同じ匂いのするチーム同士のLT交流戦! 「さくらの夕べオンライン 〜サイボウズさんといっしょ!〜」レポート

11月13日(金)の夜に「さくらの夕べオンライン 〜サイボウズさんといっしょ!〜」を開催しました。サイボウズのコネクト支援チームの皆さんをお迎えし、筆者も所属するさくらインターネットのコミュニティマーケティングユニット(コミケユニット)のメンバーとともに、各々の取り組みをライトニングトーク(LT)形式で紹介するというものです。こちらのイベントの模様をレポートします!

試合形式

LT大会は、サイボウズ・さくらから5人ずつが出場し、先攻・サイボウズ、後攻・さくらインターネットで、両社が交互にLTをする形式で進行しました(ホームチームであるさくらが後攻なのはプロ野球を参考にしました)。また、発表テーマが近そうな人が同じ巡目で発表するように組みました(これは紅白歌合戦を参考にしました)。各自の持ち時間は5分です。それほど厳しい打ち切りなどの制限は設けていなかったのですが、皆さん発表慣れしているからか、だいたい5分程度で終わるように調整していました。

チーム運営:久宗さん vs 前佛さん

1巡目は両チームが何をやっているかがわかるようにということで、チーム運営に携わる人同士の対戦となりました。

サイボウズからは久宗大雅さん。演題は「コネクト支援チームのいま」です。コネクト支援チーム(コネT)は7人で、リーダーを置かずメンバー間がフラットな関係なのが特徴です。主な活動内容は、ミートアップの開催(今年はほとんどオンライン化)、自社イベントの開催支援、会場提供、スポンサー協賛、技術ブログやSNSの運用などです。久宗さんはコネTのチーム運営を担っていて、会社の方針からチームの活動へのブレイクダウン、活動から理想へのフィードバック、外的/内的要因による変化をチームに取り入れることなどをやっています。運営に携わる中での所感として、メンバーの活動レベルは高いが単独/単発で終わってしまうことが多いので、各々の活動を結びつけてもっと効果を高めたいと述べました。(久宗さん発表資料)(久宗さん発表動画)

さくらインターネットからは前佛雅人さん。演題は「コミケユニットのお仕事~オンライン前提時代にエバンジェリストチームは何を考え、何を目指すのか~」です。コミケユニット(旧エバンジェリストチーム)が目指すのは「さくらのファンを増やす」で、主な活動内容はコミュニティ活動支援、情報発信、イベント出展・企画などです。今年はオンラインイベントの経験を積むために社内向けのLT練習試合を実施したり、オンラインでのユーザ同士のつながりを目指して「さくらのみんな会議」を開催したりしました。メンバーが北海道/東京/大阪に分散しているのでコミュニケーションはslackが中心ですが、顔を合わせる機会を作るために毎週1時間ほどZoomに集まって協働作業を行っているのも特徴の1つです。そして、前佛さんは肩書上は「リーダー」となっていますが、自身は「チーム内総務」という認識で活動しているとのことです。(前佛さん発表動画)

オンラインイベント:上岡さん vs はやしさん

2番目の対戦はオンラインイベントがテーマです。

サイボウズからは上岡真也さん。演題は「オンラインイベントを半年運営して気づいたこと」です。サイボウズでは今年5月からオンラインイベント「Cybozu Tech Meetup」を立ち上げ、これまでに8回実施しています。上岡さんはこれを運営する中で気づいたこととして、オンラインだと社員の参加ハードルが下がり熱く応援してくれる(リアルイベントだと社外の方もたくさんいる会場に社員がぞろぞろ行くことはやりづらい)、オンラインならではのコンパクトなテーマ設定をすることで開催ハードルを低くできる、会社の制度や現場の文化など自社開催だからこそ伝えられるコンテンツがある、といった点を挙げました。(上岡さん発表動画)

さくらインターネットからは「withコロナ時代の動画配信での企業イベントを盛り上げよう!」という演題ではやし(ま)さん。現在は、動画共有プラットフォームの登場やPCの動画処理性能の向上などによって劇的に動画配信の敷居が下がり、企業からも動画での情報発信ができる最大のチャンスがやってきています。それを実践している例として、Cybozu Inside OutForkwell【エンジニア向け勉強会チャンネル】、mixi Tech Talkなどを挙げました。また、これらの動画を手際よく見る方法として、YouTubeのショートカットキーの数々を紹介しました。miroというオンラインホワイトボードを使っての発表も斬新でした。(はやしさん発表動画)

技術コンテンツ制作:酒井さん vs 仲亀さん

3番目の対戦は技術コンテンツ制作に関する話題で両社から登壇しました。

サイボウズは酒井康晴さんによる「エンジニアがエンジニアサイトを立ち上げた話」。「Cybozu Tech」というサイトについての発表です。立ち上げの経緯は、コネTの活動のさまざまな場面で使える使い勝手の良いサイトがなかったことです。サイトの制作にあたっては、酒井さんが勉強しながら楽しく作りたいということでGatsbyやDockerを使いました。最初は技術ブログへのリンクとボウズマン(サイボウズのキャラクター)のみでスタートしたサイトも、今ではスライド、動画、技術情報がまとまったサイトになり、運用も複数人で担うようになりました。今後は「サイボウズのエンジニアを知りたければCybozu Techを見ればわかる!」状態にしたいとのことです。(酒井さん発表動画)

一方、さくらインターネットは仲亀拓馬さんによる「全エンジニアにおくる最高の執筆環境の作り方」。スケジュールの都合により事前に収録した動画で発表しました。内容は技術ドキュメントの執筆に便利なツールの紹介です。まずベースとなるのはVisual Studio Code(VS Code)で、そこにtextlintdraw.ioを追加します。textlintは自然言語(例えば日本語)の文章チェックツールで、例えば「、」が多いとか冗長な表現を修正してくれます。さらに自分でルールを追加することで自分好みのチェックも行えます。draw.ioはWebで利用できる高機能な作図ツールです。いずれもVS Codeの拡張機能として用意されており、これをインストールすることでVS Code上で利用することができます。(仲亀さん発表動画)

技術ブログ運営:風穴さん vs 法林さん

4番目は技術ブログ運営に携わる2人による対戦です。

サイボウズは風穴江さんによる「サイボウズのエンジニアブログが続いているワケ」。サイボウズの技術ブログのうち「Cybozu Inside Out」の運営に関する話です。2009年から運営されており、最近は毎週1本ぐらいのペースで記事を公開しています。継続的に記事を出すための方策として、当初は部署ごとの当番制などを実施していましたがお互いにつらいので、2016年ぐらいから運営方針を変えました。そこではSEOやノルマ管理や特別報酬の支給などはやらず、社内で面白そうな話題を見つけては積極的に後押しして執筆につなげることを地道に続けました。その結果、「エンジニアが書きたくなる風土」を作ることができ、継続的に記事を制作することができているとのことです。(風穴さん発表動画)

さくらインターネットは筆者が「さくらのナレッジの裏側」と題して発表しました。「さくらのナレッジ」は当社が運営するエンジニア向け情報サイトです。運営における課題の1つに、エンジニアが執筆する時間を取れないために記事制作が進まないというものがあります。そこで対策として、技術イベントでの発表をUDトークで文字起こしして、それをもとに技術記事を制作するという手法を試みています。約15分のトークで1本分の記事が作れるぐらいの文字数になります。原稿作成のノウハウとして、技術用語のUDトークへの単語登録、音声のライン入力、頻出する言い回しの置き換えなどの話もしました。今後はマニュアルを作って、エンジニア自身がこの作業をできるようにしたいと考えています。(筆者発表資料)(筆者発表動画)

コミュニティと教育:西原さん vs 三谷さん

最後の対戦は、このイベントを企画した2人が登場しました。

サイボウズからは西原翔太さん。演題は「課外活動と地方ITコミュニティをつなげることの効果」です。西原さんはかつて北海道で高校の先生をしながらコミュニティ活動をしていた経験から、「全国どこでも勉強会ある未来を」を目標に活動しています。地方にはまだ十分なIT環境や学習環境が整っているとは言えないこと、新しい知識を積んで前に進むには1人では難しく他人の助力が必要なこと、学校や部活はそのための良い場だが助けてくれる人が先生や友達にとどまってしまうので、それ以外のコミュニティ活動も必要なこと、企業が地域コミュニティ活動に関わることで、学生にも企業にもメリットがあることなどを話しました。(西原さん発表動画)

さくらインターネットからは三谷公美さん。「さくらの学校支援プロジェクト石狩での3年間を振り返る」と題しての発表です。さくらの学校支援プロジェクトは、2017年に新学習指導要領で「2020年から小学校でのプログラミング教育を必須とする」と告示されたことを受け、それまでに石狩市内の小学校の授業でプログラミング教育が行えるようにすることを目標に始まったものです。発表ではプロジェクトの活動を時系列を追って振り返りました。北海道だけでなく東京や大阪でもイベントを実施したこと、大阪府門真市でも支援活動が始まったこと、今年は活動を地域に根づかせるために石狩市の藤女子大学と共同で授業を行っていることなどの話がありました。このようなCSR活動を通して、石狩市への恩返しや、プログラミング教育を正しく伝えること、そして一般の人にもさくらインターネットを知ってもらうことを目指しています。(三谷さん発表動画)

質疑応答タイム

全員の発表が終わった後、参加者からいただいた質問に両社のメンバーが回答する時間を設けました。質問と回答を紹介します。

サイボウズから見てさくらインターネットのいいところ、さくらインターネットから見てサイボウズのいいところを挙げてください

こちらの質問に対して、まずサイボウズの皆さんが回答しました。皆さんの回答に共通していたのは「さくらインターネット(コミケユニット)の活動はサイボウズ(コネT)でやっていることに近いので参考になる」というものです。そういえば同じイベントに協賛していて展示ブースが近接していることもよくあります。その他のコメントとしては、社会への貢献がいろいろな活動から見える、Twitterやウェブで社員の登壇を細かくフォローしているのが良い、といったものがありました。

一方、さくらインターネットからは、我々も同じくサイボウズの活動を参考にしていることに加えて、東京オフィスの会議室を多くのイベントに提供しているのがすばらしい、ブログを通して社内の技術だけでなく文化も伝えているのが良い、サイボウズのサービスがイケている(早くからサブスクリプション的な価格設定に挑戦しているなど)、といった回答がありました。

こうして見ると、会社は違っても、社内での役割や活動内容に共通点が多く、それが同じことをやっている者同士の共感につながっているように思いました。

オンラインのイベントや企画で大変だったことはありますか?

今年に入ってオンラインイベントが大幅に増えましたが、急な展開だったこともあり、回答を見ると両社ともまだ暗中模索の段階にあるようです。まず挙がったのが意思疎通の難しさです。会場でのイベントと違って空気感を共有できないという問題を感じており、しかも現時点ではツールで解消できそうな感触もなさそうです。最近は会場セッションと配信セッションの両方を行うハイブリッド型のイベントもありますが、オンラインのみのイベントよりもハイブリッドの方が運営の難易度がさらに上がるようです。

それから、オンライン化に伴って変化が見られるのが懇親会です。会場でイベントをやっていたときは懇親会を併催することが多かったのですが、オンラインになってからは、少なくともCybozu Tech Meetupやさくらの夕べでは懇親会を実施していないケースが多いです。(Meetupと銘打っているのにミートしていないというツッコミもありましたが(笑))

オンラインイベントは、情報を広報することに関しては会場でのイベントよりも効率が良く、セミナーの類は会場でやっていたときよりも多くの人に見てもらえていますが、参加者、特に知り合いではない人との新たな接触という観点では、まだうまく機能していないという感触です。ここは引き続き試行錯誤を重ねるとともに、サイボウズの皆さんなど立ち位置の近い方々と情報交換することで、より良い方法を探っていきたいと思います。

この日は試行錯誤の一環として、はやし(ま)さんが幹事になり、Zoomのブレイクアウトルームを活用した懇親会をやってみました

おわりに

質疑応答のところでも書きましたが、コネTとコミケユニットは予想以上に活動の目的や内容が似通っていて、いわば「同じ匂いのする人たち」だったようです。皆さんの発表を聞いていても同志ならではの共感するポイントがたくさんあり、だからこそこれからも継続的に対話し、お互いによりよい活動ができればと思いました。サイボウズの皆さん、このたびはご協力いただきありがとうございました!

次回予告:さくらの聖夜

そして、いろいろあった今年も早くも年末。年末といえばクリスマス。クリスマスと言えば「さくらの聖夜」です。今年は12月25日(金)にオンラインで開催します! 例年のように会場でお会いできないのは残念ですが、その代わりに、フルリモートワーク化に対応した社員たちが全国各地から集まり、寒さを吹き飛ばす熱いトークを繰り広げます! そして、オンラインでも懇親会をやります! コロナ禍により対面ではお会いしづらい中ですが、皆さんとお話しができるとうれしいです。さくらの聖夜、初の全面オンライン開催です。一緒に楽しいクリスマスを過ごしましょう! 参加登録はこちらで受付中!

それではまた、次回のイベントでお会いしましょう!