さくらの学校支援プロジェクトを振り返る【第6回】さくらの学校支援プロジェクト 活動の振り返り

さくらの学校支援プロジェクト 活動の振り返り

連載の最終回は、石狩市への小学校プログラミング教育支援プロジェクトおよびさくらの学校支援プロジェクトの活動全体を振り返りつつ、こどもプログラミング通信で紹介してきた教材や、出前授業および教員研修などで使用した各種資料などを掲載します。

4年にわたる活動の中で作ってきた様々なコンテンツは、これまでプロジェクトが運営するWebサイト「さくらのプログラミング教育ポータル」で公開してまいりました。現在はプログラミング教育に関する情報をまとめた優れたポータルサイトがたくさん公開されており、先生方が必要な情報を手軽に得ることのできる環境が整ったことを受けて、2021年4月末日をもって「さくらのプログラミング教育ポータル」を終了することにいたしました。

さくらインターネットによる学校支援は、社会の状況変化に応じて形を変え、これからも新たなステージでの支援を続けていきたいと考えております。

「こどもプログラミング通信」で紹介したプログラミング教材一覧

こどもプログラミング通信で紹介したプログラミング教材を一覧にしました。ぜひ、日々の学習活動にお役立てください。

第1号 ルビィのぼうけん プログラミング的思考を学ぶことができる絵本 アンプラグド
第2号 CodeMonkey プログラムでキャラクターを動かしてクリアしていくゲーム ビジュアル
第3号 IchigoJam プログラミング学習用の子ども向けコンピュータ フィジカル
第4号 KOOV カラフルなブロックを組み合わせて作るプログラミングロボット フィジカル
第5号 プログラミング教育関連書籍 教育の専門家によるプログラミング教育のアイデアをまとめた書籍類 その他
第6号 プログル 日本のプログラミング教育のために作られたブロックプログラミングツール ビジュアル
第7号 Scratch ブロックを組み合わせて絵を動かすビジュアルプログラミングツール
既存の教科でプログラミング
ビジュアル
第8号 ソビーゴ IchigoJamで操作するプログラミングロボット フィジカル
第9号 プログラミングゼミ 低学年向けに作られたブロックプログラミングツール ビジュアル
第10号 micro:bit LED・ボタン・センサーを搭載したボードコンピュータ フィジカル
第11号 地理院地図(電子国土Web) 社会科の地域学習などへのデータ活用事例 その他
第12号 Why!? プログラミング Scratchを題材にした教育用テレビ番組 ビジュアル
第13号 ヤマレコ データを活用し課題解決を図った事例
ビッグデータで登山道を修正した地形図をはじめて公開
その他
第14号 Minecraft: Education Edition 仮想空間で建築や冒険ができるゲームの教育用エディション
Minecraftでプログラミング① 立命館小学校
ビジュアル
第15号 Sphero SPRK+ タブレットから遠隔操作できるボール型プログラミングロボット フィジカル
第16号 Viscuit 文字を使わないビジュアルプログラミングツール
相模原市立南大野小学校2年生国語「スイミー」
ビジュアル
第17号 Ozobot 紙やタブレットに書かれた線を読み取って動くプログラミングロボット
岡山市立岡山中央小学校6年生 総合学習の時間
フィジカル
第18号 MESH 様々な機能のブロックを無線でつなぎ、プログラムによって操作する教材
筑波大学附属小学校「電気を有効に使うためのプログラムを考える」
フィジカル
第19号 Kintone 4年生の国語単元「新聞を作ろう」で使用された事例 その他
第20号 embot 段ボールでできたプログラミング学習用ロボット教材 フィジカル
第21号 Sphero BOLT 光センサーとデジタルコンパスが追加されたSphero SPRK+の上位機種
教科での活用事例(国語、算数、理科)
フィジカル
第22号 PIECE 物理的なモジュールをつなげて電子回路を作るフィジカルプログラミング教材
3年生国語「報告文を書こう~くらしの中のプログラミング」実践事例
フィジカル
第23号 Scratch 最新版Scratch3.0のご紹介
小学校の授業で使えるスクラッチプログラム事例
墨田区立隅田小学校における総合的な学習の時間での実践事例
ビジュアル
第24号 Viscuit 学校限定Windowsアプリのご紹介 ※「学校向けwindowsアプリ」の新規配布は終了いたしました。 ビジュアル
第25号 プログル6年理科電気キット 「電気の利用」に必要なものを集めた教材 フィジカル
第26号 Micro: Mqueen micro:bitで制御するタイヤ式プログラミングロボット フィジカル
第27号 ビスケットを活用したB分類での授業実践紹介サイト B分類(学習指導要領に例示されてはいませんが、学習指導要領に示される各教科等を指導する中で実施するもの)の授業実践事例 ビジュアル
第28号 Springin’ 絵を描いて命令をつけていくビジュアルプログラミングツール
北九州市立木屋瀬小学校の実践
ビジュアル
第29号 littleBits 複数の電子回路を組み合わせて命令を作るフィジカルプログラミング教材
東三鷹学園三鷹市立第一小学校の実践(図画工作)
その他実践事例(ダウンロードの項にPDFへのリンクあり)
フィジカル
第30号 プログル 算数に平均値コース・最頻値コース・中央値コースが追加されたお知らせ ビジュアル
第31号 LINE entry LINEが開発したビジュアルプログラミングツールと指導案のセット ビジュアル
第32号 アルゴロジック プログラミングの基本となる論理的思考(アルゴリズム)を学ぶゲーム
宮城県丸森町立耕野小学校の実践
ビジュアル
第33号 テキシコー プログラミング的思考をわかりやすく伝えるNHKの番組(NHK for Schoolで視聴可能) アンプラグド
第34号 こくり プログラミングによりしゃべらせたり動かしたりすることのできるプログラミング教育向けロボット
自分たちの故郷を、自分たちの手でより良くしよう!  ~ロボットにプログラミングして高尾山の魅力を伝えよう 八王子市立浅川小学校~
フィジカル
第35号 ロイロノート・スクール 「思考力」「プレゼン力」「英語4技能」を育てる 授業支援クラウド
算数:面積~広い方が勝ちの陣取りゲームを作ろう~
その他
第36号 micro:bitで新型コロナ対策PBL 新型コロナウイルス対策をテーマにした問題解決型学習(PBL)をおこなうヒントとなるmicro:bit作品集 フィジカル
第37号 めもたんす / Scratch 「Scratch」の、ブロックひとつひとつについて、使い方の実例(ブロックの動きの試し方)を交えて解説しているWebサイト ビジュアル
第38号 考える力を育てる 関西大学初等部によるシンキングツールの活用について解説されているWebサイト その他
第39号 コードモンキーJr. 矢印アイコンを使った直感的な操作ができ、低学年でも使えるプログラミング教材 ビジュアル
第40号 ロジカルニュートン 遊びながら論理的思考や特徴を把握する認識力・判断力などを身につけること目指すパズルシリーズ アンプラグド
第41号 普及版 パソコンがなくてもできる! はじめてのプログラミング 付属の「命令カード」を使ってプログラミング的思考に触れられる書籍 アンプラグド
第43号 オンライン授業入門Microsoft Teams&Formsを活用した遠隔授業と学生サポート 遠隔授業をどのような形式でおこなうのか、資料はどのように作成するのか。学生とのコミュニケーションはどうやって行うのかが書かれた書籍 その他
第44号 ScratchJr Scratchから機能を絞り、表記などを工夫することで5歳から7歳の幼い子どもたちにも使えるプログラミング教材 ビジュアル
第45号 Microsoft Teams TV会議、チャット、資料の共同編集などの機能をを集めたクラウド型コラボレーションツール
東京学芸大学附属小金井小学校ICT部会 YouTubeチャンネル
その他
第46号 CyberPi(サイバーパイ) フルカラーディスプレイや、スピーカー、ジョイスティック、音声認識にも使えるマイク、光センサー、加速度センサーなどが搭載されたマイクロコンピュータ フィジカル
第47号 キューブロイド(cubroid) センサーやモーター、LEDを制御するブロック(コーディングブロック)と、形を作るためのブロック(ビルディングブロック)を組み合わせ、プログラミングできる教材
紅南小4年生総合的な学習指導案 ロボットを使って動かそう
フィジカル

プログラミング教育支援関連資料

小学校プログラミング教育に関する指導案、教材に関する情報や、発表用のスライド、さくらインターネットのプログラミング教育に関する記事に対するリンクです。

利用サービス側の変更により、記載内容と現状に相違がある場合がありますので、ご了承ください。

出前授業指導案・教材

身の回りにあるコンピューターを探そう(低学年向け)

身の回りにあるコンピューターを探そう(高学年向け)

ロボットのお仕事

プログラミング体験(アングリーバード)

プログラミング体験(CodeMonkey)

円と正多角形(プログル)

プログラミング体験(micro:bit)

電気の利用(micro:bit)

研修会用資料

小学校プログラミング教育の手引き」に基づき、重要なポイントの解説や、事例を交えた取り組みイメージをまとめました。

小学校プログラミング教育教員向け研修<基礎知識> from Asakura Megumi
小学校プログラミング教育教員向け研修<学校教育での実践> from Asakura Megumi

各種サンプルプログラム

micro:bitプログラム集

Scratchプログラム集

さくらインターネットの取り組み

プレスリリース

さくらのナレッジ・さくらニュース

メディア掲載情報

講演スライド

4年間の活動を振り返って

2021年1月14日の成果発表会では、石狩市への小学校プログラミング教育支援プロジェクトおよびさくらの学校支援プロジェクトの4年間の活動を振り返り、4つの成果を報告しました。社長の田中からはプロジェクト全体の総括を。取締役の前田からは、社長室として今後の学校支援活動の取り組みを話しました。

石狩市への小学校プログラミング教育支援プロジェクト・さくらの学校支援プロジェクト 4つの成果

学校・教育委員会に変化をもたらした

活動を始めた当初、石狩市教育委員会はプログラミング教育に対して力を入れているという状況ではありませんでした。他の多くの自治体と同じように、「何が始まるんだろう?」という懐疑的な見方が大半だったのではないかと思いますし、動き出すのも周りの様子を見たり、文科省や道教委からの指示があれば動くという状況だったと認識しています。

その状況から、胸を張って「先行事例」と言える情報発信まで行うように変化していった背景には、私たちの働きかけが大きく影響していると思います。

また、当初プログラミング教育の効果や、自分たちができるものなのかどうかといった点で懸念を示していた多くの先生方が、我々が提供する出前授業を見ることで「自分たちにもできそう」という感覚に変化していったことも、大きな成果と言えるのではないかと思います。

【参考】プログラミング教育に対する現場教職員の意識変化について ~プログラミング出前授業実施後の感想~

IT業界と学校・教育委員会の橋渡しをした

CSAJプログラミング教育委員会では、現場の先生方や教育委員会がプログラミング教育の推進に対して、どんな支援を必要としているのかを知るため、我々の出前授業でのエピソードや、アンケート結果などを活用しました。

また、ITエンジニアやIT企業を中心に、世間一般の「プログラミング教育」のイメージと、実際に学校で行われる教育にはギャップがあることを伝え続けた​​ことには、相互協力のための橋渡しとして大きな意義があったと思います。

さくらインターネットのブランドイメージ向上に貢献

地方紙の新聞やTVなどにもプログラミング教育に対する取り組みが取り上げられました。また、これまでは接点のなかった教育分野のメディアからの取材を受けるなど、広報機会を広げることに貢献できました。

参加メンバーの成長

参加メンバーからは1人ずつ自分自身がこのプロジェクトに関わって何を得られたのかを話しました。自分自身の成長を自分で認め、できたことを言語化して発表することにはとても大きな意味があります。これは出前授業や教員研修でも大切にしてきたことです。

メンバーが活動によって得たことは、今後どの業務に就いても活躍の軸となるマインドに通じていると感じました。

  • さくらインターネットがインターネット企業としての社会的責務を果たすことにつながったと実感
  • 様々なバックグラウンドを持つメンバーとの協働プロジェクトでの学びがあった
    • 新しいことへのチャレンジ
    • 部署横断でのコミュニケーション
  • プログラミング教育や学校教育の課題を深く考えた
    • 学習指導要領を知る
    • 学校現場の困りごとを知る
  • プロジェクトの評価が仕事のやりがいにつながった
  • 未来のユーザ(子どもたち)の視点、考え方を知ることができた
  • これまで接点のなかった人たちとのつながりが得られた
  • 自分の本当にやりたいことが見えてきた

プロジェクトの総括

  • プロジェクトの成果発表を行い、みんなで達成感を感じることはとても大切なこと
  • 社会と会社とのつながりの重要性を感じることができる取り組みだった
  • 新たなチャレンジや、いつもと違うメンバーでの業務、「業務」とみなされていない様々な取り組みへの関わりがもたらす社員の成長や気付きがあった
  • プログラミング教育支援を通じて、急激な社会の変化を感じることができた

これからのさくらの学校支援活動

  • さくらと学校教育とはこれからも密接な関係、小学校の支援に限らずもっと大きなスコープで考えていきたい
  • DXがこれからどんどん浸透していき、若い方の育成をしつつ、私たちも若い方々から刺激を受けて変わっていくフェーズになる

おわりに

4年間のプロジェクト活動で蓄積されたノウハウは、この全6回の連載に記録されています。石狩市を中心とした小学校でのプログラミング教育支援を成功させたプロセスや、コミュニケーションの仕方などが、これから支援を始める方や、プログラミング教育のノウハウを知りたい学校などのお役に立てることを願っています。

学校も含めて、日本の社会がDX化を進める必要性は、奇しくも2020年の新型コロナウイルス感染症の流行で切実なものとなりました。学校教育における学びは、学校だけで理想的な形を作るのはもはや難しく、産官学が協力しあいながら、難しい課題を乗り越えていく必要があります。

小学校からプログラミングを始めとする情報活用能力を学んだ子どもたちが、変化の速い時代を幸せに生き、大人である私たちと共に幸せな社会を作っていけるよう、これからもさくらインターネットはDXを推進する会社として社会に貢献していきます。