AIインフラとコミュニティについてあれこれ聞いてみた 〜「さくらの夕べ in 松山 with アリスタネットワークス」レポート〜
はじめに
2026年7月15日(水)に「さくらの夕べ in 松山 with アリスタネットワークス」を開催しました。今回のイベントは同時期に愛媛県松山市で開催されたJANOG58ミーティングに併せて実施したもので、JANOG58のホスト企業を務めたアリスタネットワークスとの共同開催となりました。それではイベントの模様をご紹介します。
Ask Us Anything: AIインフラのリアル
最初のセッションは「Ask Us Anything: AIインフラのリアル」です。当社はAIインフラの構築などにアリスタネットワークスの製品を使用しています。そこでアリスタと当社の担当者に登壇いただき、内容はすべて参加者からの質問とそれに対する回答で構成するというセッションを実施しました。登壇者は以下の皆さんです。
- 谷茂俊(アリスタネットワークスジャパン)
- 井上喬視(さくらインターネット)
- モデレーター: 安永真依子(さくらインターネット)
会場から出た質問と回答の中からいくつかを選んでご紹介します。(質問を分類して掲載しているため、実際の質問順とは異なります)
さくらインターネットのAIインフラに関するもの
−− さくらインターネットはAIインフラのどこでアリスタの製品を使っているのですか?
井上: AIインフラの構築当初からアリスタさんの製品を使っています。特にGPU間の通信を行うためのスイッチ(インターコネクト)にアリスタ製品を採用しています。
−− 高火力シリーズとさくらのAI Engineの基盤は共通ですか? それともサービスごとに独立したインフラですか?
井上: 共通のインフラです。高火力 PHYという、NVIDIAのH100やH200といったGPUを搭載した物理サーバを提供するサービスがありますが、この高火力 PHYの上でさくらのAI Engineというサービスが展開され、その上でいろんなLLMのモデルが動いているという形になっています。
−− さくらのGPUサーバーは、ラックとサーバーとスイッチや冷却装置なども込みでいくらぐらいですか? また消費電力は一般家庭の1軒分ぐらいですか?
井上: 一般的な相場感で言うと、GPUサーバーを買おうとすると家やスーパーカーが買えるレベルと思ってもらえればいいかなと。それからラックに関しては、結局そのラック1本でどれぐらい消費電力を使えますかという話になります。例えば10kWしか使えないようなラックだとGPUサーバーを1個置けるかどうかというレベルです。当社の最新のデータセンターだと60Aぐらいのラックを置いていますが、海外のハイパースケーラーはもっと消費電力の多いものを使っています。
−− 井上さんはアリスタ製品のどんなところが気に入ってますか?
井上: アリスタの製品は素直だと思います。こちらが意図した通りに動きますし、コンフィグ体系も素直ですし、すごくきれいにできているなという印象です。こういうきれいな製品を作っているベンダーってあまりないと思ってて、その点でアリスタさんは洗練されてて好きですね。
−− AIインフラならではのおもしろ運用トラブルを教えてください。
井上: 今週、Ubuntuのカーネルのアップデートが出たんですが、そのアップデートを行うとディスクが壊れるという問題が起きました。あるときから急にRAIDの障害が多発して、なんでだろうと思ったら実はそのカーネルをアップデートしたときに含まれていたパッチが悪く、それが原因でした。これはAIインフラに限ったトラブルではないですが、とにかく先週から今週にかけてはこの件でめちゃくちゃハマりました。それからGPUも壊れるんですけど、壊れ方が均等じゃないというか、いろんなところが壊れます。思いもよらないところが壊れたりとか、なんか動かないけどとりあえず放電したら治ったとかは普通にあります。よくわからないけど何とか治すというナレッジはすごくたまってきています。
−− インフラ視点で他社と比べたさくらの強みを教えてください。
井上: さくらのAIインフラは、自分たちで作って自分たちで運用しているという点が強みだと思います。例えばGPUってめっちゃ壊れるんですが、そのときにさくらは昔から物理サーバーの運用をしてきているので、壊れたときや何か起こったときの対応はきっと他のベンダーさんより早く柔軟に行えるという強みがあると思っています。すべて自分たちで作って自分たちで運用しているから仕組みや構成も全部理解していて、それが現場まで浸透しているから復旧が早いんだと思います。
一般的なAIインフラに関するもの
−− これまでのインフラとAIインフラは違うものですか?
井上: 違いますね。AIインフラはロスレス性が求められるインフラで、パケットロスを出さないようにネットワークを作ることが求められます。でもイーサネットはパケットロスするものというのが基本的な考え方で、それをあれこれ工夫してロスが発生しないように動かすというのがAIインフラなので、そのあたりに根本的な違いがありますね。あとはネットワークの帯域も全然レベルが違いますし、それに伴って装置の金額もはるかに高額になっているので、これはもう全然違う世界だなと感じています。
谷: 私も違うと感じています。AIインフラは本当に進化が早いというのもあるかなと思います。GPUも毎年新しいのが出てくるのと、ネットワークスイッチもAI向けだけどんどん進化しています。アリスタのスイッチにはTridentシリーズ、Jericoシリーズ、Tomahawkシリーズの3つがあり、TomahawkがAI向けの高性能な製品なんですが、TridentはX4、JericoはR4なのにTomahawkだけX7が出ています。こんな感じでどんどん世代も進んでいるのがAIインフラの特徴かなと思います。
−− AIインフラの構築は事業者が設計するのでしょうか? メーカーのセット品みたいなものがあるのでしょうか?
谷: さくらさんの場合は、まず要件やサイズなどを伺った上で、ご提案という形でたたき台をお出しして、それに対して井上さんからいろいろな事情をお聞きしてカスタマイズしていきます。最終的にはこちらが出したものとは全然違う形になっている感じです。一応、メーカーしてはセット品というか、推奨構成みたいなものはお出ししています。
井上: そうですね。メーカーのセット品が基本だとは思ってます。GPUメーカーさんの推奨構成みたいなものがありまして、多くの企業はそれを採用されることが多いんじゃないかなと思います。ただ、当社のようにコンテナ型データセンターで構築するというような変わった制約があるとメーカーの推奨構成が当てはまらない場合があったり、当社はもともと「さくらの専用サーバ PHY」のような物理サーバのクラウドサービスもやってるので、それと同じ形でご利用いただくにはどうしてもメーカーの推奨構成だと合わないとかいったこともありますので、最終的には自分たちで設計の勘所を持って作っています。
−− AIインフラ向けの高性能な機器はなかなか触る機会がないのですが、一般的な機器と扱いが異なる点はありますか?
井上: 扱いが異なると思ったことはあまりないですね。そんなに構えなくても大丈夫で、普通のスイッチです。唯一異なる点はトランシーバーなどの物理レイヤー周りですかね。AIインフラって400Gbpsや800Gbpsなどの広帯域なネットワークを使うんですが、そうなるとMPOっていう普通ではないコネクタを使いますし、MPOの扱いはクセがあるので、そのあたりは扱いが異なるかなと思います。ただスイッチをリモートで触る分には、単に帯域が太くてポートがいっぱいあるスイッチという感じですし、やってることもEVPNやVXLANとかであまり変わらないです。
谷: 私も同じ意見で、スイッチはOSも含めて一緒なんですけど、トランシーバーの種類がすごく多いですよね。400Gbpsだけでもシングルモード・マルチモードがあって距離別にも分かれていて、ケーブルの芯数でも分かれていて、さらにアリスタ製品はそこにDSP(Digital Signal Processor)関連でも複数の種類があるのですごく複雑です。
−− AIネットワークの最新動向やNVIDIAの最新動向などをキャッチアップするのに皆さんどうしてますか? メーカーと話すしかないのでしょうか。良いニュースサイトや情報源などあれば教えて欲しいです。
井上: メーカーさんとお話しするのが一番ホットな情報をいただけるので、それをよくやっています。NVIDIAの情報については、NVIDIAって意外に情報を出しているので(表に出ていない情報もたくさんありますが)、ニュースサイトなどをウォッチするだけでも割とキャッチアップできます。でもメーカーさんと話すのが一番ホットですし、我々もいろいろな方とお話ししたいと思っています。意見交換も全然ウェルカムです。
−− 最近、異業種からGPU向けとされるコンテナデータセンターの参入が相次いでいますが、どのような印象をお持ちですか?
井上: 印象と言うとちょっと違うかもしれませんが、お話を聞きたいなとは思っています。国内でAIインフラを作ってるところはそんなに多くないと思っていて、アメリカや中国に比べると日本ってまだ規模が小さいながらもちょっとずつやってるっていう感じなので、もうちょっと事業者同士の連携や情報交換をしたいなと思っています。弊社は結構情報を出してると思ってますので、もしやっている方がいればオープンにして情報交換をさせてもらって、JANOGなどでも発表していただきたいなと思ってます。
会社や働き方に関するもの
−− アリスタの社内の雰囲気を知りたいです。
谷: アリスタのジャパン(日本法人)とアリスタ全体の2つに分けてお答えします。まず全体の話で言うと、やっぱりAIの話題は多いですね。OpenAIやAnthropicなどの話で盛り上がっています。でもアリスタ全体から見るとそれらは本当に一部のお客様で、他の多くはキャンパスやデータセンターなどをやっています。それからジャパンに関しては、我々はオフィスがなく、みんな自宅で仕事しています。ワールドワイドでもセールスのオフィスがないんですが、そんなこともあって、社内の雰囲気と言っても社員にはたまにしか会わない(笑)という、そんな感じですね。それからさくらさんの話で盛り上がることはもちろんあります。
−− 谷さんから見たさくらのエンジニアの印象を教えてください。
谷: さくらのエンジニアでは昔から大久保(修一)さん(さくらのクラウドなどのネットワーク基盤を担当)とお付き合いがありまして、大久保さんには厳しくしごかれてきました(笑)。何かやっても「そこはそうじゃないんです」とか、結構いろいろと鍛えられてきましたので、その印象をベースにすると井上さんには非常に優しくしていただいてます(場内笑)。それから皆さん技術レベルが高いのは間違いないですね。こちらが教えてもらうことも多いです。
−− さくらのエンジニアに求められているインフラの仕事はどのようなものですか? やはりAI周りが忙しいのですか?
井上: 忙しいですが、AIだけでなくネットワーク全般にわたっての仕事を求められてるかもしれないです。当社はAI事業だけでなく、さくらのクラウドがガバメントクラウドに採択されたりとか、インフラ周りの仕事もいろいろなものがある状況なので、AIに限らず当社にご興味があればぜひご一緒させていただきたいなと思っています。ご応募をお待ちしています。(参考:さくらインターネット採用サイト)
まとめ
質問が集まるか少々不安でしたが、やってみると時間内に消化しきれないぐらい多くの質問をいただきました。内容も多岐にわたっており、リアルなAIインフラ作りの実情を感じてもらえたのではないかと思います。ご質問いただいた皆さん、登壇いただいた谷さんと井上さん、ありがとうございました。
土屋電波局 〜なぜ私たちはコミュニティに集まるのか〜
本日のもうひとつのセッションが「土屋電波局 〜なぜ私たちはコミュニティに集まるのか〜」です。今回はJANOGミーティングに併せて開催していることにちなんで、JANOGなどのコミュニティで活動している方々に登壇いただいて話を伺いました。偶然ですが両社からの登壇者がいずれも土屋さんだったため、このような演題になりました。登壇者は以下の方々です。
- 土屋師子生(アリスタネットワークスジャパン)
- 土屋太二(show int / さくらインターネット)
- モデレーター: 法林浩之(さくらインターネット)
こちらのセッションは、モデレーターを務めた筆者が事前にお題をいくつか用意し、それについてお二人に回答していただく形で進行しました。抜粋して紹介します。(以降、アリスタの土屋さんを「ししお」、さくらの土屋さんを「たいじ」と表記します)
私とJANOG
はじめに、自己紹介を兼ねて、お二人にJANOGとの関わりをお話しいただきました。
ししお: 1997年にJANOGが設立されてメーリングリスト(ML)ができたときに参加しました。当時はリコーテクノネットという会社にいたんですが、JANOGは怖いところだなぁと思いながらただメールを眺めているだけでした。それからCiscoへの転職を経てJANOG24(高知)で初めて現地参加し、続いてJANOG25(新潟)で初めての発表、以後JANOG58まで連続で発表しています。スタッフとしてもJANOG26(恵比寿)からほぼ毎回関わっており、チェア(委員長)も何度か務めました。そして今回のJANOG58ではついにホストとして参加させていただいてます。
たいじ: 私は2011年に新卒でBIGLOBEに入社したんですが、そこで近くにいた先輩が当時JANOGの会長を務めていた川村(聖一)さんで、「JANOGっていう面白いイベントがあるから行っておいでよ」みたいなことを言われて参加したのがJANOG28(日本橋)でした。で、その次のJANOG29(和歌山)のときに「もう一般参加は経験したから次はスタッフとして参加だね」と言われてスタッフになりました。それ以後はずっと皆勤で参加していて、スタッフや講演や実行委員長もやらせていただきましたし、さらにハッカソンだとか今回はチュートリアルなどもやっています。
JANOGの第一印象
−− かなり昔の話になってしまいますが、JANOGに対する第一印象みたいなものを教えてください。
ししお: 入った当時は怖かったですね。いろんな会社の人がML上でBGPの話で盛り上がって殴り合うみたいな雰囲気があったので怖かったなっていう感じです。
−− 怖くなくなっていった過程はどういう感じなんですか。
ししお: 今でも怖いですよって言うとなんか嘘みたいに聞こえますが(笑)、登壇などをしていくようになり、それでもしばらくは怖いなと思ってましたが、徐々に自分も怖がられてるんじゃないかと気づき始め(場内笑)、あとは若い人がどんどん入ってくるんで僕が怖がってるわけにはいかないだろうというのもありました。あとはみんな飲んだらいい人だなっていうのもあって、怖くなくなっていきましたね。
−− 現場に行くようになってからですかね。
ししお: やっぱりそこはあると思います。あと自分で発表をすると、参加者から話しかけてもらえるようになりますね。そこが大きいかなと思います。
たいじ: 僕も最初はめちゃめちゃ怖かったですね。行く前が一番怖かったです。プログラムの講演者などを見ると本当に名だたる企業というか大手のキャリアさんとかが並んでて、恐ろしかったですね。そんなこともあって初回は結局ただのセミナーぐらいにしか感じてなかったんですけど、2回目の参加でスタッフをやったときに他のスタッフの人たちといろいろ話す中で、なんかやたら楽しそうというか、大人ってこんなにキャッキャキャッキャするんだとか(場内笑)、楽しそうにお酒飲むんだと思って、それが衝撃でしたね。そういったことを繰り返す中で慣れていきました。
登壇するようになったきっかけ
−− お二人ともそのうち登壇するようになってくるわけですが、その辺のきっかけってどういうところにあったんですか?
ししお: 当時はCiscoにいたんですが、業界に対していろんな貢献をしていきなさいという目標が設定されていました。自分では5年後ぐらいに発表とかできたらいいなぁと思ってたんですが、当時ソフトバンクにいた印南鉄也さんと話をする中で「ししおちゃんJANOGで発表してみなよ」と言われ、Ciscoから見るとソフトバンクはお客様なので断れなくて(場内笑)、それでヤマハの方とジュニパーの方と印南さんと私の4人で発表したのが最初です。

−− 最近のJANOGは応募から選ぶことが多いと思いますが、この頃はどうだったんですか?
ししお: この頃は、プログラム委員が考えてプログラムをプロデュースするっていう感じだったと思います。当時はスタッフじゃなかったんで詳しいことはわかりませんが、なんか呼び出されて「発表してよ!」みたいな感じで、結構プレッシャーを感じながら引き受けた覚えがあります。
たいじ: 僕の初登壇はJANOGじゃなくてSDN Japanっていうイベントでした。当時所属していたBIGLOBEはその頃SDNの開発をしていて、私はそこのメンバーだったんですが、SDN Japanを初開催するにあたり川村さんと一緒にスタッフとして呼ばれて、プログラムを組む中で「つっちーしゃべったら?」ということで初登壇が決まりました。しかもそのときパネルディスカッションのモデレーターをやったんですよね。さくらの大久保さんとかと一緒に登壇したんですが、こっちはまだ入社2年目ぐらいでVLANもよくわかってないしOpenFlowも覚えたばかりなのにっていう状態で、いろいろ助けてもらいながら登壇しました。(当時のプログラム。1日目14:15からの「買い手からみたSDNへの期待と課題」がそれです)
登壇のおもしろさ
−− お二人とも相当な数の登壇を経験されていますよね。登壇を続けてきたのは何か面白いとか得られるものがあったからだと思うんですが、そのあたりはどうですか?
ししお: いろんな人の前で発表するとなると資料とかの精査をするじゃないですか。Ciscoのときもアリスタでも、社内で説明に使っているドキュメントをなるべく皆さんにわかりやすい言葉で説明したり、とっつきやすいテーマに変えたりして話すのは工夫でもあるので、そこが面白いというのがひとつですね。それから、ここでもさくらの大久保さんの名前を出しちゃいますが、大久保さんっていつもニコニコしながら質問用のマイクに立って、そこで発言したときの一撃が鋭いんです。こっちは資料をすごく精査して作っていて、そこにはその技術に対しての気持ちも入ってるんですが、それに対してJANOGや運用のコミュニティの方々は自分とは違う視点でいろいろ言ってくれるので、そこがやっぱり面白いかなと思います。
たいじ: 発表するといろんな人に喜んでもらえるんですよね。その情報なかったから助かるとか勉強になったとか。社内の仕事をしてると喜んでもらえることってそんなにないんですが、コミュニティだとすごく喜んでもらえるし、聴講者の経験にないような情報を提供できると高い評価をいただいて僕も頑張ってよかったなとか、シンプルにうれしい気持ちになれるっていう、そんなことの延長でいろんなネタで発表することが増えていったっていう感じですかね。
社業との両立
−− ところで、これだけコミュニティ活動をたくさんやっていて、社業との両立ってできてるんですか?
ししお: 僕の場合はコミュニティ活動が仕事に直結してるんですよね。さっき言ったように、もともとやっている仕事を一般化して伝えることができるのはひとつのメリットだと思いますし、先ほど谷が言ったようなプロダクトの話だとか運用のフィードバックを受けたものを入れるとそのまま資料として使えるので、割と両立しやすいというか、いい感じで両立できてますね。
たいじ: 僕も、コミュニティも仕事のうちと思ってやってる感じですね。他の会社の人と何かを作り上げるってもう普通に仕事じゃないですか。一緒にやってる人たちもビジネスパートナーですし。コミュニティに出るときも会社の代表という意識で出ていて、自分が動かないとみんなが止まっちゃうわけじゃないですか。そうなると会社としても良くないなと思うので、仕事として普通にやってるっていう感覚ですね。あと講演に関しては、コミュニティで講演すること自体が仕事の一部になるので、あまりコミュニティだからとか自分の仕事はこっちだからっていう区別はしなくなりましたね。
コミュニティ疲れとかないの?
−− ところでお二人には「コミュニティ疲れ」みたいなものはないんですか?
ししお: フィジカルな疲れはありますけどね(場内笑)。今日も朝から本番だったし、今回はNOCでもアリスタの製品を使っていただいていて、トラブルがあると対応したりして眠れないみたいなことはあったりしますが、そんなのは大した話ではないですね。それよりも、コミュニティ疲れとはちょっと違うけど、たたかれたりすると心が病んだりしますよね。そこに座ってるささけん(佐々木健さん)と「なんで俺はたたかれるんだろうね」みたいな話をしたり、先ほど話題に上がった川村聖一さんのようなスーパースターみたいな人にあって僕にないものは何だろう、みたいなことを考えたりすることはありますが、それぐらいですね。フィジカルには疲れるけど、コミュニティ疲れはあんまりないですね。
たいじ: JANOGはやっぱりお祭りなんで、体力的には普通に疲れます。でも半年に1回パーッとやって、疲れたから次はちょっと休憩しようかなとか、スタッフに疲れたから次は講演者として関わるとか、その次は新しい何か、例えばハッカソンイベントを立ち上げるとか、いろいろポジションを変えながらもゆるく継続する感じでやっていて、そんなに疲れるほど一つのことをやり続けないようにはしてますね。
コミュニティのここがおもしろい!
−− 最後にお聞きしたいのが「コミュニティのここがおもしろい!」。結局どこが面白くてずっとやってるんですか?
ししお: やっぱり異種格闘技みたいなところですかね。僕の場合、仕事で会う人はISPのお客さんが多いんですけども、JANOGの参加者ってそういう人だけじゃないですよね。そういった方ともいろいろお話ができるっていうのがおもしろいのと、そういった人たちが繰り出すパンチ(発言)がおもしろいんですよ。こんなことやるんだ!みたいな、そういうおもしろさがあります。
たいじ: 僕は仲間や友達ができるのが一番大きいかなと思っています。例えば、自分の仕事で困ってることって、意外と社内で共感を得られることがないっていうケースが結構多いんですよ。例えばネットワーク自動化がうまく進まなくてどうしようって言っても、ネットワーク自動化をやってる人って実は社内に1人とか2人とかしかいなくて、自分1人でハマってるけど誰も気づいてくれないみたいなところがあるんですが、こういうコミュニティに来ると同じような立場で困ってる人が必ずいるんですよね。同じ課題を持って同じところで苦しんでる人がいて、そこで情報交換も含めて仲良くなると。同じ会社ではないけど同じ目標に向かって頑張っている仲間が見つかると、また別のことを共有したり一緒にイベントを立ち上げるとか、そういうところにつながったりするかなと思うんで、そういうのってコミュニティをやってないとなかった世界線だなという感じはしますね。
参加者からの質問
セッションの最後に、参加者からも質問を募ってみました。
−− ししおさんがJANOGで発表してくれる情報はいつも大変参考になっています。どのように情報収集されているのでしょうか?
ししお: ありがとうございます。とても励みになります。情報収集はいろんなところを見ています。例えばIETFのメーリングリストだったり、NANOGとかも見ますし、それから社内のユースケースなども見て情報収集してることが多いかなと思います。やっぱりメーカーなのでいろんな事例が集まってきますし、最新のチップの情報なども集まってくるので、そうして集めた情報を一般化させてるっていう感じになります。
−− JANOGに理解ある上司と会社が欲しいのですが、どのように説得するのがよいでしょうか?
たいじ: これは、理解のある上司がいる会社に転職するのが一番いいと思います(場内笑)。
ししお: 今回アリスタでホストをさせていただいてますけども、そういった意味では上司や、それからコミュニティ活動に対する貢献を後押ししてくれるという点で、僕が所属してた会社って非常に恵まれてるのかなと思います。
−− JANOGの最近の盛り上がりはどのように見ていますか?
ししお: 僕が初参加したのは高知のJANOGで、その後に香川の高松でもJANOGをやり、今回は四国としては3県目になります。今回ホストをやらせていただくにあたり愛媛県の方々と話をする中で、やっぱり四国なので他の県と比べてどうですかという話になるんですが、過去の四国開催をみると参加者が350人とかそんな感じだったので、それと比べると(今回は3000人以上が参加しているので)盛り上がりっていう意味ではすごく盛り上がってるなと思います。それから、その間ずっとJANOGのスタッフなどもやってきた中で思うのは、コロナ禍でもオンラインで続けたっていうのが大きかったかなと思います。
−− コミュニティ活動はご家族から理解されていますか?
たいじ: まあ苦い顔されますね(場内笑)。特に子供の具合が悪かったりすると厳しい顔をされますが、JANOGは年に2回だけだし、そういう仕事だからって言いくるめてます。
ししお: 僕は子供が割と大きくなってからコミュニティに参加したのでそういった意味では問題なかったですけども、コロナ禍でみんなオンラインになったときに、スタッフミーティングもオンラインになったんですよね。ミーティングは夜の7時から始まって9時ぐらいに終わり、その後で飲み会をするんですが、オンライン飲み会をやったらめちゃくちゃうるさいぞと言われ、そのときは家族の理解はまったく得られなかったですね(笑)。
−− 今後も理解を得るためにしておいた方がよいことはありますか?
たいじ: 普段から徳を積んでおくしかないかなと(場内笑)。子供の送り迎えは全部やるとか、奥様は休日は休んでいただいて僕が子供を連れ回すとか。
ししお: 僕はもう子供が大きくなったので家族の面倒を見るとかは大丈夫かなって感じですが、やっぱり子供の面倒はしっかり見た方がいいかなと思います。
まとめ
このセッションのサブタイトルは「なぜ私たちはコミュニティに集まるのか」です。お二人の話からは、コミュニティに参加することで共通の話題を持つ仲間ができ、そこで得られる情報が仕事にも役立ち、さらに今後のキャリアにもつながるなど、さまざまなメリットがあることが感じられました。そして、それを経験し理解できる人がコミュニティに集まるのだと思いました。筆者自身もコミュニティで育ってきた人間です。これからも多くの人に良いコミュニティ体験をしてもらい、今後に役立ててほしいと思います。
おわりに
今回はアリスタネットワークスとの共同開催ということで、会場選定や登壇者の派遣、懇親会など、さまざまなところでアリスタの皆さんにご協力いただきました。ありがとうございました。ホストを務められたJANOG58も盛況でよかったです。また、さくらの夕べは全国各地で開催していますが、愛媛県での開催はこれが初で、新たな開催実績を作ることができたのもよかったです。これからも全国の方々と交流を深めていきたいと思いますので、お近くで開催の折はぜひご参加ください。
それではまた次回のイベントでお会いしましょう!






