最新Web技術と業界動向に触れてみよう!「エンジニアサポートCROSS 2016」レポート

2月5日(金)に、JAIPA(日本インターネットプロバイダー協会)が主催する「エンジニアサポートCROSS 2016」(CROSS)が横浜・大さん橋ホールにて行われました。当社は本イベントに協賛・出展・登壇・スタッフ参加と熱量高く関わりました。今回のレポートでは当社社員が登壇したセッションを中心に、イベントの模様をお伝えします!


会場からはみなとみらいの街並みも見えます

そうだ、他社へいこう

当日の13時から、協賛各社の提供によるお弁当を食べながらセッションを聴講するランチセッションが多数行われました。その中で、株式会社クララオンラインと当社が共同で実施したのが「そうだ、他社へいこう」と題するセッションです。登壇者は以下の方々です。

  • 家本賢太郎さん(株式会社クララオンライン 代表取締役CEO / 株式会社スポーツITソリューション 代表取締役会長)
  • 波多野安衣さん(株式会社クララオンライン グローバルソリューション事業部)
  • 田中邦裕(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)
  • 寺尾英作(さくらインターネット株式会社 クラウド開発室)

この登壇者一覧を、寺尾を軸に書き直すと以下のようになります(参考:寺尾のブログ)。

  • 寺尾:2016年1月よりクララオンラインから当社に転職
  • 田中:転職先の代表
  • 家本さん:転職元の代表
  • 波多野さん:転職元で寺尾が面接して採用した人


寺尾をめぐる人間関係(誇張):左から、田中、寺尾、家本さん、波多野さん

寺尾が「そうだ、他社へいこう」と言ったかどうかはわかりませんが、要するにこのセッションは、転職者本人が前職と現職の代表や同僚と一緒に登壇し、しかも転職をテーマに語り合うのです。こんな顔合わせは見たことがありません。参加者も同じように思った人が多かったのか立見が出るほどの盛況で、ゆっくり座って食べられるはずの弁当を立って食べている人もいました。なんだかすみません…。

前置きはこれぐらいにして、当日のトークから一部をご紹介しましょう。

それぞれの転職事情

寺尾はもちろんのこと、波多野さんも転職を経験しているので、当然ながらまずはお二人の転職に関する話がありました。
波多野さんの場合は「自分を変えたいと思ったのが大きな動機」だったそうです。クララオンラインに入社する前は10人ぐらいの会社に勤めていて、そこでエンジニアとしてデビューしましたが、小さい会社なので他のいろいろな仕事も兼務していました。それはそれで勉強にはなったのですが、このままではずっと同じ仕事しかできないと感じたため、「もっと技術を磨く時間がほしい」という理由で転職することにしました。ただ、いろいろな業務を経験してきたことは強みでもあるので、転職先を探すにあたり「幅広くできて技術も磨ける会社を選んだ」結果、クララオンラインに出会って入社したそうです。
一方、寺尾はクララオンラインに9年ほど在籍しましたが、10年近くいると会社の体制や売る物も変わるものであり、それとともに自分が提供できる価値も変わってきたと感じたのが転職の動機であると述懐しました。そして「自分をよりうまく活用してくれる会社を探した結果、さくらになった」とのことです。
ちなみに「なぜ寺尾さんを採用したんですか?」という質問に対する田中の答えは「基本的に何でもやれる人だから」でした。付け加えて「特定の技術しかできない人は採用しにくいです。というのは、その技術が10年後にはなくなっているかもしれないからです。寺尾さんの場合は持っているスキルが普遍的だったのが良かったですね」とコメントしました。また、家本さんも「スポーツIT事業も手がけていますが、スポーツ好きだけの人は採っていません」という見解を述べました。


転職の体験談を語る波多野さん

エージェントって使ってる?

この後は転職/採用活動の話題に移行したのですが、その中で印象に残ったのが、エージェント(人材紹介会社)を利用するかどうかでした。転職先の探し方としては、自分で企業を探して直接応募する方法と、エージェントを通して企業を紹介してもらう方法があります。波多野さんは後者を選択しましたが、その理由は「エージェントを使うと自分をより良く見せてくれるから」だそうです。また、エージェントを利用して良かった点として「やりたいことが明確だったので、自分に合った会社を探してもらえたのが一番良かった」と述べました。
これに対して採用側がエージェントをどう考えているかですが、田中によると「直接応募は明確な目的を持っている人が多いですね。例えばさくらのサービスのUIがイケてないからなんとかしたいとか(笑)」だそうです。こう書くと直接応募の方がよさそうに見えますが、「でも直接応募だけだと、さくらっぽい人しか来ないんですよ。その点、エージェント経由だと会社が考えてなかったおもしろい人が来て多様性が保たれるので、エージェントも外せないですね」ということで、それぞれにメリットはあるようです。
また、エージェントの少し変わった使い方として、Increments株式会社(Qiitaの開発元)の及川卓也さんが、自分の評価を客観的に見てもらうために毎年エージェントに相談しているという話も紹介されました。

これから転職する人へ

セッションの終盤は、登壇者および会社の今後や、これから転職する人に考えてもらいたいことなど、さまざまな話が飛び交いました。まず田中からはエンジニアの成長に関する3つのパターンが紹介されました。

  1. 会社でやりがいを見つけて成長する人
  2. スキルは高いが会社の評価と合致しない人
  3. スキルがなく会社に不満がある人

望ましいのは(1)です。(2)は転職に至るケースが多いですが社内で別の仕事に移ることで(1)に変化する可能性もあります。(3)は転職もできないので会社に残るしかなく問題のあるパターンです。というわけで、転職できるレベルまで自分のスキルを上げるべきというのが田中からのメッセージでした。
また、波多野さんは今後の目標について「最終的には『しゃべれるエンジニア』になりたいんです」と回答しました。「そのためには、他の人の解説がなくても対等に技術の話ができるようになる必要があります。今はまだそのレベルには達していないので、周囲の人が持っている技術に追いついていきたいですね」とのことです。「どんな人に転職して来てほしい?」という質問には「1つのことしかできないのではなく、いろいろチャレンジしたり、問題点を打開するマインドのある人がいいです」と要望を出しました。
最後に寺尾は、前職と現職の人が同席している立場から「前の会社と一緒に仕事ができるのはとても幸せなことです。会社のことをよく知っている人が社外にいて協力してくれるわけですから、クララにとってもプラスになると思っています」とコメントしました。そして、これから転職する人へのメッセージとして「例えば、さくらのサービスは最大公約数的で、8割ぐらいの人はカバーできるんですが、残りの2割には向いていません。一方、クララはもっと小回りが効いて、その2割を救うことができます。こんな感じで会社によってやれることは違うので、自分が何をやりたいかを考えて、それに合った会社を選ぶのがいいでしょう」という言葉を残しました。


笑いの絶えない登壇者たち

転職する人、送り出す人、受け入れる人、それぞれの想いが交錯する中にも、とても和やかな雰囲気で場が進行し、楽しいセッションをお届けできたのではないかと思っています。そして、このレポートではさも自社提供セッションのように書いていますが、実際は企画から運営までほとんどクララオンラインの皆様に進めていただいたものです。貴重な場を設けていただいたことに厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

その他のセッション

CROSSでは、他のセッションにも当社社員が続々と登壇しました。タイムテーブルを参照するとわかるようにセッションの時間帯が全部で4つあったのですが、そのすべてに社員が登壇するイベントというのも珍しいです。登壇したセッションを簡単にご紹介します。

日本のIaaS裏トーク〜インフラ×ソフトウェア〜

こちらにはさくらインターネット研究所の大久保修一が登壇しました。大久保は「さくらのクラウド」のインフラを担当する立場から、クラウドのアーキテクチャを説明いたしました。登壇した各事業者が採用しているクラウド基盤ソフトウェアがそれぞれ異なるため、参加者はそれらの違いを知ることができたようです。


登壇する大久保。なぜかよく動くので撮影が難しいです。

エンジニアとしてどう働きたいか?経営者としてどう働いてもらいたいか?労使の本音バトル!

こちらに登壇したのはインターネットサービス事業部の山田修司です。このセッションは登壇者が経営者側と労働者側に分かれ、それぞれの視点からの意見をぶつけ合いました。


「労使の本音バトル」登壇者の皆さん。左から2人目が山田。

IoTの悩みどころについて

当社フェローの小笠原治が登壇しました。他のIoT関連事業者の方々と一緒に、現在のIoTが抱えるさまざまな課題を議論しました。


IoTセッションに登壇中の小笠原(右から2人目)

現役エンジニア社長に聞く「起業とは」

このセッションは当社代表の田中邦裕がセッションオーナーを務めました。田中自身もエンジニア社長ですが、さらにお二人のエンジニア社長をスピーカーに迎え、エンジニアならではの視点からの経営術やチーム作りといった話題で盛り上がりました。


本日2本目のセッションに臨む田中(左)

気軽に始めるガチIoTプロトタイピング(仮)

ここではプラットフォーム事業部の江草陽太が登壇しました。CROSSでは名札をデバイスにタッチすることで来場者の集まり具合を測定するシステムが稼働していたのですが、そのデバイスおよびプログラムの開発を担当したのが江草です。このデバイスの開発事例や、関連して最近気になるIoTデバイスの話などがなされました。


開発したデバイスを説明する江草

おわりに

こんな感じで社員が登壇するセッションを取材し、休憩時間に展示ブースにて当社サービスの説明を行い、夕方からはコミュニケートセッションでビールをいただいたりするうちに、あっという間に閉会の時間となりました(筆者はさらにお楽しみコーナーのスタッフもやっていました)。大さん橋ホールの屋上デッキから見えるみなとみらいの街並みも、イベントを終えて帰る頃にはきれいな夜景になっていました。


帰る頃にはすっかり夜の街並みに

今回のレポートでは当社社員の活動を中心にお届けしましたが、会場では他にもたくさんのセッションがありました。一部のセッションは映像が公開されていますので、CROSSのWebサイトにてご覧ください。
また、セッションに参加してくださった皆様、それから当社ブースを訪問してくださった皆様、ありがとうございました。CROSSは他社の皆様と交流することが目的のイベントであると考えています。ここでクロスしたことがきっかけで、次の何かにつながればうれしいです。

それではまた、次のイベントでお会いしましょう!