こんにちは、さくらインターネット コミュニティマネージャーの法林です。

2016年11月29日~12月2日の間、Internet Week 2016が開催されました。本記事では12月2日に行われた「IP Meeting 2016~見抜く力を!~」をレポート致します。

インターネットが作る、未来の暮らしを考える

IP Meetingの最終セッションとしてパネルディスカッション「インターネットが作る、未来の暮らしを考える~これからを豊かにするための八つの視点~」に、当社代表の田中邦裕が登壇しました。このセッションはタイトルにある通り8人の登壇者が各々の視点でインターネットの未来について議論したのですが、当社が「さくらのIoT Platform」を開発中ということで、田中はIoTの観点から参加しました。田中からは「この30年ぐらいの間に、いったんモノからサービスへ利用が移り、それが最近またモノへと戻っている流れがある」という話があり、そのモノをネットにつなぎデータを集める仕組みとして「さくらのIoT Platform」を紹介しました。消費電力が小さいことや、水田・スマートロック・ゴミ箱などの利用事例を挙げ、IoTは社会を変えるだろうという考えを示しました。

さくらインターネット 田中邦裕

このセッションは他にも、AI、社会、人材教育、女性・子供、アプリケーション、災害復旧など多方面からの提言がありました。インターネットが資本主義から共有型経済への変革を生み出すこと、情報発信力のある個人の意志が力を持つ時代になっていること、現代の幼児はアナログとデジタルの差異を感じていないこと、AIで作成された物の知的権利は誰に帰属するのかなど、未来の暮らしを考えるためのヒントを数多く聞くことができました。

IW2016セッション総括!

Internet Weekは4日間で約30本のプログラムが行われますが、それらの内容をまとめて聴けるのが「IW2016セッション総括!」です。Internet Weekのプログラムを6つに分類し、各分野の担当プログラム委員が報告するのですが、その中のネットワーク運用管理分野の発表者として、当社技術本部の山口勝司が登壇しました。山口からは以下のプログラムについて報告がありました。

さくらインターネット 山口勝司

今年のInternet Weekのテーマは「見抜く力を!」でしたが、ネットワーク運用管理チームではこれを「以前より存在する課題への対応を、最新の技術動向などを考慮に入れて考え直す」「課題に対する個別の戦術だけでなく、その課題全体に対応するための戦略を考える」と読み解き、その視点でプログラムを立案しました。その結果として「想いが伝わるBGP運用」では、以前より使われているBGP Communityという技術を見直したり、「ネットワーク機器の本当のスペックを見抜く」では、ネットワーク機器を導入する前の重要な作業である機器検証における戦略や戦術を解説するセッションを組むことができました。

なお、上記プログラムのうち「シン・インフラ監視戦略」と「知って納得!企業のDDoS対処戦略」については、さくらのナレッジでもレポートしていますので、あわせてご覧ください。

Internet Today!

IP Meetingの午前の部は毎年「Internet Today!」と題する定点観測的なセッションが行われます。今年も、インターネットの運用動向、新技術の標準化動向、社会的動向、セキュリティ動向に分けて報告がなされました。

このうち社会的動向の枠では「ネットワークの中立性」が取り上げられました。九州大学の実積寿也さんからは、最近MVNO事業者が導入し始めているゼロレーティング(特定のアプリやサービスについては課金しない)をめぐる議論が紹介され、その具体例としてLINEの兼保圭介さんから、LINEが導入したコミュニケーションフリーの仕組みについて説明がありました。

九州大学 実積寿也さん(写真提供:JPNIC)

この問題の論点としては、例えばあるコンテンツだけ課金する/しないという運用をするにはパケットの中身を見る必要がありますが、それは電気通信事業法などで定められている通信の秘密に抵触するのではないかとか、特定サービスだけを課金しないのはすべてのパケットを平等に扱う中立性に反するのではないかといったものがあります。技術だけで解決できる問題ではなく、立場によって意見も異なるため、OSI参照モデルの7階層よりもさらに上位の階層(「政治層」などと言われたりします)を感じさせる話題ですが、今後の議論がどのような方向に進むのかが気になるセッションでした。

おわりに

6回にわたってお送りしてきたInternet Weekのレポートもこれで終了となります。昨年から、登壇する社員の姿を追う形でレポートを始めたのですが、今年はなんと6セッション、8人もの社員が登壇することになり、追いかけるのも大変でした。しかし、これは当社が注目されていることの証でもあると考えています。これからも業界の先駆けとなる試みを実践し、その成果をこのようなイベントなどを通じて業界に還元していけるよう努めていきます。

それではまた、次回のイベントでお会いしましょう!