コンテナ技術コミュニティイベント「Container SIG Meet-up 2017 Spring」レポート

こんにちは、さくらインターネットの大喜多です。

Dockerを中心とするコンテナ技術・実装・業界動向など総合的に共有するために設立されたコミュニティであるContainer SIG(コンテナ・シグ)主催イベント「Container SIG Meet-up 2017 Spring」が開催されましたので、レポートいたします。

あらためて、Container SIGとは?

Container SIGのSIGは「Special Interest Group」の略で、Dockerに代表されるコンテナ技術や実装、コンテナに関わる動向に関する情報共有と技術振興を目的としたコミュニティとして2016年8月8日に設立されました。

会場は前回に引き続き飯田橋の株式会社インターネットイニシアティブ様です。

今回のプログラム

OpenShift Origin Minishift レッドハット株式会社 橋本 直哉さま
忙しいヒトの5分で分かるDocker 2017年春Ver さくらインターネット株式会社 前佛 雅人
SolidFireでできる!エンタープライズコンテナー ネットアップ株式会社 三島 匡史さま
Azure Container Serviceを使ったお手軽コンテナ・オーケストレーション 株式会社リアルグローブ 廣川 英寿さま

OpenShift Origin Minishift


レッドハット株式会社 橋本 直哉さまより、同社が提供するPaaSプラットフォームであるOpenShiftの開発環境をローカルPC上に構築するMinishiftの解説がありました。

Docker Machineからローカル環境のハイパーバイザを操作し、OpenShiftの環境を作成するとのこと。当初はVagrantを使用していたとのことですが、安定性の問題から、Dockerを採用することになったそうです。

Minishiftを起動し、アプリケーションをデプロイし、停止するまでのデモが行われました。

忙しいヒトの5分で分かるDocker 2017年春Ver


さくらインターネット株式会社 前佛 雅人より、Dockerの現状についてダイジェスト形式の解説がありました。発表の中で特に注意すべき点だと感じたことは、コミュニティ版のDocker CEとエンタープライズ向けのDocker EEに分かれたことと、バージョン表記が変更になったことと、それぞれのリリーススケジュールやサポート期間に違いがあることだと感じました。

続いてmoby projectについての解説がありました。moby projectはDockerのオープンな開発プロジェクトであるとのこと。

moby projectが範囲としているのは、以下スライド画像の黄色部分とのこと。

前佛さんの発表資料はこちら


忙しい人の5分で分かるDocker 2017年春Ver from Masahito Zembutsu

SolidFireでできる!エンタープライズコンテナー


ネットアップ株式会社 三島 匡史さまより、同社の次世代ストレージSolidFireを用いたDocker管理の解説がありました。老舗ストレージベンダーのNetApp社は、ストレージベンダーとして最初のDockerテクノロジーパートナーであり、共同開発やプラグインの提供など、強くDockerにコミットしているとのこと。
三島さんが担当しているSolidFireは、拡張性や運用性を向上させた新しいタイプのストレージ製品で、もちろん前述のDockerとの親和性の高さも引き継いでいるとのこと。
SolidFire実機にて構築されたクラスタに接続して、コマンドによってDockerをコントロールするデモが行われました。

Azure Container Serviceを使ったお手軽コンテナ・オーケストレーション


「Ansible徹底入門」の著者のひとりでもある、株式会社リアルグローブ 廣川 英寿さまより、Azure Container Service(ACS)を使ったコンテナ・オーケストレーションの解説がありました。ACSは、IaaS上にコンテナ・ホスティング・クラスタを簡単にデプロイできるサービスであり、ミドルウェアレベルのサポート込みのマネージド・サービスではないと説明されました。その代わりにクラスタを構成するフレームワークが選べる自由度の高さがアピールポイントであるとのことです。
コマンド2行でSwarmクラスタが構築できるほど簡単なサービスとのことです。
クラスタを構成するフレームワークを自由に選べるということで、「どれを使ったら良いのか」という話が出るとのことですが、それぞれのフレームワークに特徴があるため「好みに合ったものを使いましょう」とのことです。

廣川さんはここでKubernetes(セッションのスライド中ではk8sと省略形で記載されている部分もありました)を採用した事例について解説されました。

実際にACS+k8s+Helmを使用したWordPressのデプロイのデモが披露されました。
まとめ「Container SIG Meet-up 2017 Spring」に参加して感じたのは、Dockerが活用されている範囲が年々広がっていること、また各社の取り組みによりDockerが使いやすくなっていっていることを強く感じました。エンタープライズユースからコンシューマ向けまで幅広く活用できるDocker、今回も参加者の皆様は何かしら得るものがあったと思います。