みんなでつくる同人誌即売会!技術書典4当日レポート
こんにちは、さくらインターネットの大喜多です。
ITやその周辺領域について書いた技術書オンリーの同人誌即売会である「技術書典4」が2018年4月22日に開催されました(さくらのナレッジは技術書典4にイベントスポンサーとして協賛しています)。本記事では即売会当日の様子をレポートいたします。
あらためて、同人誌とは?
同人誌(どうじんし)とは、同人(同好の士)が、資金を出し作成する書籍のことで、一般の書店には流通せず、もっぱら同人誌即売会と呼ばれるイベントによる頒布(はんぷ)や、同人誌の頒布を委託され取り扱う専門の書店を通じて流通するものです。出展者は一般的に「サークル」と呼ばれますが、個人の場合もあれば複数人の場合もあります。
日本で行われる同人誌即売会は、漫画・アニメ関連の同人誌を頒布するものが圧倒的に多く、世界最大の同人誌即売会であるコミックマーケットにおいてもそれは同様ですが、コミックマーケットには技術系同人誌を頒布するサークル用のスペースがあり、技術書典が開催されるまではコミックマーケットがほぼ唯一の技術系同人誌の流通の場でした(小規模なイベントでの流通は過去も現在もあります)。そのような日本の同人誌即売会の中で異彩を放っているのが、技術書を頒布する出展サークルのみで構成された同人誌即売会 技術書典 です。
2016年に開催された第1回の様子はさくらのナレッジの記事 日本の技術書コミュニティは熱いぞ!「技術書典」レポート にてご紹介しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。
晴天。
技術書典は第2回・第3回ともに雨(第3回は台風)だったため、「雨」のイメージが常連の参加者・運営スタッフに焼き付いていたのですが、今回は見事な晴天でした。
行列。
当日は天候に恵まれたこともあり、非常に多くの方が来場していました。
なお、公式アナウンスによると、当日の総参加者数は6380人だったとのことです。
ただいまを持ちまして、 #技術書典4 閉幕しました!今回の総参加者数は6380人でした。
皆さんご来場ありがとうございました。— 技術書典公式アカウント (@techbookfest) 2018年4月22日
運営スタッフのひとりであるわかめさんによると、前回(技術書典3)が約3200人だったとのことで、2倍の人数が参加したことになるようです。
前回来場者数がスタッフサークル全て含めて3200で、今回6400人くらいだったというのはさんすうでいうと2倍です。
— わかめ@TypeScript味 (@vvakame) 2018年4月22日
参加団体紹介 ~サークル編~
ではここで、イベントに参加されたサークルをいくつかご紹介しましょう。
こくだランド
OSC(オープンソースカンファレンス)界隈ではEjectコマンドユーザ会やRaspberry Pi関連の活動で知られるあっきぃさんのサークルです。
一番印象的だったのはこの値札。電子ペーパーモジュールで、Raspberry Piに接続して文字・画像を表示させた後に取り外しても引き続き表示ができるというものです。
r360study
Adobe製品を使ったWeb制作に関する教材をPDFと学習用ビデオという、同人誌のなかでは珍しい形式で頒布していたサークルです。
親方Project
「レーザー本総集編」は、レーザー光の技術的解説(数式もたくさん出てきます)からハードウェア/ソフトウェアの実装に至るまで、レーザーについて非常にマニアックに書き込まれた本でした。
めもおきば
コンピューティングの新しいあり方のひとつであるServerlessについての同人誌をメインに扱っているサークルです。今回刊行されたメインテーマ「はったりフルスタックエンジニアのなり方」は、一見世間の風潮を茶化すようなノリではじまりつつも、結果的にエンジニアリングの本質をつかむことがフルスタックエンジニアになるための重要な要素であるとまとめられており、とてもマジメかつ有用な内容に仕上がっていました。
日本 openSUSE ユーザ会
Linuxディストリビューションのユーザ会としてOSCや同人誌即売会などで精力的に活動している「日本 openSUSE ユーザ会」のスペースです。夏と冬に発行している「Geeko Magazine」を頒布していました。
好きなコマンドはdigです
DNS入門書「DNSをはじめよう」を頒布していたサークルです。Twitterでの告知後、非常に反響が大きかったため、40部から400部に増刷して当日に臨んだそうですが、それでも13時頃に完売したとのことで、その注目度の高さを感じました。これが初の同人誌とのことで、本当にすごいことだと思います。
LOCAL学生部
北海道における技術系地域コミュニティ (ユーザ会、勉強会等) の活動支援やコミュニティ間の連携イベント企画開催等をおこなっている団体「LOCAL(ローカル)」の、学生部(高校生から大学院生まで)が「好きなことを好きなだけ書いた本」とのことです。内容は仮想化技術入門からLinuxカーネルや自作エディタなど、非常に多岐にわたるものでした。
Cpaw
写真中央は、さくらのナレッジにも多くの記事を寄稿いただいた、元さくらインターネットの伊東道明さん。機械学習をセキュリティに応用した内容の同人誌を頒布していました。
参加団体紹介 ~企業編~
技術書典に出展していたのはサークルだけではありません。展示会場の一角を占めていた企業ブロックも見てみましょう。
デル株式会社
企業の情報システムを一人で担当する「ひとり情シス」向けのネットワーク・セキュリティに関する冊子を頒布していました。
エウレカ9
恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」をグローバル展開する株式会社エウレカの有志による同人誌「エウレ・テクノロギア」を頒布していました。Android/iOSアプリ開発に関することを中心として、Webフロントエンドやプログラミング言語に関することなど、非常に多岐にわたる内容でした。表紙は社内のデザイナーによるものとのことです。
シス管系女子会
日経Linux誌にて連載中のLinuxコマンド操作&シェルスクリプト入門解説マンガ「シス管系女子」の単行本と、主人公「みんとちゃん」のキャラグッズを頒布していました。
サークル参加体験記
非常に手前味噌で恐縮ですが、当日は筆者もサークル参加していました(サークル名:BUSTERWORKS)。筆者のサークルではPowerDNS+NSD+Unboundを利用してDNSサーバを構築する技術書を頒布しました。
まとめ
このように技術書典4では、商業誌としては流通しないニッチな内容の書籍や、有志によるアラカルト本など、執筆者の熱量があふれだす書籍を多数頒布していました。技術書典は回を重ねるごとに応募サークル数・総参加者数が増加し続けており、今なお「日本の技術書コミュニティは熱いぞ!」といえます。
次回の日程はまだ発表されておりませんが、この記事をお読みいただいた方で、まだ参加したことがないという方は、ぜひ次の機会に技術書典へのサークル参加・一般参加を検討されてはいかがでしょうか。
今回記事内ではご紹介できませんでしたが、たくさんの方々に撮影のご協力をいただきました。本当にありがとうございました!