広島のエンジニアとさくらの最新技術が激突! 「さくらの夕べ in すごい広島」レポート

2018年1月24日(水)に、広島市にある合人社ウェンディひと・まちプラザにて「さくらの夕べ in すごい広島」を開催しました。当地では初開催となったさくらの夕べですが、地元・広島の方々だけでなく、同時期に開催されていたJANOG41ミーティングのために広島に来られていた方々にもお越しいただき、全部で約50人ほどの集まりとなりました。たくさんのご来場ありがとうございます! それでは、イベントレポートをお楽しみください!

すごい広島って?

イベント内容のレポートに入る前に、今回のイベント名が「さくらの夕べ in広島」でなく「さくらの夕べ in すごい広島」になった経緯を説明します。

まず、「すごい広島」は、広島で活動しているITコミュニティです。活動内容をconnpassのページから引用します。

すごい広島はコワーキングスペースや喫茶店などで、プログラマーやフロントエンドエンジニアなどWebやITに関わる人達が集まって情報交換や、もくもくと勉強する会です。 (中略) 毎週水曜日19:10から20:50の時間にコワーキングスペース Shakehandsに集まっています。

すごい広島のイベントページ

今回、広島でさくらの夕べを開催する準備を進めていたところ、こちらの開催日が水曜日で、すごい広島の定例開催日と重なることに気がつきました。重なるぐらいなら一緒にやれないかと思い、すごい広島を運営しているmu2inさんにお願いしたところ、快く共同開催を受けてくださいました。本当にありがとうございます! そういうわけで、イベント名も通常なら「さくらの夕べ in 広島」となるところを「さくらの夕べ in すごい広島」としました。

やりたいことをできるに変える! データ流通の実証実験

今回1本目のセッションは、さくらインターネット研究所の菊地俊介が「さくらインターネット研究所が手がける、データ流通実証実験のご紹介」と題して発表しました。この実証実験については、2017年12月に当社からプレスリリースを発行しています。

NECとさくらインターネット、FIWAREを活用したスマートシティ・スマートビル向けデータ流通システムの実証実験を開始

菊地は、この実証実験の目的として、データ流通に対するニーズの把握、さくらインターネットはインフラ提供会社だからデータ流通インフラにも関わりたいこと、そしてこの分野はまだ何も決まっていない未開の地で、このような実験をやってみることで課題を抽出したいという3点を挙げました。また、プレスリリースにも出てくるFIWARE(オープンデータ共有のための基盤ソフトウェア)の解説や、現在は実証実験の規約を策定中であることなどの話がありました。

この実験の最大の懸念事項は、どれだけ多くの人が参加してくれるかです。人が来なければデータが集まりません。菊地はこの点について、当社の企業理念である「『やりたいこと』を『できる』に変える」を引き合いに出しながら「データを取得し使うという行動意欲は『やりたいことを実現する』ことから生まれる」という考えを示し、見て楽しい・使って楽しいデータをそろえることで利用を促したいとしました。実験は3月から福岡市内にて開始予定で、これに関するプレスリリースも出たところです。

この発表ならびに実証実験については、さくらインターネット研究所のブログでも紹介されています。発表資料も公開していますので、くわしく知りたい方はそちらをご覧ください。



安全なIoTプラットフォームを提供! セキュアモバイルコネクトの裏側

続いて2本目のセッションは、さくらインターネット IoTチームの日下部雄也が登壇し、「『さくらのセキュアモバイルコネクト』の裏側」と題して発表しました。

「さくらのセキュアモバイルコネクト」は、当社が独自に開発したSIMをスマートフォンなどのデバイスに挿すことで、インターネットを経由しない閉域網に接続し、さくらのクラウドと通信することができるサービスです。本サービスで提供するモバイルゲートウェイを経由することでインターネットへの接続も可能です。このサービスを利用することで、セキュリティ面でも安全なIoT向けプラットフォームを安価に構築することができます。サービスの詳細はサービスサイトやSlideshareに掲載したサービス紹介資料をご覧ください。

日下部の発表では、サービスの概要説明に加えて、さくらのクラウドの管理画面を見せながらのデモも行われました。SIMの登録および有効化/無効化、モバイルゲートウェイの作成、ゲートウェイへのSIMの登録とIPアドレスの割り当て、ゲートウェイ経由での通信などを実演しました。

そして発表の後半では、このサービスのアーキテクチャや、サービス構築における苦労などの舞台裏が紹介されました。特にこのサービスを提供することにより、当社はフルMVNOに類する事業者となります。その準備過程においてIIN(Issuer Indentify Number:ICカードの固有番号(ICCID)の先頭6桁)とPLMN(Public Land Mobile Network:携帯電話事業者の国際的な識別番号)を取得したのですが、その過程がsakura.ioのブログで紹介されていますのでご覧ください。また、サービス構築において苦労した点としては、3GPPのドキュメント解読、海外キャリアとの交渉、検証環境の動作などがあります。さらにくわしく知りたい方は日下部の発表資料をご覧ください。

広島はLTもすごい?

前半2本は当社エンジニアによる発表でしたが、後半は広島のエンジニアの皆さんにご発表いただこうということで「広島のすごいLT」と題するセッションを設けました。全部で8人の方が登壇してくださいました。この場を借りてお礼を申し上げます。発表者とタイトルの一覧は以下の通りです。

  • 「フルマネージドなサービスとの使い分け(仮)」安藤光昭 [発表資料]
  • 「やっとクラウドに慣れてきた話」もりとー
  • 「関西ネットワークエンジニアの生きざま」勝男
  • 「IT技術者向けイベント『オープンセミナー広島2018』の紹介」kwgch
  • PCNひろしまの紹介」にしもつ
  • 「webサイトのiPhone X対応」井上拓 [発表資料]
  • 「すごい広島の紹介」mu2in
  • 「仮想通貨はブロックチェーンへの入り口かな?」一ノ瀬厚

LTで発表する安藤さん

安藤さんや井上さんからの技術的な発表、kwgchさんやにしもつさんによるコミュニティ/イベント紹介、大阪で学生をしている勝男さんによる発表など、バラエティに富んだ内容となりました。中でもmu2inさんの発表は、すごい広島の会合1回(2時間)でさくらのサービスをどこまで使い倒せるかというもので、当社としても興味深い内容でした。

なお、kwgchさんから紹介のあった「オープンセミナー広島2018」は、2月24日(土)にサテライトキャンパスひろしまで開催されます。今回はチームビルディング特集だそうです。参加者募集中ですので、ぜひご参加ください。

広島のコミュニティはどんな感じ?

こうしてイベントは盛況のうちに終了し、その後は会場近くのお店で楽しく懇親会を催しました。こうして広島で活躍するエンジニアの皆さんと交流できたことをとてもうれしく思います。

さて、今回は広島のITコミュニティの皆さんと一緒にイベントをやったわけですが、せっかくの機会なので、広島のコミュニティはどんな状況にあるのかを聞いてみました。お話をうかがったのは、すごい広島の代表・mu2inさんと、当地のコミュニティ活動に長く携わってこられた、たかたよしたけさんです。

LTで発表するmu2inさん

―― ご自身が運営しているコミュニティや、よく出入りしているコミュニティを教えてください。

たかた:広島サーバユーザ友の会(仮称)を作って何回か勉強会を開催しましたが、最近はオープンソースカンファレンス(OSC)広島の実行委員としてお手伝いしています。OSCではセミナーや展示も行っています。

mu2in:私も地元のコミュニティが中心ですね。すごい広島についてはこの記事の冒頭でご紹介いただいてますが、他にもAtlassian User Group中国地方のリーダーやオープンセミナー2018@広島の副実行委員長を務めています。最近よく出入りしているコミュニティは広島フロントエンド勉強会です。私はバックエンドのエンジニアですが、フロントエンドの技術も興味があり情報収集のために参加しています。

―― お2人の活動範囲を見ているとそれほど重なっていませんね。バックボーンの違う方々がさくらの夕べに参加してくださるのはとてもうれしいです。ところで、広島近辺のコミュニティの特徴があれば教えてください。

mu2in:イベントは小規模(5~15人程度)が多く、コアメンバーが被っていたりします。ほとんどが無料のセミナーで、ボランティアが中心となってコミュニティが成り立っています。フロントエンド、DB、IoT、言語でいうとJava、Ruby、Pythonなどの広めのジャンルのコミュニティ活動が活発で、特定のサービスのユーザ会のようなコミュニティは少ないです。

たかた:私は毎年、OSC広島の開催に合わせて、広島のコミュニティをまとめて紹介した資料を作成しています。これを見ると数は多いのですが、活動が停滞している勉強会も多々あります。毎月開催されていたWeb Touch Meetingも昨年100回を迎えて終了しました。そんな中、継続して毎週水曜日に開催されているすごい広島は本当にすごいなぁと思います。それから、最近はHiroshima Student Communityなどゲーム系の勉強会や、CoderDojo紙屋町CoderDojo五日市など、学生や若い方が主催するコミュニティが元気なようです。



―― 各地でITコミュニティの活動がさかんになってからそろそろ10年を超えるので、代替わりの時期を迎えているのかもしれませんね。では最後に、お2人にとってのコミュニティ活動の楽しみや、ご自身にどんな形で役立っているかを教えてください。

mu2in:登壇者のセッションを聞くのも楽しいですが、同じ職種・趣味を持つもの同士で話し合えるのが一番面白いです。毎週水曜日に開いているすごい広島はフロントエンドからバックエンド、IoTなどジャンルに限らず集まっているので、知らない技術について教えてもらえるのも楽しいです。自分はコミュニティを横断的に参加し、Twitterで実況してアウトプットするようにしていたのですが、自然と他のコミュニティの人にも覚えてもらえるようになりました。

たかた:会社の中だけにいると閉鎖的な考え方に陥りがちですが、コミュニティ活動に参加することはいろいろな方面で頑張って勉強されている方と触れ合える貴重な機会で自分の励みにもなっています。例えば自分は主にインフラの運用関係を担当してますが、そのインフラの上で動いているWebなどの事を広く知ることができて参考になってます。また数は少ないですが、クラウドやデータベース、セキュリティなどの勉強会も開催されていて、こちらは仕事に関わる分野なので直接的にも役に立っています。

昨年は比較的よく参加していたWeb Touch Meetingが終わったり、たまに発表していたLT駆動開発が休止(?)したり、平日あまり余裕がなくなってすごい広島にもほとんど行けなくなったりと、勉強会から結構縁遠くなってしまったのですが、春ごろからまた徐々に勉強会にも参加出来るようになればいいなぁと思ってます。

―― お2人のコメントを聞くと、コミュニティ活動が知識を仕入れるだけの場ではなく、人との接点を持つ場であると考えていらっしゃいますね。私も常々そこが大事だと思っていて、とても共感できるコメントでした。このたびはご協力いただきありがとうございました!

おわりに

今回、さくらの夕べを開催するにあたり、mu2inさんをはじめとする広島の皆さんに大変お世話になりました。本当にありがとうございました。これからも機会を作って訪問し、この地域を盛り上げていきたいと思います!

それではまた、次回のイベントでお会いしましょう!

#さくらの夕べ 懇親会! - Spherical Image - RICOH THETA


(懇親会の写真はShinonomeさんに撮っていただきました。ありがとうございます!)