コンテナ技術コミュニティの初イベント「Container SIG Meet-up 2016 Fall」レポート
こんにちは、さくらインターネット クラウドチームの大喜多です。
Dockerを中心とするコンテナ技術・実装・業界動向など総合的に共有するために設立されたコミュニティであるContainer SIG(コンテナ・シグ)主催による第1回のイベントである「Container SIG Meet-up 2016 Fall」が開催されましたので、レポートいたします。
目次
Container SIGとは?
Container SIGのSIGは「Special Interest Group」の略で、Dockerに代表されるコンテナ技術や実装、コンテナに関わる動向に関する情報共有と技術振興を目的としたコミュニティとして2016年8月8日に設立されました。
今回は第1回のイベントということもあり、コンテナ技術の歴史からDockerの最新トレンドなど、幅広い内容のセッションが用意されていました。
会場は飯田橋の株式会社インターネットイニシアティブ様。広いです。
Container SIG設立について
Container SIG発起人の一人で、初代会長を務めることになったさくらインターネット株式会社 山田修司より開会のご挨拶とコミュニティの趣旨について説明させていただきました。
その後は参加者の皆さんがどれだけコンテナ技術に接しているか?ということでヒアリングです。さすがに本番環境で動かしている人、クラスタ構成で動かしている人、となると、だんだん挙手の数が減っていきます。。
Linuxのコンテナ技術の変遷
株式会社インターネットイニシアティブの花高 信哉氏より、Linuxにおけるコンテナ技術の歴史についてのご紹介がありました。
「コンテナとは何か?」という基本中の基本から入り、コンテナ実装の歴史、コンテナを実現する技術の詳細、そしてDockerとは何なのか?という非常に幅広い内容のセッションで、第1回目のイベントの第1セッションにふさわしい内容だったと思います。
Dockerは2016年の秋現在、どのような状況なのか
Container SIGの発起人の一人で、Docker社公認のトレーナーでもある、さくらインターネット株式会社 前佛 雅人より、Dockerの最新情報を凝縮してお伝えしました。
Dockerに関する技術は、Dockerの実装や管理ツールなど、今でも非常に速いスピードで変化し続けているとのことです。
Ansible Container - Container Automation with Ansible
レッドハット株式会社 橋本 直哉氏より、Ansibleを使ったDockerコンテナデプロイプロジェクト「Ansible Container」のご紹介でした。
AnsibleはSSH経由でサーバーの構成管理を行うツールですが、そのAnsibleを利用してDocker Composeに近しい機能を実現しようとするプロジェクトが「Ansible Container」とのことです。まだ始まったばかりのプロジェクトであることもあり、課題も多くあるとのことでしたが、PRなどでフィードバックすることでプロジェクトにContributeしてほしいとのこと。今後に期待です。
Google Container Engineで五目並べアプリのAPIサーバーを作る
Container SIGの発起人の一人で、GoogleのCloud Solutions Architectである中井 悦司氏による、Google Container Engine上で五目並べアプリを動かすというデモでした。
セッション中にアプリケーションがデプロイされてしまうのも凄かったですが、さらに凄かったのはコンピュータのAIを無停止でアップデートされていたところです。アップデート後のAIは、明らかに賢くなっていました(笑)
Dockerではアプリケーションとクラスタ管理の構成次第で、無停止でアップデートができるサービスが実現できるとのこと。中井氏らしい正道かつ非常にレベルの高いデモでした。
DDoS vs. DockerコンテナホスティングArukas
最後にさくらインターネット株式会社 山田修司よりDockerコンテナホスティング「Arukas」の運用苦労話。
Dockerコンテナに特化したホスティングサービスを運営する中で遭遇したDDoS攻撃にまつわる内容でした。リフレクションによって元の100倍になってDDoS攻撃がなされているとは。。いくら対策してもうまくはいかないものです。。
監視の見直しやDockerクラスタ構成の活用で改善したとのことでしたが、それも特効薬とは言えず、攻撃との戦いは続くようです。。
まとめ
コンテナ技術の基礎から最新動向・事例など、非常に幅広い内容のセッションが集まった第1回のイベントとなりました。また会場には200人近くの参加者の方にお越しいただき、この分野に対する関心の強さの表れを感じました。今後もイベントは定期的に開催されていく予定とのことですので、今回参加できなかった方も次回はぜひ参加してみてください。コンテナ技術の今から目が離せません!
各登壇者のスライド・講演内容はこちら
「Linuxのコンテナ技術の変遷」 - インターネットイニシアティブ 花高信哉氏
「Dockerは2016年の秋現在どのような状況なのか~忙しい人の5分で分かるDocker~」 - さくらインターネット 前佛雅人
「Ansible Container – Container Automation with Ansible」 - レッドハット 橋本直哉氏
「Google Container Engineで五目並べアプリのAPIサーバーを作る」 - Google 中井悦司氏
中井氏のブログより(http://enakai00.hatenablog.com/entry/2016/08/10/152334)