プログラミング教育必須化 ~さくらの取り組み~ (1) 何が変わるのか、どう変えていくのか

こんにちは、さくらインターネットの大喜多です。

2017年3月に文部科学省が発表した「小学校学習指導要領」に基づき、2020年度からプログラミング教育が必須化されることになりました。これに向けて、さくらインターネットでは、自治体・学校が自走できるプログラミング教育を目指し、石狩市教育委員会・石狩市小学校への支援をおこなっています

本連載では、プログラミング教育必須化に関して、今ある情報を検証しお伝えするとともに、さくらインターネットが実際におこなっている取り組みについてご紹介してまいります。

第1回となる今回は「文部科学省の資料から読み解くプログラミング教育の概要」と「2020年に向けたさくらインターネットの取り組み」についてお伝えいたします。

プログラミング教育必須化とは ~「プログラミング」という教科ができるわけではない~

2020年から小学校で始まるプログラミング教育は「総合的な学習の時間」「理科」「算数」「音楽」「図画工作」「クラブ活動」など、既存の教科に含まれたり、複数教科を横断的に組み合わせたり、学校の裁量により特別に時間を割り当てるなど、学習活動のねらいによってさまざまな形で実施されます。また、この資料には「コーディングを覚えることが目的ではない」と明記されています。

以下は資料からの引用です。

■プログラミング教育とは
子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの。コーディングを覚えることが目的ではない。

■プログラミング的思考とは
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力。

■プログラミング教育を通じて目指す育成すべき資質・能力
【知識・技能】
身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。
【思考力・判断力・表現力等】
発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。
【学びに向かう力・人間性等】
発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。

このように、小学校におけるプログラミング教育では、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、コンピュータの活用を通じて実現できることを考えていけるようになることなどがポイントになります。また、既存の教科の中で取り扱われる場合、教科のねらいをプログラミングの活用により、より深く、主体的に学ぶ活動にしていくことが期待されています。

プログラミング教育というと、突然出てきた話のようにも思われるかもしれませんが、すでに中学校(「技術・家庭」の中に含まれる)・高等学校(「情報」という科目がある)でははじまっているものですし、社会の変化に合わせて教育が対応していくために、これまでの教育の発展系として盛り込まれた内容であると筆者は考えています。

プログラミング教育必須化に向けたさくらインターネットの取り組み

さくらインターネットでは、主に石狩市教育委員会・石狩市小学校に対して「2020年のプログラミング教育必須化までに、石狩市内全小学校の授業で、プログラミング教育が行えるようにする」ことを目標として様々な支援をおこなっています。

出前授業

さくらインターネット社員が小学校の教壇に立ち、学習指導要領の内容をもとに検討したプログラミング教育の授業をおこなうものです。学校のコンピューター室のパソコンを使用した授業や、IchigoJammicro:bitといったボード型コンピューターを使った授業などのほか、「身の回りにあるコンピューターを探そう」といった、コンピューターを用いない「アンプラグド」と呼ばれる形式の授業もおこなっています。

2018年度の出前授業メニュー

プログラミング教育補助

担任の先生が指導案を作成し、ご自身がメインで指導を行います。さくらインターネットは指導案作成や教材のアドバイス、指導内容のアドバイス、授業の補助を行います。担任の先生が自分で授業を作り指導していけるよう、研修(プログラミング指導教員養成塾など)と合わせて進めていきます。今後は、先生方による実践発表、公開授業なども実施できるよう、働きかけを行っていきます。

校内研修

プログラミング教育についての基礎的な知識(学習指導要領の解説、プログラミング教育事例紹介、プログラミング教育教材紹介)を1時間程度で学ぶ、石狩市内小学校教員対象の研修会を実施しています。各研修項目を別の日に20分程度で研修することもでき、忙しい学校現場で取り入れやすい方法を、学校側と相談しながら研修をおこなっています。

その他相談

授業でプログラミング教育を取り入れるにあたっての教材アイディアの相談、アイディアの実現方法に関する技術的な相談、その他現在の支援メニューにない支援の相談など、石狩市内小学校教員が気軽に相談できる窓口を開設しています。プログラミング教育だけでなく、学校でのICT利用に関する相談や、授業を効果的に進めるためにさくらインターネットに協力してほしいこと全般に対する相談も想定しています。

こどもプログラミング通信

小学校の先生方を対象として、小学校プログラミング教育に関する最新動向などをまとめたペーパーメディアです。月1回のペースで発行し、石狩市小学校の先生方に配布しています。

こどもプログラミング通信の紙面(第11号)

まとめ

さくらインターネットでは石狩市教育委員会と協力して出前授業のカリキュラムを検討したり、小学校の先生方が自分たちでプログラミング教育を授業に加えていけるように支援したりすることで、「自治体や学校が主体となってプログラミング教育を行える」環境づくりのための支援をおこなっています。今回はプログラミング教育とさくらインターネットの取り組み概要をご紹介しましたが、次回以降はさらに詳細な内容をご紹介してまいります。