Internet Week 2016 レポート(その5)「運用現場が変わるDevOpsツール活用術2016」
こんにちは、さくらインターネット コミュニティマネージャーの法林です。
2016年11月29日~12月2日の間、Internet Week 2016が開催されました。本記事では11月30日に行われたセッション「運用現場が変わるDevOpsツール活用術2016」をレポート致します。
Dockerと言えばこの人!
このプログラムも初っ端からさくらのメンバーが登壇です。テクノロジー・エバンジェリストの前佛雅人が「もしも、明日からDockerで運用してね!と言われたら」と題して講演しました。主な内容は、そもそもシステム運用とは何なのかの再考察、Dockerが登場した背景、Dockerがもたらしたもの、Dockerの内部構造、Dockerシステムの管理方法、Dockerを運用する際の検討項目、といったところでした。
前佛はDockerに関する講演回数が非常に多く(おそらく日本国内でもトップクラス)、筆者も何度か立ち会っていますが、講演の中でいつも主張しているのは「何でもDockerにするのがいいわけではありません。システムに求められる要件をよく理解し、本当にコンテナ技術やDockerを適用するのがふさわしいかどうかをよく考えてから導入してください」という点で、今回もそれを強調しているのが印象的でした。特に運用という観点では、機能的な要件だけでなく、非機能要件(脆弱性対応、バックアップ、冗長化など)にも目を向ける必要があります。
流行のツールを使ったシステムは、それを導入すること自体が目的になってしまいやすいのですが、前佛の講演はその愚を戒めつつ、実用的な内容も多く含む講演でした。
他にも話題のDevOpsツールがてんこ盛り!
この他に、本プログラムでは以下の講演がありました。
実践 Infrastructure as Code - 2016
IIJの齊藤秀喜さんによる講演で、インフラ分野におけるオペレーションの自動化に挑戦した話です。コードレビュー支援ツールGerritを使った作業手順のレビューや、Ansibleを使った作業の自動化を、実演を交えて紹介されました。
国立情報学研究所におけるクラウド運用のJupyter NotebookとAnsibleによる機械化とその効能
国立情報学研究所(NII)/ボイスリサーチの谷沢智史さんによる講演で、所内研究者向けベアメタルクラウドサービスの運用にまつわる話です。データ分析ツールJupyterとAnsibleを使って、コードと実行結果と説明をnotebookにまとめています。また、Jupyter+Ansibleは環境構築が難しいので、Dockerコンテナを作成することで導入を容易にしています。
StackStormによるイベントドリブンな運用自動化
ブロケードの谷茂俊さんによる講演です。StackStormは"if ... then ..."というルールベースで記述する自動化プラットフォームです。講演ではStackStormのアーキテクチャやユースケースを紹介されました。
おわりに
このプログラムでは、Dockerをはじめ最先端のツールが数多く紹介されました。しかし、前佛の講演でも述べられていたように、ツールはただ流行っていたら使えばよいというものではなく、それが自分たちのシステム運用の改善に役立つかどうかを見極め、選んでいくことが必要であると感じました。