様がIoTブロック「MESH™」を採用 福岡市の全公立小学校144校でプログラミング教育に活用
こどもプログラミング通信第42号(2020年10月26日発行)
第42号では、micro:bitのバージョンアップ(micro:bit v2)について解説しました。
また、新型コロナ感染症対策による長期休校のためオンラインでの授業が活発に実施されるようになり、一時的に無償化されていた「授業目的公衆送信補償制度」が2021年度から有償になることを受け、解説を掲載しています。
micro:bitのバージョンアップについて
2020年10月13日に、micro:bit教育財団がmicro:bitのバージョンアップ(micro:bit v2)を発表しました。内部のソフトウェアの更新ではなく、新しいハードウェアになります。
主な変更内容は以下の通りです。
(引用元:https://switch-education.com/2020/10/13/)
- スピーカーを追加
- マイクを追加(ボード表面にマイク入力を示すLEDも追加)
- ボード表面のロゴにタッチ検出機能を追加
- エッジコネクターの形状を変更(ワニ口クリップをはさみやすいよう、凹みを追加)
- micro:bitの電源オンオフを示すLEDをボード裏面に追加
- アンテナを変更(目視しやすいようアンテナを露出、金メッキで加工)
- スリープ機能を追加(電源が共有されている状態でmicro:bitの電源をオンオフにできる機能)
- 供給可能な電流を増加(micro:bitに接続した外部モジュールに供給可能な電流が90mAから200mAに変更)
ハードウェア自体の性能も上がっていますが、授業実践に大きく関わってくるのはスピーカー・マイク・タッチ検出機能の追加ではないでしょうか。これらの機能を使ってどのように授業に反映させていけるかを考えてみられるとよろしいかと思います。
また、これまでは電源のON/OFFというものがありませんでしたが、電源のON/OFF機能が追加されていたり、電源状態を表すLEDが付いていたりするなど、授業中に動かないというような申告があった場合にはその点を確認するようにする必要もあると思います。
発売開始時期は、2020年11月下旬から2020年12月上旬と予定されており、価格については2,000円+税、据え置き(スイッチエデュケーションの販売価格)です。
micro:bit v2が発売した後も、現在のmicro:bitの開発環境や作成したプログラムは新旧ともに継続して利用できます。詳しくは「micro:bitのバージョンアップについて」のページをご覧ください。
授業目的公衆送信補償金制度について
コロナ禍で無償化されていた授業目的公衆送信補償制度(ICTを活用した教育での著作物利用の円滑化を図るため、これまで個別に権利者の許諾を得ることが必要だったオンデマンド型の遠隔授業などでの公衆送信についても、教育機関の設置者の皆様が補償金をお支払いいただくことで、無許諾でおこなうことができる制度)の課金が来年度より始まろうとしています。
説明会では認可申請中の児童生徒一人あたりの補償金額が提示されました。
小学校等:120円/人/年
中学校等:180円/人/年
高等学校等:420円/人/年
大学等:720円/人/年
本格導入を前に制度で定められた範囲について振り返っておきたいと思います。
制度では児童生徒と教師の間だけを範囲としており、教師と教師、教師と保護者等は範囲外となります。
制度範囲内(すべての公衆送信が無許諾で可能・補償金の範囲)
- 授業中に著作物を投影する。
- 予習・復習として送信するメールに著作物を利用する。
- 休暇期間中に授業目的で児童生徒向け特定者だけが閲覧できるYouTubeチャンネルを作成し、その中で著作物を利用する。
- ホームルーム活動、クラブ活動で著作物を利用する。
制度範囲外(公衆送信が許諾されていない)
- 教職員会議での資料に著作物を利用する。
- PTA資料に著作物を利用する。
- オープンキャンパスや学校説明資料で著作物を利用する。
- 単位認定されていないボランティア活動で著作物を利用する。
- 休暇期間中に授業目的で不特定多数が閲覧できるYouTubeチャンネルを作成し、その中で著作物を利用する。
- 学校だよりに著作物を用いて配布する。
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(STARTRAS)のホームページでは質問も可能となっています。
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(STARTRAS)
コロナ時代における教育のデジタライゼーションに対応した著作権制度について(P.8)
こどもプログラミング通信第43号(2020年11月20日発行)
第43号では、2020年10月18日に開催されたU-16プログラミングコンテスト石狩模擬大会について紹介しました。また、文部科学省の動向として、令和3年度の概算要求についてご紹介しています。
U-16プログラミングコンテスト石狩模擬大会を開催しました
藤女子大人間生活学部人間生活学科プロジェクトマネジメント専修の学生と共に準備を進めてきたU-16プログラミングコンテスト石狩大会ですが、残念ながら応募者がなく、今回は模擬大会として藤女子大人間生活学部人間生活学科プロジェクトマネジメント専修の学生に作品を制作してもらい、スタッフは会場に集合しつつも、オンラインイベントとしての想定で実施しました。
非IT系の文系学部ということもあり、プログラミング自体が初めての経験だった学生による作品は、非常にシンプルなものから初めてなのにアイディア満載の凝った作品まで、バラエティに富んだものでした。ITに詳しくなくてもアイデアがあれば作品が作れるところまで現在のプログラミング環境は充実しています。
学生は作品の審査も体験し、それぞれの作品の良さを見つけていました。
こどもプログラミング通信第44号(2020年12月21日発行)
第44号では、micro:bit v2のレビュー記事をご紹介しました。
また、GIGAスクール構想推進の動向として、2自治体の導入事例を紹介、プログラミング教育関連情報として、大学入試共通テストへの「情報」採用に関する保護者調査や、プロジェクター×プログラミングの実証授業について取り上げました。
Google Chromebookの中高への導入事例が公開されています
山口県山口市の野田学園中学高等学校におけるChromebook導入と活用事例が公開されています。
Chromebook導入後、Google Classroom、Google Meet、Googleフォームなどを授業で活用した内容が紹介されています。
私立の中高一貫校の事例ということもあり、直接GIGAスクール構想とはつながりがなく、また公立の小中学校にすぐ反映させられる内容ではないかもしれませんが、校長先生の「私立・公立、小中高問わず、本校で培った知見や最新情報を、皆様と共有しております」という言葉にもあるように、ChromebookやGoogleのサービスがこのように活用されているということを理解する一助になるのではないかと思い、紹介させていただきました。
山口県のICT教育を牽引する野田学園 コロナ禍による臨時休校期間からオンライン授業が加速化 アクティブ・ラーニングをさらに深化させたAcer Chromebookの活用方法を大公開!
6年前から1人1台体制をスタートさせた公立小学校の取り組みが紹介されています
岡山県備前市立香登小学校におけるChromebook導入と活用事例が公開されています。
一般社団法人ICT CONNECT 21「GIGAスクール構想推進委員会」が、9月16日~18日に開催されたEDIX東京でオンラインによるセミナーを実施し、その中からのレポートです。
「これはあくまで一学校の一事例である」と強調されていましたが、いろいろな面でこれから取り組みを進める学校現場の参考になるのではないかと思います。
また授業での活用のほかに、1人1台端末が故障したときに校内のサーバーから復旧させる手順を用意していたなど、端末の運用に関する知見も紹介されています。
公立小学校1人1台環境における5年間の歩み、文具にするためのポイントは?
大学入学共通テストへの「情報」採用に関する保護者調査、「情報」採用の認知度は3割弱
GMOメディアは、同社が運営するプログラミング教育ポータルサイト「コエテコ byGMO」が小学生の子どもを持つ保護者を対象に実施した、「大学入学共通テストへの『情報』教科採用の動きに関しての調査」の結果を、12月7日に発表しました。
大学入試センターが2025年からの「大学共通入学テスト」において、「情報」を教科として新設する素案をまとめたという報道を知っているかを尋ねたところ、「知っていた」という回答は24.3%に留まったとのことです。
一方、「知っていた」と答えた保護者に、報道を受けてプログラミング教育への関心度が変化したかを尋ねた質問では、「関心が高まった」という回答が59.4%に達したとのことです。
これらのことがすぐに小中学校におけるプログラミング教育に影響を与えるかどうかはわかりませんが、大学の入学試験に「情報」が追加されることが保護者の間で認知が広まれば、小中学校におけるプログラミング教育に対しての意識も変わってくるものと思われます。
小中学校では何を目的として、何を目標としてプログラミング教育をおこなっていくのか、説明が必要になる場面が出てくるかもしれません。
エプソン販売、「プロジェクター×プログラミング」の実証授業を横浜市の小学校で実施
エプソン販売は、放送大学の中川一史教授・佐藤幸江客員教授、シムディレクトとの共同研究活動の一環として、横浜市立荏子田小学校において、プロジェクターとプログラミングソフトの活用を通じたプロジェクションマッピング体験の実証授業を実施しました。
エプソンではプロジェクターのさらなる活用方法のひとつとして、プログラミングとプロジェクションマッピングを組み合わせた授業の可能性を検討してきており、数々の空間演出を手掛けるシムディレクトをパートナーに迎え、パソコンを使って「アニメーション」「音楽」「写真」などを選択し組み合わせることで、プロジェクションマッピング作品が制作できるソフトウェアを共同で開発しました。
実証授業では6年生を対象として「伝えよう感謝の気持ち、彩ろうプロジェクションマッピング」をテーマに、専用ソフトを使って制作したプロジェクションマッピングの作品を発表したとのことです。
横浜市の小学校にて「プロジェクター×プログラミング」によるプロジェクションマッピング体験の実証授業を実施
こどもプログラミング通信第45号(2021年1月22日発行)
第45号では、1人1台の端末整備が完了し、家庭への持ち帰りテストを実施した自治体の取り組みをレポートしました。
また、GIGAスクール構想推進の動向として、文部科学省が公開した1人1台活用事例サイトや、一般社団法人ICT CONNECT21によるGIGAスクール構想の導入・運用一覧表、熊本県が公開した「ICT活用研修パッケージガイドブック集」についてもご紹介しています。
1人1台で豊かな学びへ!新冠町の「1人1台PC持ち帰りテスト」をレポート
今回は、すでに1人1台のPC納入が完了し、貸与されたPCを持ち帰って家庭から接続するテストを実施した新冠町の取り組みについて、ご紹介します。町内3つの小中学校それぞれで、各学校ごとの状況に合わせ、対象者や期間を決めて実施しました。
新冠中学校では、学年を問わず全員が学校のPCを家に持ち帰り、その日の夕方各自が家庭からTeams(チームズ)にログイン、指定された投稿先にコメントを入れたり、招待されたTV会議に参加したりしながら、家庭でスムーズにオンラインでのコミュニケーションができるかどうかをテストしました。
事前にTeamsの使い方などは学校で学んでいた生徒たちですが、家庭ではWifiの接続なども含めて自分の力で対応する必要があります。画面に映った友達同士で協力し合い、みんながつながるようコミュニーケーションを取り合う姿も見られました。校長先生から伝えられた「大切にしているものを見せて!」というお題に対し、生徒それぞれが大切なものを画面に映し、楽しそうに見せあっている様子がうかがえます。
新冠中学校では、PCの取り扱いについて、目的などを十分生徒に伝えた上で、テストの後冬休み中は各家庭で学習に使ってもらうとのことです。
このテストを中心となって企画し、準備を進めてきた、新冠中学校の大光先生にお話を伺いました。
新冠中学校では、パソコン導入後すぐに学校祭の活動で使用し始めました。また授業での普段使いを目指し、ICT担当教諭が先行して様々な試みをしてきました。授業開始5分間はタイピング練習&エクセルで作成した表に入力。Formsで作成した課題を生徒に配布・入力・リアルタイム集計・フィードバックなど、生徒の興味関心が高まると共に、教師側の仕事の効率化の期待も高まりました。今後、様々な課題把握と解決を繰り返しながら、新冠スタイルを作り上げていけたらと思っています。
実際に1人1台のPCを使ってみて、生徒の興味関心や、教師の仕事の効率化に早くも期待が高まっているとのこと。今後新冠町から、新たな活用事例が生まれるのが楽しみです。
GIGA StuDX 推進チーム発足と1人1台活用事例サイトの開始
文部科学省では、GIGAスクール構想の実現に伴う1人1台端末及び高速大容量通信環境の積極的な活用を推進していくため、「GIGA StuDX 推進チーム」を設置し、全国の教育委員会や学校が参考となる事例の発信・共有等を通じて、全国の教育委員会・学校に対する支援活動を展開します。
活用事例サイトでは、「はじめてのパスワード指導」など、児童・生徒への指導法だけでなく、学校と家庭、職員同士など、学校を取り巻くコミュニケーションの様々な場面においての工夫が示され、先生方の業務効率化にも役立てられる情報となっています。
GIGA HUB WEBで、「流れの全体像」に基づく導入・運用一覧表Q&A第一弾を公開
一般社団法人ICT CONNECT21が運営する「GIGA HUB WEB」では、「流れの全体像」に基づく導入・運用一覧表Q&A第一弾を公開しました。
従来のQ&Aも「準備段階」「計画段階」などの項目ごとに情報を探すことができますが、どちらかというと教育委員会向けの情報となっていました。
学校での導入・運用に近い部分に対するQ&Aが検索しやすくなっていますので、ぜひご活用ください。
熊本県、GIGAスクール構想実現に向け「ICT活用研修パッケージガイドブック集」作成
熊本県では、県独自の「ICT活用研修パッケージガイドブック集」を作成したと発表しました。
パッケージは、「共通実践事項」「学校種別 実践事例集」「テーマ別 実践ガイド」の3項目からなり、プログラミング教育については、「テーマ別 実践ガイド」の中に全9ページに渡り高校までの学習内容が概要として掲載されています。プログラミング教育実施の背景や、プログラミング教育だけでなく情報活用能力育成の全体像、高校までの12年間で学ぶ内容の見通しなどを事例を通じて知ることで、ご自身の学校や地域の計画に活かしていくことができるのではないでしょうか。
これらの資料はすべてWebサイトで公開されていますので、ぜひ校内研修等でご活用ください。
熊本県教育委員会 GIGAスクール構想対応 ICT活用研修・コンテンツ集 ICT活用推進研修パッケージ
こどもプログラミング通信第46号(2021年2月22日発行)
第46号では、高校のプログラミング教育について取り上げ、「情報I」の研修資料をご紹介しました。小学校でプログラミングを体験し、中学校の技術科でプログラミングを学んだ子どもたちが、高校ではどんな学びに向かうのか、校種が違ってもそのつながりを考えながらカリキュラムを作っていくことは非常に重要です。
また、「デジタル・シティズンシップ」についてもご紹介しました。
中学校の新学習指導要領実施は目前 高校のプログラミング教育はどうなる?
2021年4月から、改訂された中学校の学習指導要領が完全実施となります。石狩市では、2018年度、2019年度と、中学校で強化される技術科でのプログラミング教育(D 情報の技術)の指導案・教材検討を行い、小学校からの系統表としてまとめて公開しています。小学校の先生は、中学校への接続を意識しながらプログラミング教育や情報活用能力育成を進めていただけると思います。
さて、高校のプログラミング教育がどのような内容になっているのか、ご存じでしょうか?中学校でのプログラミング教育は、高校への接続を意識する必要がありますので、中学校の先生だけでなく小学校の先生にも、ぜひプログラミング教育がどのように発展していくのかを知っておいていただきたいと思います。
現行学習指導要領での高校の情報科は、「社会と情報」「情報の科学」の2科目のいずれかを選択することになっており、プログラミングを学習するのは「情報の科学」のみになっています。2022年から始まる新学習指導要領での情報科は、「情報I」「情報II」の2科目に再編され、「情報I」は共通必履修科目、「情報II」は選択科目です。プログラミングはどちらの科目でも学ぶことになり、高校でもプログラミング教育が必修化となります。
2022年4月から、高校の学習指導要領が段階的に実施されることを前に、文部科学省から情報科教員用の研修資料が公開されています。中でも、「序章」については、高校での学習の前提となる中学校技術科(D 情報の技術)で学ぶ内容についても関連付けて解説されており、高校までのプログラミング教育の系統性を知ることができるものとなっております。ぜひ小中学校の先生皆様に目を通していただきたいと思います。
デジタル・シティズンシップを学ぼう
「デジタル・シティズンシップ」という言葉をご存じでしょうか?中教審の分科会で、NPOカタリバ代表の今村久美さんが提出された資料には、以下のように書かれています。
「GIGAスクール構想を実現する上で、デジタル前提社会で生きる子どもたちがそのリスクを理解し、安心安全に利用しながら可能性を広げられるように、『デジタル・シティズンシップ教育』の推進が必要。現在の『情報モラル教育』は、個々の安全な利用を学ぶものであるのに対し、『デジタル・シティズンシップ教育』は人権と民主主義のための善き社会を創る市民となることを目指すものである。それは、個人のモラル教育ではなく、パブリックなモラル教育とも言える。利用を躊躇させる情緒的抑制から、賢く使う合理的活用ができる人材育成へと、転換をすべきである。」
「デジタル・シティズンシップ」の教育について解説された本が、大月書店から出版されています。
この本の著者でもある法政大学キャリアデザイン学部 坂本旬教授のnoteでも、わかりやすい解説や、これを学ぶ重要性について書かれています。ぜひ先生方にも知っておいていただきたい言葉です。
こどもプログラミング通信第47号(2021年3月22日発行)
第47号では、石狩市でプログラミング教育実践を積み重ねている紅南小学校の長坂先生のインタビューと共に、4年前から準備を進めてきた石狩市におけるプログラミング教育の今をお伝えしました。
また、コロナ禍においても企業と協力しながらオンラインで学びを深めることのできるサービス(キリンビバレッジ湘南工場オンライン社会科見学、LINE未来財団情報防災訓練など)を紹介しています。
コロナ禍でも進むプログラミング教育実践
人類にとって新たな脅威である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に振り回された令和2年度も、もうすぐ終わりを迎えようとしています。
想定外の長期休校や、感染対策に頭を悩ませたこの1年、プログラミング教育どころではなかった…という声も聞こえてきますが、北海道のプログラミング教育事業にも参加する紅南小学校は、どのような取り組みを実施していたのでしょうか?
主幹教諭の長坂先生にお話を伺いました。
Q:コロナ禍でのプログラミング教育推進には、どんなご苦労がありましたか?
本校では、これまでの積み重ね(先生方の研修や、授業実践の試行など)があったため、特にコロナだからできない、難しいといった後ろ向きな感覚はありませんでした。
先生方には研究実践校としての使命感もあり、新しい教材の導入も進めて、積極的に取り組めたと思います。
Q:プログラミング教育を取り入れて、児童や授業にどんな変化がありましたか?
全校児童への学習アンケートの結果、「プログラミングに興味を持った」という回答が去年の8割から9割に上がりました。
プログラミングはあくまでもきっかけに過ぎないのですが、学習そのものへの興味も高まっているように感じます。
プログラミングを取り入れた授業での共同学習を通じて、児童同士の意見交流が上手くなったということも感じます。
これはプログラミング教育の成果だけでなく、電子黒板(xSync Board)が配備された影響が大きいです。
また、児童がコンピュータを使う場面においても、情報の検索のみを目的とすることが減り、いろいろな目的を持って使うようになりました。
Q:先生方にはどんな風にプログラミング教育が広がっていますか?
プログラミングは、特定の教科・単元で実施するものではなく、様々な教科に取り入れていけるという認識が広がっています。先生方には、その重要性がしっかり浸透していると思います。
一方、GIGAスクール構想による1人1台のコンピュータを使った授業構想のもと、プログラミング教育はどうあるべきか、さらに授業実践を通して追究していきたいと考えています。
紅南小学校では、昨年度もプログラミング教育の実践研究を行っていますが、プログラミングの教材(ドローン、キューブロイド、キュベットなど)や電子黒板が導入されたことにより、先生方のモチベーションがぐっと上がったと感じます。
Q:最後に、長坂先生から小中学校の先生に向けて一言お願いします!
「先生がイノベーターになろう!」と伝えたいです。
先生自身が、新しい考え方、新しい時代にアジャストしていこうとする姿勢が大切だと考えています。
私自身、プログラミング教育の研修として、東京で開催された展示会(EDIX)や、Google本社で行われたプログラミング教育の発表会などに行き、様々な人との出会いで大きく考えが変わりました。
先生自身がイノベーターとなり、児童に見たことのない世界を見せてあげられるようにしたいですね。
2020年度の取り組みを振り返って
2020年度をもって、丸4年、全47回にわたったこどもプログラミング通信の発行は役目を終えました。
GIGAスクール構想によって児童・生徒が1人1台の端末を持ち、学習指導要領では情報活用能力育成を謳う中、先生の情報源が毎月配布される紙面による受動的なものであってはなりません。
この取り組みを始めた当初は乏しかったプログラミング教育に関する情報も、今ではたくさんの事例が様々なポータルサイトによってまとめられ、入手しやすくなっています。
これを機に、先生方が積極的にインターネットを活用し、情報を取得するようになっていただきたいとの願いを、最終号のごあいさつにも書かせていただきました。
2020年度は、石狩市では出前授業等の支援メニューを終了し、各学校の取り組みを見守る1年となりました。記事として掲載する機会が持てませんでしたが、門真市では、コロナの状況を見ながら少しずつ出前授業や、休み時間のパソコン室開放などの支援活動を実施し、2021年度も継続しながら、自走できるよう支援していきたいと考えています。
コロナ禍で十分な対面での活動が叶わなかったにもかかわらず、石狩市では地元の大学とも共同で、地域にプログラミング教育を根付かせるための種まきをすることもできました。
次回の連載第6回では、4年にわたった小学校プログラミング教育支援プロジェクトの取り組みを総括します。